hue and cry

Peter Broderick Japan Tour 2016 “Partners” 〜かつて「I AM PIANO」と歌った男〜

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ポートランドのシンガーソングライター/作曲家ピーター・ブロデリック。2007年のソロ・デビュー作『Docile』以来、9年ぶりに作った“ピアノ”アルバム『Partners』がErased Tapesより8/19にリリースされました。ジョン・ケージのチャンス・オペレーションにインスパイアされた、リスナーの自発性を促すような刺激的かつ瞑想的な作品です。

Peter Broderick “Partners”詳細:
http://www.inpartmaint.com/site/16909/

ピーター・ブロデリックといえば、かつて2012年にLiricoからリリースした作品『http://www.itstartshear.com』において、「I Am Piano」と歌っていました。ピアノは楽器のピアノと、楽譜にみられる強弱記号ピアノ=「弱く」というふたつの意味がありましたが、生粋のピアニストではないものの、ピアノに対するこわだりをずっと持ちつづけてきた彼がここにきてピアノ・アルバムを作り上げ、さらに彼のピアノ・プロジェクトはライヴにまで発展していきます。

アルバム・リリース後、初のライヴは9月上旬にロンドンで行われますが、ワールドツアーのはじまりとなるのは日本です!

2011年のニルス・フラームとのジョイント・ツアー、2012年のエフタークラングの来日ツアーのサポートを経て、3回目の来日にして初めてのヘッドライナー・ツアー。アルバム『Partners』を作るインスピレーションのひとつとなったアイルランドの女性シンガー・ソングライター、ブリジッド・メイ・パワーが帯同します。

ツアーの日程は以下のとおりです。
2016年9月23日(金)福岡 papparayray
2016年9月24日(土)京都 元・立誠小学校
2016年9月25日(日)名古屋 valentinedrive
2016年9月26日(月)岡山 蔭凉寺
2016年9月28日(水)東京 ルーテル市ヶ谷ホール
2016年9月29日(木)東京 Fluss

詳細はこちらのリンクをご覧ください。

前回の来日ではピアノはニルス・フラームに任せるようなかんじで、ヴァイオリンのループとギターによるセットでしたが、今回はピアノと歌がメインとなります。ニュー・アルバム『Partners』の曲や、他のアルバムのピアノ・ソングはもちろんのこと、今回のピアノ・プロジェクトでスペシャルだと言えるのは、ピアノ以外で書かれた彼の名曲群をピアノ・アレンジで演奏する予定だということ。ギター弾き語りアルバム『Home』の「And It’s Alright」「Below It」や、バンド・アルバム『Colours of The Night』のタイトル・トラック「Colours of The Night」あたりの名曲がピアノ弾き語りで聴けるかも?と想像しただけで鳥肌が立ちそうです。

すでに9/29の東京Flussでの公演は少キャパのため、予約受付終了。他の公演は絶賛予約受付中/前売券発売中です!

2011年の来日ツアー以降、盟友ニルス・フラームが出世街道を爆走中なのに比べ、ピーター・ブロデリックはしばしの休息ののち、ひたすら我が道を進んでいます。今回のピアノ・セットはおそらく今回限りだとおもいますので、興味がある方はお見逃しないようお願いいたします!

Liricoニュー・リリース: Paranel『オールドテープ』〜最期に歌われるべき哀歌〜

Liricoがスタートしてからもうすぐ10年になりますが、今回はじめて日本人アーティストの作品をリリースすることになりました。

Paranelのニュー・アルバム『オールドテープ』。
ジャンルではヒップホップに分類されてきた彼が作ったはじめてのアコースティック作品です。ピアノと歌だけのこの作品は、Paranelの音楽をしっているひとにとってはだれもが驚き、そしてきっとこの作品が生まれたことをのちに納得するでしょう。

*詳細はこちらをご覧ください:
http://www.inpartmaint.com/site/16543/

彼との出会いはぼくがまだhueという異形のヒップホップ・レーベルを担当していた2006年のこと。もう10年も前のことです。彼もLOW HIGH WHO?というレーベルをはじめる直前かはじめた直後かという時期でした。共感とリスペクトを感じながら、同じ時代を生き抜いてきた同志というかんじです。

この作品のきっかけは5年前にさかのぼります。
2011年の夏、不可思議/wonderboyというLOW HIGH WHO?のアーティストが急逝してから2ヶ月後くらいのこと。ぼくは彼に提案しました。「nelくん、ぼくはきみの歌がすきだよ。だからシンガーソングライターっぽい作品をつくってみない?」。彼の返事はまさに快諾ということばがふさわしいものでした。

結局はピアニストMonk is my absoluteとの共作という方向性が決まり、2012年の秋に旧グッゲンハイム邸でピアノが録音されました。「音に震える洋館と、亡きものが染みついた感覚」はラディカル・フェイスの『Ghost』のコンセプトにも通じます(個人的に「Ghost」について歌うひとたちがすきなのですが、この作品にも「おばけの時間」という曲が収録されています)。そして2013年にできたのが「温度」という曲。そこからさらに3年がたってようやくアルバムが完成しました(5年も待つとはおもっていませんでしたし、内心では約束が果たされなくてもしかたないとおもっていました。いや、むしろこの作品の完成まではレーベルをつぶしてはいけないというおもいもありました。それはラディカル・フェイスの「The Family Tree」三部作と同様に)。

ぼくはきっかけをつくったにすぎませんが、この作品が生まれたことを誇りにおもいます。この5年さまざまなものを背負いながら苦心してきたのをしっているから。

この作品の紹介文の「かなしみを決して失いたくない人たちに永遠に愛される歌」という表現は、かつてスコット・マシューの作品のキャッチコピーで使ったものを再びよみがえらせてみました。「つないでいくこと」はぼくがずっと意識していることだから。音楽のスタイルはちがっていても、タマス・ウェルズやラディカル・フェイスなど、ぼくが選んできたLiricoのアーティストたちが共通してもつかなしみの感覚と同じものがParanelの歌にはあるとおもいます。

ぜひ手にとっていただけたらうれしいです。

Radical Face interview


 
ニュー・アルバム『The Family Tree:The Leaves』発売前にドイツのラジオ・プロモーション用にレーベルがおこなったインタビューを日本語に翻訳したものです。
 

Radical Face インタビュー

 
昨年の8月、あなたはFacebookで暗い期間を過ごしたと書いていました。話したくないとはおもいますが、もしそれがアルバムに影響を与えているならそのことについて教えてください。

短い答えは「イエス」だよ!昨年の出来事はこのアルバムにとてもおおきな衝撃を与えてる。前は話したくなかったけど、いまはOKだよ。昨年、家族の一員がぼくのところにやってきて、家族内の性的虐待について話してくれた。たくさんのひとたちが知っていたのに、それを隠し続けていたんだ。その後、姪を養子にした。ぼくはいっしょに育ったひとたちの裁判で証人にもなった。それは氷山の一角でしかないんだけどね。たくさんの悪いことが一度に起こったんだ。ぼくは家族についてのアルバムをつくるプロセスにおいて、自分とプロジェクトを切り離したままアルバムをつづけることは不可能だった。だから、アルバムの半分は自叙伝的なものとなっている。それはほとんど実際に起こったことについてのものだ。それによって内容はおおきく変わってしまったよ。

三部作のそれぞれの作品は別々に聞くことができますか?

ぼくにとっての三部作の目的はすべてを結びつけることだったけど、それぞれ別のものとしても聞くことができる。三部作のひとつを聞いてもそれぞれがひとつの作品として機能すればいいとおもっている。これはそれぞれの曲にとってもそう。もしリスナーがもっと深いところまでいきたかったら、繰り返される主題や関連する要素などたくさんのつながりをみつけることができるよ。だからぼくの願いは両方向に機能することだね。

あなたの物語の主人公ノースコート家とともに10年近くを過ごしてきて、何を学びましたか?

同じトピックについてあまりにも長いあいだ取り組んできて、家族というものが単に混沌としていて、同時に驚くべきものだという結論に至った。しばしばぼくらはただうまく切り抜けて、最良のことをおこなう。でも、未来の世代にどのような影響を及ぼすのかはわからない。それが正しい決断だったかどうかもね。ときどきは悪い要因だとしても悪くない結果になり、ときどきは最高の意図でもひとびとを傷つける。

お気に入りのキャラクターはだれですか?

正直なところ、たくさんのキャラクターにぼく自身が隠れているんだ。フィクションを使ってじぶん自身の問題を解決しようとしてるからね。それについて話すのは簡単ではないけど、お気に入りはたぶん双子の兄弟セヴェラスとストーンだね。なぜだかはわからないけど。このペアについてについて曲を書きつづけてきたし、こうしてついにおわりを迎えて、ある意味、彼らがぼくの皮膚のしたにいるようにおもえるんだ。

三部作を作ることはいつもやりにくいことだとおもいます。2つのことが起こりえます。おわらせることが難しいとわかるか、そのまま続けたいというふうに、とても楽しめるかどうか。あなたの場合はどちらでしょうか?

両方の問題を抱えていたとおもう。身動きがとれないほど途方にくれるときがあって、一方で、それでもぼくは書いた。ぼくは先に進んで書きつづけたけど、ある地点で線を引いて、じぶんがなにをしていて、どうおわるのか言わないといけなくなった。あるものはさらに先の世代について考えたり、別の方法やメロディーを試すかもしれない。そうすれば永遠に書きつづけることができる。でもぼくはもうつづけるには疲れすぎてしまったから、おわりにしたんだ。

3作目について教えてください。

3作目は他のアルバムとはちょっと違うんだ。さっき言ったとおり、半分はこれまでのアルバムの歴史と世代のつづきで、もう半分はとてもパーソナルなものだからね。ぼくは直接的にじぶんの歴史や家族のことを含めるつもりはなかった。だけど昨年起きたことで、それを妨げることはできなくなった。他のことについて書くことはほんとうにできなかったからね。だからアルバムの半分はよりぼく自身なんだ。居心地のいいものではなかったけど、おわらせる必要があったんだ。

3作のあいだに音楽的なつながりはありますか?

うん、シリーズを通じて音楽的なつながりがある。いくつかはとてもシンプルでとてもちいさなものなんだ。たとえば、「A Pound of Flesh」のオープニングのピアノのメロディーが「Everything Costs」のセカンドヴァースのバックで使われてる。そうやってちいさなものごとが繰り返されるんだ。家族の別のメンバーやこどもたちに関連したモチーフがあって、もし探したいなら、いくつかのちいさな卵が隠されているよ。それは特に重要なことではないけどね。ただの楽しむためのディテイルだよ。

特別な歌「Bad Blood」で三部作をおえた意図は?

もともとはまったく別のエンディングを考えていたんだ。もっと楽観的で陽気なエンディングをね。でも数々の出来事によって、よりパーソナルなものになってしまった。だからこういうおわりになったんだ。「Bad Blood」はぼくの人生におけるおおきな出来事についての曲だけど、これまで一度も音楽にしたことはなかった。14歳のとき、両親に家を追い出されて、高校時代にフルタイムでいろんな仕事をした。これまで書いたことなかったけど、それはぼくにおおきな影響を与えていたんだ。だから無視することのできないことのひとつだね。奇妙にもこのコレクションは14歳のときのぼく自身でおわるなんてね。

今回、もっともおおきな挑戦はなんだったでしょうか?

もっともおおきな挑戦はこれほどまでの感情的ストレスのなかでアルバムを作ったことだね。昨年はぼくの人生で最悪の1年だった。一度にこれほどの問題が起きて、これほどたくさんの醜い物語に取り組むことなんてなかったよ。いままでアルバムを完成させるのにこれほどもがき苦しんだことはなかった。ときどきは救いだったし、ときどきはただひどく不快だった。もうこんな状況のなかでなにかを作ることがないといいね。

「The Road to Nowhere」はたくさんの音楽的方向性がつまっていてとてもスペシャルですね。この曲をつくるときに起こったことについて教えてください。

この曲は大きく変化した作品だね。元々は別の楽器で、別のテンポだった。それでストリングスを入れようとしていて、ぼくがなにかしてるあいだに、弦楽器奏者のボーイフレンドがただコードを弾いていたんだ。それで曲のはじめに彼がアルペジオを弾いて、ぼくは「それは何だ?もう1回弾いてよ」って頼んで携帯電話で録音したんだ。それを聴いてからまた曲をぜんぶ書きなおした。主題は同じままだったけど、まったく別の曲になったよ。そう、だからアルバムのはじめのプランとは違うけど、最終的にはよくなったね。

あなたの声はときどきまるで家のなかに立っているように聞こえます。それは意図したことですか?

うん、それは意図的だよ。ぼくは部屋の音がだいすきで、レコーディングに入る際はいつもとても注意を払うんだ。真空のなかにいるように設計されたヴォーカルブースでの長時間は部屋の感覚はなくなるからね。リヴァーブも後から加えるし。ぼくは通常、部屋を使うから、きみが部屋の雰囲気を感じ取ったのはそのためだろうね。だからより親密に聞こえるんだろう。完全に乾いた、コントロールされた場所での作業する正反対の方向性でおこなうことはめったにないよ。ぼくはいろんな個性をもった場所を好む傾向があるみたい。

■3/25発売 Radical Face『The Family Tree: The Leaves』
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Radical Face「Rivers in the Dust」リリック・ビデオが公開

3/25にリリースされるラディカル・フェイスのニュー・アルバム『The Family Tree: The Leaves』より新しいシングル「Rivers in the Dust」が発表され、リリック・ビデオも新たに公開されました。

「アメリカのダストボウルについての歌。ぼくがいつも魅了されてきた時代だよ」とはベンのコメント。ダストボウルは1931年から1939年にかけてグレートプレーンズ広域で断続的に発生した砂嵐のこと。この災害により多くの農家が移住を余儀なくされたそうです。「Rivers in the Dust」は「死の川」とでも訳せるでしょうか。この曲ではオクラホマの家族はカリフォルニアを目指したものの、辿り着いた地は砂嵐がよりひどい場所でした…。すでに公開されている「The Road to Nowhere」「Secrets (Cellar Door)」と同様に、この作品も曲の展開とアレンジが練られています。まさに映像を喚起させる映画的な作品を目指したことがこの3曲からうかがい知ることができるとおもいます。

リリック・ビデオはベンの友人のDestyn Pateraによるもの。サウス・ジョージアで撮られた映像の退廃美はこの悲しいロードムービーにふさわしいものです。
3/4にはアルバムから別のシングルとビデオも公開されます。いよいよ発売まで1ヶ月ほどになりました。

■3/25発売 Radical Face『The Family Tree: The Leaves』予約受付中
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Radical Faceウェブサイト・リニューアル〜「The Family Tree」のすべて〜

3/25にニュー・アルバム『The Family Tree: The Leaves』をリリースするラディカル・フェイスのオフィシャル・ウェブサイトがリニューアルされました。

http://radicalface.com/

このサイトは「The Family Tree」シリーズの全貌を網羅する内容になっています。『The Roots』『The Branches』『The Leaves』の三部作と番外編『The Bastards』からなるこの壮大なファミリー・サーガは、ひとつの血統とその血統に交わるさまざまな悲劇をめぐる物語です。これまですべてを明かされてはいなかった全44曲のバックグラウンドの説明がこれから毎週少しずつ追加されていく予定です。

まずは第1作『The Family Tree: The Roots』から「Names / A Pound of Flesh」「Family Portrait」「Black Eyes」「Severus and Stone」「The Moon Is Down」が公開されました。

たとえば、「The Family Tree」シリーズの物語のはじまりである「Family Portrait」。これは語り手であるウィリアムと、姉のヴィクトリア、そして死んだ父と母の物語です。ウィリアムの物語は「Black Eyes」につながり、ヴィクトリアの血統は「Severus and Stone」や「The Dead Waltz」につながっていきます。
 

 
「musical mythologist」=「音楽的神話学者」とアメリカのプレスに称されたベン・クーパーの8年間の結晶がついに明らかになるときがきました。

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