どの街にも必ず、その時代を背負う歌手が現れる。 
ヴァンクーヴァーのMac DeMarcoや、京都の中村佳穂、アトランタのFaye Webster、そしてブラジルはリオに現れた、この恐ろしいほどの才能。リオのシーンに在りながら、彼女の歌と演奏は、世界中のどの街にも響く。
 

Chico BernardesやSessaといった新進気鋭を輩出し、いま一際の注目を浴びているサンパウロのSelo RISCOからリリースされたこの2ndアルバム。
 
ギター弾き語りによるボサノヴァをガレージロック風味に味付けしたと思えば、ゆったりとしたグルーヴで管を鳴らし、サンバにブルースになんでもありな独自のMPBを展開。どんなに突拍子のない展開に思えても、2週目以降はそれしかないと納得させられてしまう、異常な跳躍力を充分に補う演奏の説得力。これは名だたる大御所から新人までを幅広く支えてきたヴェテランパーカッショニスト Marcelo Costaによる屋台骨のおかげだろうか。広いグルーヴ解釈の部屋の中で、自由に持論を展開する彼女の話は、何度聴いても不思議な魅力と新鮮さに溢れている。どんなに奔放でも、エキセントリックに振り切らないチルでリラックスしたキャラクターが優しい刺激となり、知的欲求をくすぐる未体験の心地良さを生み出す。
 
まだまだ無名の新人ながら、2019年の年間ベストに挙げられることも多いこの話題作が、アーティスト自身の強い希望もあり、オリジナル盤の独特なアートワークの雰囲気を損なわない様に、ポルトガル語をできるだけ日本語に翻訳した装丁でリリースされる。折り込み封入されるポスターの世界観も秀逸。
 

Track listing: 
1.Saudade
2.Promessa e previsões
3.Se no cinema
4.Tem certeza?
5.Chocolate
6.Vinheta
7.Torturadores
8.Devia ter ficado menos
9.Caspa