hue and cry

Archive for 4月, 2015

egil olsenドキュメンタリーフィルム+ライヴ映像

先月、最新作『ooo what happened』をリリースしたエギル・オルセン。

アルバムのメイキングを収めた約20分のドキュメンタリーフィルムが公開されました。「新しいアルバムをつくるにあたり、まずじぶんのスタジオを建てるところからはじめた」と、まるで「ザ!鉄腕!DASH!!」のTOKIOのようなDIY精神。だけど、もともと音楽以外にアートワークもヴィデオもひとりで作っていたので、スタジオをつくっても不思議ではありません。シンガー・ソングライターの孤独を体現するなかなかのエピソードではないでしょうか。

「これまではうわべよくみせていたけど、今回は闇を掘り返そうとした」
「これは闇や無からいかに抜け出すかということについて作品なんだ」

と、『ooo what happened』のパーソナルでダークな雰囲気について説明しています。アルバムの最後を飾る「About to Leave」のミュージックビデオというかたちでこのドキュメンタリー作品は締めくくられます。「じぶんの心をより明るくするのが怖かった。シンガー・ソングライターにとっては悪くおもえたから」と歌うエギルの複雑な心境を示唆するように、カメラは結局アルバムには収録されなかった「WHY SO SAD」という曲名をとらえます(15:20くらい)。

難産だったとおもわれるこのアルバムによりすこし近づけた気がします。

そして、一方でこちらは多幸感あるライヴ映像です。2014年の夏に行われたノルウェーのフェスØyafestivalen出演時のライヴ。ノルウェーの国営テレビ局nrkによる37分の映像。

7人編成というエギル・オルセンにとってもっとも大きな編成でのライヴです。女性コーラスふたりのうちのひとりはオペラ歌手でもある彼の奥さんが務めています。

「Singer / Songwriter」の意外性のあるはじまりにいきなり笑みがこぼれますが、日本でも披露していた彼の芸もいろいろみれて終始ニヤニヤしてしまいます。「what happened」や「good talk」あたりの新曲も披露していて、アルバムの印象とはまた違う、エギルらしいハッピーなライヴ。ぜひお時間あってもなくてもご覧いただきたいとおもいます。

特に「good talk」からバンドメンバー紹介を挟んで、『アニー』の「Tomorrow」のカヴァー(日本でもカラオケで歌ってた!)というラスト2曲がほんとうにすてき!!

The Leisure Societyニュー・アルバム『The Fine Art Of Hanging On』

奇数年の春にきっちり2年ごとに新作を届けてくれるザ・レジャー・ソサエティが4枚目となる新作『The Fine Art Of Hanging On』とともに戻ってきてくれました。

*詳細はこちらをご覧ください:http://www.inpartmaint.com/site/12429/

アルバム・タイトルは「がんばりつづけることの芸術」。10代でキャリアをスタートさせ、33歳のときにザ・レジャー・ソサエティとしてブレイクを果たしたニック・ヘミングだからこそ出てきた言葉だと言えるでしょう。

2011年の傑作2nd『Into The Murky Water』と双璧をなすと言ってもいい本作。なんといっても1曲目を飾るタイトル・トラックがほんとうに感涙必至の出来なんです。

意外なシンセのビートからはじまるこの曲は前作におけるスタート曲「Another Sunday Psalm」であり、2ndにおけるスタート曲「Into The Murky Water」と同様にザ・レジャー・ソサエティ史上の名曲。つまりはアンセムです。風通しのいいサビの高揚感は「Into The Murky Water」をおもわせますね。ちなみにトランペットは前作同様ニック・エトウェル(マムフォード&ザ・サンズ etc.)が演奏。

音楽的にはザ・キンクスなど60年代英国ロックを意識した内容の前作と比べると、それ以前のチェンバーポップ感がすこし戻ってきた印象。

内容としてはガンと闘病する親友にアルバムのデモを送り、フィードバックを得ながら書いたということで、「人生にしがみつき固執すること」をテーマにしています(ニック・ヘミングの歌詞には「cling to」(しがみつく)という単語がたまにでてきますね)。リリックはより難解ですが、いつも以上に強い覚悟をにじませている印象。

「がんばりつづけることの芸術が/ぼくらを励まし命を高めてくれる」という「The Fine Art Of Hanging On」の一節にこれから何度も助けられる予感がします。

パッケージはいつものように豪華ハードカバーブックタイプ。Owen Daveyデザインによるサイファイ絵本のようなすばらしいアートワークは強い意志の塊であり、多くのひとがこの作品のためにがんばったという証明であり、フィジカルリリースの意地でしょう。たくさんの方々に手にとっていただきたい作品です!

「春のLiricoまつり」もぜひ!

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