hue and cry

Buck 65 Saves Music

Factorのアートワークをてがけるデザイナーnoyz319が主宰するナイスなアンダーグラウンド・ヒップホップのウェブマガジンUGSMAG.COMでみつけた記事がおもしろかったので、気分転換に日本語に訳してみました。

Buck 65が自身のウェブに寄せている「LOVE LETTERS」の最新のエントリーです。UGSMAG.COMでもコメント欄で多くのひとが熱くコメントを寄せています。

Buck 65が違法ダウンロードを憂え、音楽の価値について考えた文章です。Buckが言いたいのは、結局のところ解決策なんてないけど、「考えること」が大切なのだということだとぼくは感じました。彼はアーティストで、ぼくはレーベル、そして、このブログを読んでいるひとはリスナーと、立場によって考え方は異なると思いますが、それぞれがこの問題について考えましょう。

愛する人たちへ

ぼくにはアイデアがある。しばらくの間、そのことを考えて来た。まだわからない、けど、ぼくはダウンロードや音楽の価値という難問に対するひとつの可能性のある解決について考えている。そのアイデアはみんなのすぐ目の前にはっきりと正しいように思う。でもぼくはそのことにまだ誰も気づいていないように思う。これはぼくが取り組んで、チャレンジしていきたいアイデアなんだ。でも、いま、ぼくは本当はそれを正しく行うポジションにはいない。だから、空が曇っていく前にぼくはそのアイデアをシェアしたいと思ったんだ。

多くのひとたちと同様、知的資産や、特に音楽(ほかのすべてのアートのように)には価値があるとぼくは信じている。そして、知的資産がデジタル・フォームにおいて一度流布するとそれを止めることは難しいということもわかっている。

だから、もしある歌が、たとえば絵画のように扱われたら?もしアーティストによってたった1曲だけ、高値で売られたらどうなるだろうか?アーティストは前もってお金を得る(一度だけ)、そしてそのあとは、なりゆき次第だ。

可能性を想像してほしい・・・。もし、ミュージシャンがひとりの買い手に1曲を売ったなら、その彼や彼女が買ったものには、歌詞が書かれた紙や、その曲で弾かれたギターの弦や、レコーディングのあいだに履かれていたソックスや、ハンドメイドのアートワークも含まれる・・・。可能性は無限。

リークはアーティストではなく、買い手側の問題になる。だから、その買い手は単にその歌を世界に提供する人間になれる栄光を得ることはできるかもしれない。あるいは、たぶんそのひとは方向転換してそれを売ろうとすることもできるかもしれない。もしアーティストが特に厚かましく感じたなら、その彼か彼女はかなりのパブリッシング(料金)を買い手に売ることだってできる。

聴いたこともない作品を買うことはリスキーじゃないか?とあなたは質問するかもしれない。ああ、そうかもしれない。でも、ひどいマテリアルを売ろうとすることはアーティストの利益にはならない。このように一度買い手をだませば、二度目のチャンスは得られないだろうし、評判もガタ落ちだ。でもぼくはフル・アルバムはより確実だし、より価値があるものだとも思っている。

新しい、まだ知られていないアーティストはどうだろう?まず、このプランは彼には機能しない。新しいバンドはまずしばらくは自分たちの音楽をただで配ってでも自分たちの存在価値を証明して需要を築かないといけない。自分たちの作品を売ろうとするのはそれからだ。

プレスについてはどうだろう?このようなプランが受け入れられたら、ぼくらがいまよく知っている昔ながらの音楽プレスやプロモーションのシステムは存在できなくなることを意味している(もうすでにほとんどそうなっているけど)。プレスは新しい音楽のリリースより先にハイプを生み出すことはできない。ただ音楽が配布されたあとに論じられるだけに使われる。

一体誰が1曲のために高い金を払うのだろう?愛するアーティストキャリアにおいて意味のある役割を果たしたいとむしろ思うひともいるだろう。あるいはそこから利益を得ることができると考えるひともいるだろう(そのへんにいるずる賢い子どもはこれまでレーベルをかわす誰にでもできるプランを考えつくものもいた)。あるいは、別のファンをオーガナイズして彼らのお金をプールするかもしれない。

このように考えよう。もしレディオヘッドが新曲が入ったEPをeBayで、最低額$5000で売るとアナウンスしたとしたら、世界の誰かがそれを買うとあなたは思うか?たぶん、そう思うだろう?実際、たぶん結局それ以上の額で取引されるだろう。ぼくはそう思う。そして、世界中のレディオヘッドのファンは最終的にはそれらのレコーディングを聴くことになると想像できるだろう?いずれにせよ、なんとかして確かにそうできるだろう。

こんなプランはアーティストの手にすべての権力が置かれる。もしそれが受け入れられれば、苦しむことになるすべてのものは、とにかくいますぐなくなっていくように思えるものだと思う。ぼくらはみんな、ものごとがいま進んでいく流れが決して止まらないことを同意できるだろうと思う。このアイデアはものごとのあり方を受け入れているけど、アーティストを尊重したものだ。

これはただのアイデアだ。たぶん、起こらないだろう。いましばらくそのことを考えていた。なぜそれが機能しないかという理由なんて考えていなかった。もしなにか考えがあるなら、教えてほしい。

Buck


UGSMAG.COM : Buck 65 Saves Music

buck65.com/newsite (Love Letters)

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One Response to “Buck 65 Saves Music”

  1. 5月 13th, 2010 at 12:46

    wacko says:

    すばらしい!

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