hue and cry

『Saddest Songs』2/10(あした!)配信スタート

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先日こちらのエントリーでご紹介しましたliricoのコンピレーション『Saddest Songs〜世界でいちばん泣ける歌〜』ですが、ブログに書こう書こうと思っているうちに、いつのまにかリリース前日になってしまいました・・・。

元々今回のプロジェクトのはじまりは、もう思い出せないくらい昔のことで、幻のliricoコンピの選曲はどんどん進んでいったものの、結局はお蔵入りとなったわけです。理由は単純で売れなそうだったから・・・。だったらよりリスクのすくないデジタル配信だけでやってみようという流れで、プロジェクトはふたたび動きだしたわけです。

今回のコンセプトは昨年の9月ぐらいにぼくがDJをやらせてもらったときのセットリストを元にしています。実際に収録されている何曲かはそこから選びましたし、そもそもすべてがぼくのiTunesのなかに入っている曲という、実にタイニーな世界観がポイントです。

あとはリスナーのみなさんには関係のないことかもしれませんが、収録されているほとんどのアーティストが直接の知り合いか、あるいは弊社で流通しているレーベルの作品かのどちらかで、長年築いてきた信頼関係の賜物であることは個人的にとても誇らしいことでもあります。結果的にliricoらしいインデペンデントでユニークなコンピレーション・アルバムができあがっていると思います。

通なウタモノ好きのみなさんにとってはそんなに目新しいアーティストがいるわけでもないし、そもそもMy Broken Frame(すてきなシンガーソングライターさんです)以外はぜんぶ既発曲ですが、未発表曲などの価値よりも、既発曲のよさやコンピとしての流れを重視しています。あとは普段、こういった“地味な”(あえてそう書きますが)音楽を聴かないようなライトリスナーにも聴いてもらいたいと思って作っています。「世界でいちばん泣ける歌」なんて野暮ったいサブタイトルがついているのも、iTunesにおけるSEO対策とでも思ってください(笑)

リスクはまったくおかしてないかもしれませんが、そもそもMatt Elliottをコンピに収録すること自体、十分すぎるほど冒険してると思いますが、どうでしょうか?

ちなみに。3月には同じようにhueでもデジタル・コンピをリリース予定です。いま選曲の真っ最中ですが、『hue and laugh and cry』を越える自信がありますよ。こちらも楽しみにしててください!

ダウンロードはこちらから

Chris Garneau来日後記

早いもので、クリス・ガノのライヴがおわって2週間以上が経ちました。忙しさのせいにしてたけど、いまさらながらちょっと振り返ってみようと思います。

クリスの第一印象は「ちっちゃい」、そして、つぎに「酔っぱらい」。あんなに小柄なアメリカ人にはたぶん初めて会った気がします。「酔っぱらい」っていうのは、ぼくらが出会った前の日が韓国ツアーの最終日で、さらにドラマーのベンがそのままアメリカに帰るということもあり、朝まで飲んでいたから。ぼくらは東京でのライヴの前日の1/17の昼に会ったのですが、そのままランチを食べに行ったときもビールを飲んでたので、ああ、この人はほんとに酒がすきなんだな、と。

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いちおうクリスの名誉のために書いておくと、普段の彼はステージ上で見せたような、とってもシャイで静かでかわいらしい男の子です。ただ、お酒を飲むと・・・(笑)

さて、ライヴですが、前述のとおり、今回は1/1から中国、香港、台湾、韓国という長いアジア・ツアーの最終公演としての東京でのライヴでした。実際、ライヴの次の日に帰ると聞かされていたので、まさかそのままオフとして1週間も日本に滞在するとは思ってませんでした。もし知ってたらもっとライヴできたのにね。

ドラマーのベンは韓国公演のあとに帰らないといけませんでしたが、チェロのアナ・コールナーは帯同。クリスいわく「もはや知らないことはない」という”his very beautiful friend”にして、優秀なチェリスト。

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3-4曲ほどクリスのピアノ弾き語りでしたが、それ以外はチェロとのデュオ。あとは「Castle-Time」ではピアノを弾きながらメロディカを演奏するという曲芸もみせていました。来日前にブログで書いていたハーモニウムはツアー中に壊れてしまったらしく、個人的にだいすきな「The Leaving Songs」を演奏できなかったのは残念でしかたありません・・・。

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ドラマーが来れなかったのは確かに残念だったのですが、ぼくは結果的に来なくてよかったと思っています。ピアノとチェロという最小限のアンサンブルだからこそ、余計にクリスのスペシャルな歌声が引き立っていました。クリスの最大の武器であるあの美しい歌声が。

おそらくライヴを観たみなさん驚かれたと思いますが、CDよりも実際のヴォーカルがずっと力強くエモーショナルだったことはとても意外でした。

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たとえば「天使の歌声」の彼はライヴでもCDと変わらない歌声で別次元の歌を届けてくれますが、それに比べると彼は「天使なんかじゃない」。長いツアーの疲れからか、ベストコンディションではなかったようですが、そんななかでも彼の叫びには心動かされました。実際にはCDと同じようにも歌えるみたいだけど、あえてエモーショナルに歌うことで、リスナーと近づきたいという想いかららしいです。

たとえばスコット・マシュー同様、じぶんの人生に起きた物事の悲喜こもごもの実体験を歌にするクリス。当然のように華々しい人生を送ってきたはずもなく、数え切れない挫折を経験し、悲嘆に胸を痛めてきた彼の弱々しく悲しい歌はただでさえ胸を締めつけてやまないのに、それがむき出しの感情とともに歌われるなんて・・・。力強さを得た弱さは信じられないぐらいにぼくの頭をかき乱してくれました。ライヴがおわってからのある種の「手ごたえのなさ」は、おそらくその影響でしょう。あのとき、確実にぼくの頭はどこかおかしくなっていたと思います。

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セットリストをご覧のとおり、2nd『El Radio』からは「Hands on the Radio」と「Fireflies」の2曲だけ?って・・・ちょっとはレーベルに気をつかえよ、と思いましたが(笑)、ほとんどが1st『Music For Tourists』からの演奏でした。ピアノとチェロだけだから、妥当でしょうか。けど、やろうと思えばできたでしょう?だって、「ピアノは万能の楽器」だって、「のだめカンタービレ」で読んだよ!とか思いましたが、まあ、楽しみはつぎにとっておきましょうか。

Elliott Smithの「Between the Bars」のカバーも、彼の友達のJenny O.(なんと!Jenny Owen Youngsと別人だと知りました!)のカバーもすばらしかったですが、個人的にはそうですね、EP収録の「Blackout」がベストでした。CDでは地味な印象でしたが、すごい沁みました(ちなみにCDでこの曲のコーラスを歌ってるのはJenny Owen Youngsのほうで、「Over and Over」のコーラスを歌ってるのがJenny O.のほう。ややこしい!)。ニューヨークの停電ってことでちょっと『ショートバス』を彷彿させました。

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おそらく1時間ちょっとほどの短い時間でしたが、とても濃い時間だっと思います。ふたりとも疲れているのにサイン会。ひとりひとりと丁寧に話していたように思います。このへんはもはや記憶なし。感動したのは思ったよりもクリス・ガノをすきなひとがたくさんいたってこと。ぼくだけかと思ってましたよ。

クリスとアナはライヴの翌日の1/19からホリデイとして1/25まで滞在して、日本を満喫していました。個人的にも何度もいっしょにごはんを食べたりお酒を飲んだりプリクラを撮ったりして仲良くなれたのはとてもうれしいことです。ふたりとも年が近かったのでなおさら(アナは80年、ぼくが81年、クリスが82年生まれ)。気の毒なことにアナがインフルエンザにかかってしまったこともあって、ひとりでヒマなクリスと何度かデートしましたよ(笑)

最後にライヴにお越しいただいた方々をはじめ、オープニングアクトを務めてくださったおおはた雄一さん、O-nestや関係者のみなさまにお礼申し上げます。

さて、アンコールの最後、彼がだいすきな冬について歌った新曲「Winter Songs no.1」(と後で訊いた)を演奏しおわって、彼がつぶやいた言葉をみなさんに捧げます。

「Happy Winter」

つぎの冬にまた会いましょう。


2010.01.18 at Shibuya O-nest
Chris Garneau showcase live in Tokyo 2010

Set list
1. Hands on the Radio
2. Relief
3. October October (new song)
4. Black & Blue
5. Castle-Time
6. Fireflies
7. Blue Suede Shoes
8. We Don’t Try
9. Baby’s Romance
10. Not Nice
11. Between the Bars
12. Blackout

Encore1
1. Island Song
2. Sugar (Jenny O cover)

Encore2
1. Winter Song no.1 (new song)

写真はすべてフォトグラファーの三田村亮さんからお借りしました。すてきな写真をどうもありがとうございました。

Tamas Wells live in Singapore

When We Do Fail Abigail by Tamas Wells from Ruthie on Vimeo.

たぶんきっとみんなそれぞれじぶんがタマス・ウェルズのいちばんのファンだと思っているかと思います。ぼくもじぶんがいちばんのファンだと自負していますが、さすがに海外のライヴまでおっかけることはできませんね。けど、タマスのことが好きすぎて、「サカつく」や「ウイイレ」ではルーマニア人プレイヤーのタマシュを愛用しているんですよ。って、ちょうどうでもいいですね。

というわけで、先週末にシンガポールのFringe Festivalにタマス・ウェルズが出演しましたが、日本でも有数のタマス・ファンだと言える『地味音楽の小部屋』のYasさんがなんとシンガポールまで観に行き、しかもライヴレポートまで書いてくれました!

だれもが気になるニューアルバムのことも訊いてくださったので、タマス・ファンのみなさんはぜひチェックしてみてください。

はやくアルバム作ってくれ〜

地味音楽の小部屋:Tamas Wells live in Singapore

(1/27追記。ライヴ映像をみつけたので加えました)

lirico初のコンピレーション『Saddest Songs』

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当初の予定よりも若干遅れてしまいましたが、liricoとしては初となるコンピレーション・アルバム、その名も『Saddest Songs〜世界でいちばん泣ける歌〜』が2/10にリリースされます。

今回、CDなどのフィジカル・リリースではなく、iTunesでのデジタル・ダウンロード限定でのリリースになります。

「Saddest Songs」というタイトルそのままのコンセプトで、かなしみをたたえる美しい歌ばかりを集めました。たしかに明るく楽しくなりたいと思うのが当然のことだと思いますが、明るくて楽しい音楽を聴きたくないときだってあるはず。「明るい曲はもうたくさん」という人たちのために、あえてliricoはこのコンピを捧げます。

ご存知のとおり、liricoはかなしみをネガティヴなものと捉えていません。かなしみも、よろこびも、ひとつの「感情」です。ぼくはいつも人生はプラスマイナスゼロだと考えています。かなしみがあれば、よろこびもある。かなしみがあるから、よろこびがある。だから、ぼくはみんながたくさんのかなしみと、たくさんのよろこびを経験すればいいと思う。豊かな感情こそが豊かな生活を導きます。

なにを書いてるのかわからなくなってきましたが(笑)、とにかく、よろこびに溢れたコンピレーションはそっちが得意な人に任せて、「sad is beautiful」を掲げるliricoはかなしみに満ちたコンピレーションを作りました、ということです(笑)まあ、要するに、こころに沁みる美しいコンピができたので、ぜひ聴いてください、ってこと!

15曲でなんと900円!!非常にお買い得ですよ。PDFでライナーもついてきます。まだ何も書いてないので、どういうものになるかわかりませんが(笑)

いちばん下のリンクから詳細をごらんになれます。全曲試聴もできるので、ぜひチェックしてみてください。きょうのところはこんなかんじで。次回、コンピ選曲の舞台裏に迫ってみます、と適当に予告しておきます。

Track list:
01. Heather Woods Broderick / Something Other Than
02. Grand Salvo / Needles
03. Tamas Wells / Valder Fields
04. My Broken Frame / Miss Moon
05. egil olsen / Nothing Like the Love I Have For You
06. Serafina Steer / By This River
07. Misophone / You Can’t Break a Broken Heart
08. Scott Matthew / Language
09. Gareth Dickson / If I
10. Last Days / May Your Days Be Gold
11. Whiskey Priest / Sweet Child
12. Radical Face / Homesick
13. Georgia’s Horse / Bloom
14. Chris Garneau / Over and Over
15. Matt Elliott / A Waste of Blood

『Saddest Songs』詳細/試聴:

http://www.inpartmaint.com/lirico/lirico_title/DDIP-3024.html

Chris Garneau 来日公演無事終了しました

報告が遅くなりましたが、クリス・ガノの来日公演無事に終了いたしました。

お越しいただいたみなさまどうもありがとうございました。CDとは違って凄みすら感じさせるエモーショナルで美しい歌声に、みんなとても驚かされたことと思います。

18日間で14公演を行う長いアジア・ツアーを終え、彼らはまだ日本に残って短いホリディを楽しんでいる最中です。今週の季節外れの暖かさは彼らがいるからに違いないと思っています。彼らが帰国した途端にきっと寒くなるにちがいない。

というわけで、ライヴレポートのようなものは彼らが帰ってから書こうと思います。

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