Dakota Suiteリリースラッシュ
しばらく前からDakota Suiteの今後のリリースがオフィシャルでアナウンスされています。ことしの秋以降、1年間でなんと4枚のアルバムをリリースする予定です。Dakota Suiteはじまったな、ってかんじでしょうか。いやむしろ昔の多作な彼が戻ってきました。
リリースラッシュの口火を切るのが、10月に彼らのホーム・レーベルであるドイツのGlitterhouseよりリリースされる『vallisa』。こちらは『the end of trying』で印象的な働きをしていたチェリストのDavid Darlingとともにイタリアのバーリで行った2009年11月のライヴ・レコーディング作品のようです。
以下に簡単にリリース・スケジュールをまとめておきます。
2010 10月 : dakota suite – vallisa (Glitterhouse)
2010 10月 : dakota suite & emanuele errante – the north green down (lidar)
2011 初め : dakota suite – the hearts of empty (karaoke kalk)・・・『the end of trying』の続編
2011 秋 : dakota suite – you can leave but you’ll never make it home again (Glitterhouse)・・・ひさびさのヴォーカル・アルバム
なお、こちらでこれらのアルバムの音源のデモが試聴できます。それによると大阪のバンドVampiliaのメンバーとの共作もおこなっているようですね。前回の来日公演で共演した縁でしょうか。すてきなことです。
Dakota Suite official : http://www.dakotasuite.com/
Factor & Gregory Pepper = Common Grackle 1stアルバム!
5月にリリースしたアルバム『Lawson Graham』ですばらしいコラボ曲を聴かせてくれたプロデューサーFactorとシンガー・ソングライターGregory Pepper。そのふたりのカナディアンがかねてより進めてきたプロジェクト=Common Grackleのデビュー・アルバム『The Great Depression』が完成。8/10にCeschiのFake Four Inc.よりリリースされます。
『Lawson Graham』収録の件の「Missed the Train」は2010年屈指の名曲だと個人的にとらえていますが、本作もあのインディー・ポップ路線かと思いきや、Kool KeithやCeschiをフィーチャーするなど、インディー・ヒップホップの要素もみられます。
ヴォーカルとメロディーをGregory Pepperが主に担当し、ビートをFactorが担当。作業はインターネット上のファイル交換で行われたようです。これまでの作品において、自身のポップセンスを随所にほのめかしていたFactorですが、本作は彼がはじめて手がけた非ヒップホップ作品といえるでしょう。インディー・ロックとインディー・ヒップホップの境界線はここではかすかにしか見えません。ポップ職人Gregory Pepperもまた初めて他者とコラボレーションしたアルバムであり、Factorののびしろをうまく引き出した点において、とても有意義な作品になりました。
Common Grackle – Official Promo (Missed the Train)
Common Grackle myspace : http://www.myspace.com/wearecommongrackle
【速報】Third Eye Foundation 10年ぶりのニュー・アルバム!
このブログでもMatt Elliottの動向はその都度ご紹介してきましたが、この世紀のニュースをアナウンスできることをとてもうれしく思います。
Matt Elliottが、”The Third Eye Foundation”名義でのニュー・アルバムを11月にリリースします。
Dominoから2000年にリリースした名作『Little Lost Soul』から10年ぶりの作品で、タイトルは『The Dark』。レーベルはMatt Elliottのアルバムをリリースしてきたフランスのici d’ailleurs。
一足先に音を聴かせてもらいましたが、ぜんぜん変わっていない、とだけ書いておきます。絶望的なまでに美しく、孤高で陰鬱な、まぎれもないTEFの新作です。みなさんの2010年のトップ・アルバムの座を空けておいてくださいね。
関連記事:Matt Elliott 『Howling Songs』
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猛暑を冷ますそよ風ヴォイス:Ólöf Arnaldsニュー・アルバム
すでにpitchforkで取り上げられ、ビョークとのデュエットが話題になっている1980年生まれのアイスランドの女性シンガー・ソングライターÓlöf Arnalds。
ことしのSXSWでももっとも印象的なパフォーマンスをみせたアーティストに挙げられ、9/14にはいよいよOne Little Indianより2ndアルバムをリリース予定ということで、ブレイクが期待されます。p*disからリリースしたÓlafur Arnaldsと名前が似ていてややこしいですが、もちろん別人です。
彼女はムームの元ツアー・メンバーでもあり、他のアイスランドのバンドと多数共演経験があります。こんどの2ndアルバム『Innundir Skinni』は前作でもプロデュースを手がけたシガー・ロスのKjartan Sveinssonと、ピアニストのDavíð Þór Jónssonがプロデュースを手がけ、ビョークをはじめ、Skúli Sverrissonや、AmiinaのMaría Huld Markan Sigfúsdóttirなど、レイキャヴィック・コミュニティーの面々の協力を得て完成させられました。
とはいえ、アルバムの核となるのはアコースティック・ギターやバンジョーの弾き語りによる彼女の驚くべき歌声。話題性は抜群でしょうが、内容はとても内省的。ビョークの存在があまりにも大きいですが、Vashti BunyanやJudee Sillといったフォーク・シンガーの系譜に位置すると言えるでしょう。個人的にはビョークとのデュエット「Surrender」よりもタイトル・トラックで、1stシングルでもある「Innundir Skinni」のアコギ弾き語りにグッときました。
Ólöf Arnalds – Innundir Skinni (official video)
Ólöf Arnalds – Surrender (with Björk)
ちなみに1stシングル「Innundir Skinni」のB面ではアーサー・ラッセルの「Close My Eyes」をカバーしててめちゃくすばらしいのですが、こんどリリースされる2ndシングル「Surrender」では「Sukiyaki」をカバーしているみたいです。
Ólöf Arnalds – Close My Eyes (Arthur Russell cover)
2010年上半期オススメの歌声
2010年が半分終わったということにおどろきを隠せません・・・。上半期ベストを挙げるのも面倒なので、このブログで取り上げてこなかったアーティストを紹介することでそのかわりとさせていただきます。
米ミネアポリスのPeter Millerによるソロ・プロジェクトWe Are The Willows。今年の3月に1stアルバム『A Collection of Sounds and Something Like the Plague』をリリースしました。このひともまた「スペシャル・ヴォイス」の持ち主です。元保育園の先生という24歳。
正直なところ、上の画像からは想像もできないような美声です(24歳というのも信じられませんが)。むしろ天賦の才能とはなにかとひきかえに得られるもの。彼は人も羨むようなルックスを持って生まれることはできなかったですが、そのかわりに神様は彼に特別な歌声を授けました。
フリーダウンロードできたEP『A Family. A Tree. EP.』は本当にすばらしい作品でした。そのなかの「Isabel’s Song」を聴いたとき、たとえば、Bright Eyesの「Perfect Sonnet」をはじめて聴いたときと同様の衝撃を受けた記憶があります。当時勤務していた保育園の子どもたちの声のフィールドレコーディングをバックに奏でられる荒削りだけどやさしく響く美しい歌声。残念ながらこの青年がBright Eyesのように注目を集めることはないでしょう。でも、ぼくは見守りつづけたいと思います。なぜなら彼は歌いつづけないといけないのですから。
期待が大きすぎたためか、1stアルバム『A Collection of Sounds and Something Like the Plague』は、正直、EPほどの作品とは言いがたいものだったと思います。統一感という面では個人的に不満が残る内容ですが、まだまだ若いので今後の成長に期待したいと思います。
ちなみに彼はRed Fox Grey Foxというバンドのヴォーカリストでもあります。このバンドは過去に1枚アルバムをリリースしていますが、シンガー・ソングライターにとって受難の時代ですので、むしろそっちのほうがブレイクの可能性はあるのではないかと。いや、ないか。
We Are The Willows – Isabel’s Song (live)
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