“ピアノが生まれた場所”
Interview with h hunt

“お父さんの為に演奏したピアノ作品”と題された作品をデジタル配信のみでリリースし、坂本龍一氏がお気に入りのレストランの為に制作したプレイリストに選出された事で知られる事となったピアニスト。その暖かな音色や自由な発想のピアノサウンドはどこから生まれたのか。短いメール・インタビューですが、ちょっとだけでも彼の世界観が理解で来たような気がします。
Interviewer : Terukuni Makabe(p*dis)
 
*自己紹介お願いします
 
こんにちは、名前はハリー・ハント。この作品でピアノを弾いてる人だよ。
 
*どこでピアノを習ったのですか?
 
よく分からないんだ。何年か前にカシオ・CZのシンセサイザーを手に入れて、その音に夢中になったから、どんな風に演奏できるか試してたんだ。ちょうどピアノも手に入れたタイミングで、それしか練習する方法が無かったから、たまたま上達したんだと思う。
 
*ピアニストで最も影響を与えてくれた人はいますか?
 
特に無いかな。正直言うと、いわゆる”ピアノ・ミュージック”は聴かないんだ。
シンプルでちょっと変わった音楽が好きなんだ。僕は基本的にハーモーニー/反復/ノイズ/トラブルから派生するとてもシンプルなアイデアのインプロヴィゼーション(即興音楽)が好きなんだ。そういった演奏をする人にとても興味があるよ。
 

 
*なぜこのアルバムを制作しようと思ったのですか?
 
僕のお父さんへのクリスマス・プレゼントとして作ったんだ。父は本当に変わった人で、お互いにインプロヴィゼーション・ミュージック(即興音楽)が好きで、ピアノも演奏するし、おじいさんにも弾いてあげてたんだ。僕はお父さんに感謝の気持ちを伝え方を探したんだよ。すべての曲が穏やかで、僕の未熟でラフなイメージや、その瞬間の新しいアイデアを元にしてるんだ。
実は、この作品は別のバンドとのレコーディングを行っていた時に、その合間を縫って演奏したんだ。特にこの作品の為に用意したスタジオでは無くてその場の雰囲気で作り上げた。でもレコーディング後に聴いてみたら仲の良い友人ローリー(一緒にレーベルtasty morselsを運営している)が気にってくれて、リリースする事にしたんだ。
 

 
*曲名がいいですね。とてもシンプルだけと多くの意味を含んでいるように思えるのですが。
お気に入りの曲とそのタイトルを付けた理由を教えて下さい。
 
一番好きな曲は”having a bath — お風呂”だね。お風呂に入ってるときに聴くのがベストだと思って2つのコードで作ったんだ。でも僕はお風呂の時に曲は聴かないなぁ(笑)
 

 
*あなたの曲には鍵盤を弾く音/鼻歌/様々なノイズなどそのまま入っています。それがとても美しく感じるのですが、なぜそれらの音を曲に中に入れたのですか?
 
なんでそうなったかは分からないけど、そう言ってもらえると嬉しいよ。自然に起きた事をレコーディングするのが好きなんだ。何度もやりたくないから、このアルバムはワンテイクで録っているし(他のレコーディングの最中だったから)、何も準備してなかったんだ。ローリーがピアノとマイク2つをセットアップしてくれたんだ。1曲目(c u soon — すぐに会いましょう)の最初に彼が部屋を出て行く音が入ってる。僕にとっては偶然のハプニングなんだけど彼は全部分かってやってたんだ(笑)
(2018年12月14日 メールでのインタビュー)