hue and cry

インディー・レーベル「hue」と「lirico」をめぐるいろんなことをつづるブログ

Radical Faceジャパンツアー経過報告


(撮影:吉村健)

2/7からスタートしたラディカル・フェイスの来日ツアー。2日間のオフをはさみ、あしたの名古屋公演から再開します。ここからは5日連続。なんとかみんなでがんばります。

これまでヨーロッパやアメリカでは2000人くらいのキャパの会場でライヴを行ってきたものの、居心地の悪さを常に感じていたとのこと。「ぼくの音楽は大きな会場には合わない」と言っていました。今回はじめての試みとなるヴィオラ・ダ・ガンバとアコースティック・ギターのデュオ編成の演奏、そしてこの編成のために改めてアレンジし直されたラディカル・フェイスの楽曲群を実際に聴いてみると、今回の会場選びは間違いではなかったな、と手応えを感じています。


Radical Face – Along the Road (live in Hamamatsu, Japan)

iPhoneで撮った画質も音質もよくない映像ですが、浜松公演の映像をアップしてみました。もちろん実際の演奏はこれよりずっとすばらしいのですが、参考にはなるかと。

とても静かで美しい演奏です。
残り5公演、どこかで会えたらうれしいです。

ツアー詳細:http://www.inpartmaint.com/site/11473/

Radical Faceのストーリーテリングについて少し

来日直前ということで、今回はラディカル・フェイスの音楽の肝でもあるストーリーテリングへのこだわりについて少し書いておこうとおもいます。

もともと作家であるベン・クーパーにとって、ラディカル・フェイスというプロジェクトとは、じぶんの頭のなかの世界=ストーリーをレコードというメディアを媒介して伝えることだと公言しています。

リスナーが気づくか気づかないかは気にせず、こまかなアイデアを作品にたくさん詰め込んでいて、だからこそ彼のファンは時に深読みしすぎなほど、ラディカル・フェイスの音楽について分析をおこなっています。

「The Family Tree」シリーズは『Ghost』をリリースした2007年から取り組んでいて、すでに8年が経過しましたが、いまだ完結していません。8年間、ひとつの作品について熱意を注ぎつづけるあたり、普通ではありません(ことし完結予定らしいですが!)。

さて、ここでは彼のストーリーテリングについて、今回のライヴで演奏する可能性が高そうな曲を例にあげてみます(いずれもベン自身の発言を参照にしています)。

「Family Portrait」

「The Moon Is Down」

「The Mute」
 
 

「The Family Tree」シリーズの時系列でもっとも古いのが1作目の『The Roots』収録の「Family Portrait」です。この曲のナレーターである青年を産むのと引換に母は亡くなり、父は酒に溺れ、その6年後に自殺するという内容。青年は姉とふたりで生きていきます。
 
 

それから何年後かは定かではありませんが、この曲は「Family Portrait」の姉にひそかにおもいを寄せつづける隣人の視点で歌われています(個人的にはこの曲のさいごの「but it’s good enough for me」というリリックのせつなさがだいすきです)。
 
 

時は流れ、2作目『The Branches』の「The Mute」は”頭のなかのゴーストとだけ語り合う口の利けないこども”の視点の歌。この口のきけないこどもの父親が実は「The Moon Is Down」の隣人とのこと。こども視点では「父さんはぼくのことを背負わなければいけない十字架とみなしていた」と歌われていますが、ここでは明かされることのない父視点においては、「The Moon Is Down」の彼は「The Family Tree」の姉に対しての気持ちを結局伝えることができなかったことで、じぶんのこどもがしゃべれなくなったに違いないという後悔を抱いています。

いかがでしょうか?彼が書くリリックの裏側には膨大な情報が潜んでいます。ぼくは詩の翻訳に正解はないと考えていますが、リリックだけでラディカル・フェイスの世界の全貌をつかむことは到底不可能なのです。

音楽の聴き方は自由だとおもいますが、こういった裏情報を頭に入れたうえでラディカル・フェイスの音楽を聴くときっと新たな発見があるかもしれません。

個人的には「Summer Skeletons」の主人公は「Severus and Stone」の兄弟だとおもっているのですが!(ちなみにSeverusとStoneは「Family Portrait」の姉の息子たち)

Radical Faceジャパンツアーまで1週間…

早いもので、ラディカル・フェイスのツアースタートまで1週間となりました。もろもろの準備とその他の日常業務で慌ただしく過ごしており、このままツアーへとなだれ込みそうな雰囲気です。

さて、まずはご報告から。2/7と2/15の東京公演はいずれも予約者が予定人数に達したため、予約受付を終了させていただきました。現在はキャンセル待ちとなります。その他の公演は予約受付中ですが、ツアースタートが近づくにつれて少しずつ埋まってきました。お早めのご予約をおすすめいたします。

ツアー詳細はこちら:
http://www.inpartmaint.com/site/11473/

Facebookでベンはこう書いていました。「ここ数年でやってきたライヴとはまったく違うセットを演奏するよ。この変化にワクワクしてる。よりスモールだけど同時によりビッグなんだ」。

そう、今回のツアーはヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のジョシュ・リーを加えたデュオ編成になります。ジョシュはヴィオラ・ダ・ガンバの名手としていろんなオーケストラで弾いており、アルバム『The Family Tree: The Branches』でも多大な貢献を果たしていたので、楽しみでなりません。

前回のバンド編成とは対照的にアコースティックなセットになるので、それに合わせた会場を選んでいます。より親密に、より心安く。

ともに楽しみましょう。

Radical Face Japan Tour 2015詳細

radical face japan tour 2015

2/7(土) 東京・光明寺
2/8(日) 浜松・鴨江アートセンター301号室
2/11(祝)名古屋・spazio rita
2/12(木)京都・ゲストハウス京都店(2015年1月Open予定)
2/13(金)福岡・papparayray
2/14(土)神戸・旧グッゲンハイム邸
2/15(日)東京・nui. HOSTEL & BAR LOUNGE

お待たせしました!ラディカル・フェイスの3年ぶりの来日ツアーの詳細をお知らせいたします!
前回、ともにツアーをした盟友miaouは今回は東京・光明寺公演と名古屋公演で共演。特にお寺では特別なセットで演奏してくれるとのことでたのしみです。

浜松公演では新作をリリースしたばかりのPolar M、名古屋公演ではすばらしいハコspazio ritaを支える猫町、神戸公演では1月に新作のリリースを控える加藤りまがそれぞれサポートアクトを努めてくれます。

また、ツアーがおわるまでのあいだ、アルバム『The Family Tree: The Roots』と『The Family Tree: The Branches』ライナーノーツを無料公開中です。ラディカル・フェイスがいかに「The Family Tree」三部作に固執しているのかを解くヒントになるかとおもうので、まだ読んでいないかたは長いですがぜひ読んでいただけたらとおもいます。
https://note.mu/lirico/m/mbfabb7e3ddb5

ツアーの詳細は以下のとおりです。
 
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We Are The Willows『Picture (Portrait) 』〜亡き祖父母が交わした350通の手紙〜

we are the willows

ミネアポリスのインディー・ロック・バンドWe Are The Willowsのニュー・アルバム『Picture (Portrait) 』。アルバムとしては2009年の『A Collection Of Sounds And Something Like The Plague』以来、5年ぶりとなる作品。当時はシンガー・ソングライターPeter Millerのソロ・プロジェクトでしたが、その後メンバーが増えて、現在は6人編成です。

we are the willows

このバンドの特徴はなんと言ってもPeter Miller(写真いちばん左)の(見た目に似合わぬ)美しい歌声。中性的美声男性ヴォーカルを多数擁するLiricoも太鼓判を押すその歌声は、少年のような、少女のようなフラジャイルさをたたえています。

本作『Picture (Portrait) 』はPeterの祖父母が第2次世界大戦時にやりとりした350通の手紙からインスパイアされたとのこと。1942年にふたりは出会ったものの、祖父は大西洋に派遣。その後、お互いによく知らないまま4年にわたって手紙が育んだ愛...とてもロマンティックでエモーショナルな傑作です。

Bandcampでダウンロード販売中:https://wearethewillows.bandcamp.com/