20年変わらない「天使の歌声」
タマス・ウェルズ待望のニュー・アルバムが6年ぶりにリリース

「天使の歌声」と称される、メルボルン在住オーストラリア人シンガー・ソングライター、タマス・ウェルズ。6年ぶり、通算7作目となる待望のニュー・アルバムがリリース。
 
コロナ禍と父の死を乗り越えてようやく完成させた本作『To Drink up the Sea』は、ベースとドラムを初めて本格的に導入したアルバムとなった2017年リリースの前作『The Plantation』でのエヴァーグリーンなバンド・サウンドを踏襲しながらも、また新たな音楽的領域に踏み込んでいます。
 
タマスがかねてから大ファンだった、オーストラリア人シンガー・ソングライター、マルチ・インストゥルメンタリストであるマシーン・トランスレーションズことグレッグ・J・ウォーカーをプロデューサーに迎えて製作。ピアノとアコースティック・ギターを基盤にしたオーガニックなアコースティック・サウンドに、ウォーカーによってもたらされたチェロ、ヴァイオリン、マンドリン、クラリネットなどさまざまな楽器による豊潤なアレンジが長く耳に残りつづけます。
 
先行シングルとなった「It Shakes the Living Daylights from You」が特に顕著ですが、タマス・ウェルズ最大の武器である中性的な美しい歌声の多重録音ハーモニーと、グレッグ・J・ウォーカーならではのソフト・サイケデリック・フォークが融合した新境地は抜群の中毒性があります。
 
アルバム・タイトル(「海を飲み干すこと」)はドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの著作からの一節。「もし私たちが”海を飲み干す”なら、その中で航海することができるのか?」と、「神の死」を提唱したニーチェの虚無主義から彼が感じた抽象的な問いかけはタマス・ウェルズが書く歌の本質でもあります。
 
一度心を奪ったものを恒久的につなぎとめるその歌声は、タマス・ウェルズというアーティストが初めて世に現れてから20年経った今もその特別さは何ら変わっていません。

 

 

Track listing:
1. It Shakes the Living Daylights from You
2. Arguments That Go Around
3. Every Other Day
4. It’s Not the Same
5. Tooth and Nail
6. August I Think Nothing Much at All
7. A Little Wonder
8. Shells Like Razor Blades
9. The Tattoos on Anna’s Feet
10. To My Love