こんなにドラマチックでメロディアスなジャズ・コンピは初めて!時代を超えた秀逸な選曲の名コンピが登場。

ムジカノッサ主宰・若手No.1ジャズDJ、中村智昭が選曲・監修したジャズ・コンピレイションの決定盤。現在のクラブ・シーンに多大な影響を与えたグルーヴィーなスタンダードから、静かに心の琴線に触れる隠れた名演までを、メロディアスに完全網羅。躍動感に満ちたオープニングからロマンティシズム溢れる展開を経て、永遠の美しさへ辿り着く~まるでそれ自体が一つの物語であるようなドラマティックな1枚。

ベースがうなる衝撃のオープニング曲(1)と、続くワルツ・グルーヴ(2)はクラブではクラシック中のクラシック。ピアノ・トリオによる究極の美を感じさせる至福の(3)(4)などとにかく惹き込まれます。さらにオススメはシンディ・ローパーの大ヒット曲のピアノ・カヴァー(12)と、続く深く心に染み入るパット・メセニーのカヴァー(13)。音楽の力を改めて実感する1枚。

 

中村智昭の選曲は間違いがない。こういう選曲は誰にもできるはずだが、実は誰もできていないことを僕は知っている。誠実すぎるほどの選曲。彼は音楽の力を信じている。まるでドン・キホーテか何かのように。
かつて、これほどメロディアスなジャズ・コンピがあっただろうか。でも決して甘すぎることはない。むしろ真摯でストイックでさえある。バランス感覚、距離感には丁寧に気が配られている。この10年ほど、“JAZZ”や“LOUNGE”という言葉は、日本の音楽シーンでは使われ方が間違っていた。こういう“ジャズ・ラウンジ”なら僕も歓迎だ。
ユセフ・ラティーフ、ラムゼイ・ルイス、ロイ・エアーズ、アーマッド・ジャマル、マッコイ・タイナー、スタンリー・カウエル、マイケル・ホワイト、ファラオ・サンダース、ビル・エヴァンス&ジェレミー・スタイグ、テリー・キャリアー、ミルト・ジャクソン&レイ・ブラウン、ジョン・コルトレーン、ゲイリー・バーツ……知っている曲ばかり、と、したり顔のマニアな(サバービアな?)貴方は野暮。いや的外れなことだ。素直に音楽の良さを分かち合いたい人、音楽を通して誰かと共感したい人は絶対に聴くべきだ。
ブックレットの対談はフリー・ソウル・コンピ、トレイ下のピープル・トゥリーはかつての「bounce」へのオマージュ。『JAZZ SUPREME』が時代と闘う一枚なら、これは時代に寄り添う一枚。どちらも持っておいてください。

橋本徹(SUBURBIA / アプレミディ)

こつこつと積み上げてきた音楽への思いを聴かせてくれる秋のため のコンピ

松浦俊夫(DJ & CREATIVE)

コレクターというのは、もう好きで勝手に色々コレクトするから、 彼らの為にそんなに多くの労力を払う事はない。コレクターというもの、その多くはコレクトすることに興味があり、入手すること自体が喜びだ。
それよりもその中身、本当の意味での音楽、そうレコードに刻まれた音自体に感動するような、そんな人を増やしていければ良いと思う。
レアだとかマニアックだとかが重要ではなく、その中身の音楽が素晴らしいかどうか。その素晴らしい音楽がレアで入手困難であれば、どんどん伝えていかなくてはいけない。しかしどうしても音よりもその盤の価値(レコード屋で売られている値段)の方に重きが行きがちだ。
そんな中、中村君が選曲をしたこのシリーズはセルアウトの類いの軽さはなく、しかもコレクター向けの重さに支配されることなく、一つのコンセプトの元見事にコンパイルされていると思う。
是非多くの人の耳に届いて欲しいものです。

CALM

 

Tracks
01.Never Gonna Let You Go / Curtis Lundy
02.Time Is Love / Carmen Lundy
03.Sienna : Welcome My Darling / Stanley Cowell
04.Circle Of Friends / Matthias Vogt Trio
05.Tonight / Koop
06.Wives And Lovers / Clarke=Boland Sextett
07.Little B’s Poem / Dee Dee Bridgewater
08.The Lamp is Low / Carmen Lundy
09.Sun Song / Pharoah Sanders
10.Little Lady / Pat La Barbela
11.For Tomorrow / Peter Zak Trio
12.Time After Time / Cesare Picco
13.James / Natalie Williams
14.Rivers Of Our Fathers / Stanley Cowell
15.A WMC Autumn / The Eric Byrd Trio