
masayoshi fujita
“Forest of Tranquility ”
マサヨシ・フジタ
『フォレスト・オブ・トランクリティ』
CD:¥3,520 (税込) / LP :¥4,730(税込)
AMIP-0401
2026年11月13日リリース
レーベル:Erased Tapes
▪️国内流通盤CDのみボーナストラック1曲のDLコード付き
大阪・関西万博「静けさの森」から生まれた新たな音の風景
masayoshi fujitaが、2025年大阪・関西万博の巨大な自然共生型インスタレーション「静けさの森(Forest of Tranquility)」のサウンドトラック制作を依頼されたとき、彼がすぐに思い描いたのは、訪れる人々が喧騒から離れ、心身のエネルギーを回復できる、穏やかな公共空間だった。6か月にわたって開催され、数百万人が訪れた大阪万博。その緑豊かな屋外空間には、中央の池と1,500本もの本物の樹木が配置されていた。それらは1970年の大阪万博会場や大阪府内の公園などから救出され、再利用されたものだった。彼は、ダイナミックな変化と穏やかな音の流れを用いて、聴く人と自然界の移ろいゆくリズムとのつながりを深めようとした。そうして生まれたのは、周囲の森を映し出すような、生きた音のタペストリーだった。非線形なパターンと質感の変化が織り込まれ、予測できない世界への入り口を作り出している。
この名誉ある依頼をきっかけに、彼がErased Tapesから発表する新作アルバム『Forest of Tranquility』は生まれた。日本の環境音楽(環境音楽/環境音楽)の先駆者である吉村弘、高田みどり、細野晴臣らの系譜を受け継ぎ、藤田は周囲の環境と調和するように作られた、穏やかで心をほぐす音楽を生み出している。2024年のアルバム『Migratory』に続く本作では、彼のアコースティック楽器――マリンバ、ヴィブラフォン、パーカッション――の有機的な響きが、自然が生み出すデザインそのものを映し出している。Hayk Karoyiによるアルメニアの管楽器ドゥドゥク、Mattias Hållstenによる日本の笙も加わっている。鳥やカエルのフィールドレコーディングは、木々の枝葉の間にひそむように配置され、アルバムの生態学的な性質とバイオミミクリー(生物模倣)の要素をさらに際立たせる。山々を吹き抜ける風を思わせる大気的なドローンやホワイトノイズの響きも同様だ。しかし何よりも目指されたのは、思索のための広々とした音の世界を作り出すことだった。
「音と音の間に、たくさんの空間を作りたかった」と藤田は語る。
ベルリンで13年間暮らしたmasayoshi fujitaは、自然の中で音楽を作ることを目指し、2020年に日本の田舎へ移住した。現在は京都から西へ約3時間、兵庫県香美町の海沿いにある山間の集落で、家族とともに暮らしている。周囲には水があり、ときには熊も現れるという環境で、かつての幼稚園をスタジオとして制作を続けている。そのため『Forest of Tranquility』の葉や木々を縫うように流れる音楽には、聴く者自身もいつか森の中へ迷い込み、二度と都会へ戻らなくなるかもしれない――そんな感覚がはっきりと漂っている。『Forest of Tranquility』は、7つの長編トラックによって構成され、それぞれが時間帯に応じて微妙に表情を変えていく。「生体リズムのようなものがあって、朝は少しゆっくり、空間を多めにして始まり、昼頃には少し活動的になる。そして午後には落ち着いて穏やかになり、6時頃にはまた少し活動的になって、再び静けさへ戻っていく」明るいマレット・パーカッションが特徴的な早朝の幻想や、午後の気分転換のような楽曲と、静かな夜想曲が並び、1日のあらゆる時間が、人間を超えた大きな存在によって導かれていく。
「自然は宇宙へのポータルなのだというイメージを持っていました。最近、自然について考えているのは、自然を通して、その向こう側に存在する宇宙を意識させられるということです」この考えをテーマにした「Portal to the Universe」は、セミの声、チャイム、木管楽器、遠くから聞こえる子どもたちの話し声などを素材に、自らの音の旅を作り上げる没入型の作品だ。聴く者の脳に「リラックスできる」という感覚をそっと促していく。この曲は一日の最後に流れる音楽として構想された。
「とても暗い夜空を頭の中に思い描いていました。広大な宇宙と記憶の海の中を、ゆっくり漂っているような感覚です」
こうしたイメージはアルバム全体に繰り返し現れる。
タイトル曲「Forest of Tranquility」は、その名の通り静けさを抱きしめるような作品で、彼によれば「森の中で始まる一日の柔らかな始まり、誕生のような感覚」を根底にしている。ドゥドゥクが印象的な「Light, Wind, and Water」は、マリンバとフルートが優しく彩る自然の元素への賛歌。そして「All Creatures Bow to Evening」は、手で奏でるパーカッションを取り入れ、黄金色の夕暮れの陽射しの中で猫がゆっくりと身体を伸ばすように、ゆったりと展開していく。そこには、心地よい疲労感のようなものがある。一方、「Departure」や「Komorebi Dance」では、マリンバをより大胆な筆致で描いている。繊細な余韻に星空のようなシンセやきらめく金属打楽器の音色を重ねている。「Komorebi Dance」は、木々の葉の間から差し込む陽光を意味する日本語「木漏れ日」に着想を得たタイトルだ。今回の万博での依頼では、会場に設置されたセンサーシステムを使い、天候に反応する音楽を作ることも求められた。そのため、2時間に及ぶ各作品について、晴れ・曇り・雨の3つのバージョンを制作。天候に応じて音の質感を変化させ、雨を象徴する音としてカエルの鳴き声も取り入れた。しかし、どんな天候であっても、どの時間帯であっても、世界のどこにいても、『Forest of Tranquility』が大切にしているのは「静寂」だ。喧騒から離れるための休息の時間を与え、そこに自分自身の思考を自由に描くための真っ白なキャンバスを差し出す。そして、ただ静かに宇宙を見つめるための場所をも提供してくれる。
Track listing:
1. Portal to the Universe
2. Departure
3. Forest of Tranquility
4. Light, Wind and Water
5. Komorebi Dance
6. All Creatures Bow to Evening
7. Time to Go
masayoshi fujita
マサヨシ・フジタ
ドイツ・ベルリンで13年間活動した後、2020年に日本へ帰国。現在は兵庫県香美町の山間の集落を拠点に、自身のスタジオで制作を続けるヴィブラフォン/マリンバ奏者、作曲家。
el fog名義ではエレクトロニクスとアコースティックサウンドの融合を試み、2010年にはJan Jelinekとのコラボレーションアルバムを発表。2012年に本名名義で『Stories』をFlauよりリリース。その後、Erased Tapesより『Apologues』(2015)、『Book of Life』(2018)、『Bird Ambience』(2021)、『Migratory』(2024)を発表。『Apologues』はPitchforkで8.2を獲得するなど、国内外で高い評価を受けている。
2025年には大阪・関西万博の自然共生型インスタレーション「静けさの森(Forest of Tranquility)」の音楽を手がけ、その制作を発展させた新作アルバム『Forest of Tranquility』をErased Tapesよりリリース。マリンバ、ヴィブラフォン、パーカッションを軸に、ドゥドゥクや笙、フィールドレコーディングなどを取り入れ、自然と調和する穏やかな音の世界を描いているのです。






