hue and cry

Radical Face interview


 
ニュー・アルバム『The Family Tree:The Leaves』発売前にドイツのラジオ・プロモーション用にレーベルがおこなったインタビューを日本語に翻訳したものです。
 

Radical Face インタビュー

 
昨年の8月、あなたはFacebookで暗い期間を過ごしたと書いていました。話したくないとはおもいますが、もしそれがアルバムに影響を与えているならそのことについて教えてください。

短い答えは「イエス」だよ!昨年の出来事はこのアルバムにとてもおおきな衝撃を与えてる。前は話したくなかったけど、いまはOKだよ。昨年、家族の一員がぼくのところにやってきて、家族内の性的虐待について話してくれた。たくさんのひとたちが知っていたのに、それを隠し続けていたんだ。その後、姪を養子にした。ぼくはいっしょに育ったひとたちの裁判で証人にもなった。それは氷山の一角でしかないんだけどね。たくさんの悪いことが一度に起こったんだ。ぼくは家族についてのアルバムをつくるプロセスにおいて、自分とプロジェクトを切り離したままアルバムをつづけることは不可能だった。だから、アルバムの半分は自叙伝的なものとなっている。それはほとんど実際に起こったことについてのものだ。それによって内容はおおきく変わってしまったよ。

三部作のそれぞれの作品は別々に聞くことができますか?

ぼくにとっての三部作の目的はすべてを結びつけることだったけど、それぞれ別のものとしても聞くことができる。三部作のひとつを聞いてもそれぞれがひとつの作品として機能すればいいとおもっている。これはそれぞれの曲にとってもそう。もしリスナーがもっと深いところまでいきたかったら、繰り返される主題や関連する要素などたくさんのつながりをみつけることができるよ。だからぼくの願いは両方向に機能することだね。

あなたの物語の主人公ノースコート家とともに10年近くを過ごしてきて、何を学びましたか?

同じトピックについてあまりにも長いあいだ取り組んできて、家族というものが単に混沌としていて、同時に驚くべきものだという結論に至った。しばしばぼくらはただうまく切り抜けて、最良のことをおこなう。でも、未来の世代にどのような影響を及ぼすのかはわからない。それが正しい決断だったかどうかもね。ときどきは悪い要因だとしても悪くない結果になり、ときどきは最高の意図でもひとびとを傷つける。

お気に入りのキャラクターはだれですか?

正直なところ、たくさんのキャラクターにぼく自身が隠れているんだ。フィクションを使ってじぶん自身の問題を解決しようとしてるからね。それについて話すのは簡単ではないけど、お気に入りはたぶん双子の兄弟セヴェラスとストーンだね。なぜだかはわからないけど。このペアについてについて曲を書きつづけてきたし、こうしてついにおわりを迎えて、ある意味、彼らがぼくの皮膚のしたにいるようにおもえるんだ。

三部作を作ることはいつもやりにくいことだとおもいます。2つのことが起こりえます。おわらせることが難しいとわかるか、そのまま続けたいというふうに、とても楽しめるかどうか。あなたの場合はどちらでしょうか?

両方の問題を抱えていたとおもう。身動きがとれないほど途方にくれるときがあって、一方で、それでもぼくは書いた。ぼくは先に進んで書きつづけたけど、ある地点で線を引いて、じぶんがなにをしていて、どうおわるのか言わないといけなくなった。あるものはさらに先の世代について考えたり、別の方法やメロディーを試すかもしれない。そうすれば永遠に書きつづけることができる。でもぼくはもうつづけるには疲れすぎてしまったから、おわりにしたんだ。

3作目について教えてください。

3作目は他のアルバムとはちょっと違うんだ。さっき言ったとおり、半分はこれまでのアルバムの歴史と世代のつづきで、もう半分はとてもパーソナルなものだからね。ぼくは直接的にじぶんの歴史や家族のことを含めるつもりはなかった。だけど昨年起きたことで、それを妨げることはできなくなった。他のことについて書くことはほんとうにできなかったからね。だからアルバムの半分はよりぼく自身なんだ。居心地のいいものではなかったけど、おわらせる必要があったんだ。

3作のあいだに音楽的なつながりはありますか?

うん、シリーズを通じて音楽的なつながりがある。いくつかはとてもシンプルでとてもちいさなものなんだ。たとえば、「A Pound of Flesh」のオープニングのピアノのメロディーが「Everything Costs」のセカンドヴァースのバックで使われてる。そうやってちいさなものごとが繰り返されるんだ。家族の別のメンバーやこどもたちに関連したモチーフがあって、もし探したいなら、いくつかのちいさな卵が隠されているよ。それは特に重要なことではないけどね。ただの楽しむためのディテイルだよ。

特別な歌「Bad Blood」で三部作をおえた意図は?

もともとはまったく別のエンディングを考えていたんだ。もっと楽観的で陽気なエンディングをね。でも数々の出来事によって、よりパーソナルなものになってしまった。だからこういうおわりになったんだ。「Bad Blood」はぼくの人生におけるおおきな出来事についての曲だけど、これまで一度も音楽にしたことはなかった。14歳のとき、両親に家を追い出されて、高校時代にフルタイムでいろんな仕事をした。これまで書いたことなかったけど、それはぼくにおおきな影響を与えていたんだ。だから無視することのできないことのひとつだね。奇妙にもこのコレクションは14歳のときのぼく自身でおわるなんてね。

今回、もっともおおきな挑戦はなんだったでしょうか?

もっともおおきな挑戦はこれほどまでの感情的ストレスのなかでアルバムを作ったことだね。昨年はぼくの人生で最悪の1年だった。一度にこれほどの問題が起きて、これほどたくさんの醜い物語に取り組むことなんてなかったよ。いままでアルバムを完成させるのにこれほどもがき苦しんだことはなかった。ときどきは救いだったし、ときどきはただひどく不快だった。もうこんな状況のなかでなにかを作ることがないといいね。

「The Road to Nowhere」はたくさんの音楽的方向性がつまっていてとてもスペシャルですね。この曲をつくるときに起こったことについて教えてください。

この曲は大きく変化した作品だね。元々は別の楽器で、別のテンポだった。それでストリングスを入れようとしていて、ぼくがなにかしてるあいだに、弦楽器奏者のボーイフレンドがただコードを弾いていたんだ。それで曲のはじめに彼がアルペジオを弾いて、ぼくは「それは何だ?もう1回弾いてよ」って頼んで携帯電話で録音したんだ。それを聴いてからまた曲をぜんぶ書きなおした。主題は同じままだったけど、まったく別の曲になったよ。そう、だからアルバムのはじめのプランとは違うけど、最終的にはよくなったね。

あなたの声はときどきまるで家のなかに立っているように聞こえます。それは意図したことですか?

うん、それは意図的だよ。ぼくは部屋の音がだいすきで、レコーディングに入る際はいつもとても注意を払うんだ。真空のなかにいるように設計されたヴォーカルブースでの長時間は部屋の感覚はなくなるからね。リヴァーブも後から加えるし。ぼくは通常、部屋を使うから、きみが部屋の雰囲気を感じ取ったのはそのためだろうね。だからより親密に聞こえるんだろう。完全に乾いた、コントロールされた場所での作業する正反対の方向性でおこなうことはめったにないよ。ぼくはいろんな個性をもった場所を好む傾向があるみたい。

■3/25発売 Radical Face『The Family Tree: The Leaves』
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