 |
カマーフリマー・コレクティーフの中心人物トーマス・ウェーバーにインタビュー!
アルバム「Jinx」について、また最近よく聞いている音楽や好きな言葉など、いろいろ語ってくれました。
インタビュアーは、日本でカマーフリマーを語らせたらこの人しかいない!AFTERHOURSの大漉高行氏です。 |
●いつもアルバム・タイトルの意味が気になります。今回の『ジンクス』の意味は? 複数の意味があると思うのですが。
|
トーマス:一般的な迷信や民間伝説な意味合いの「ジンクス」は、
1. 些細な不運や他の形の悪運をたくさん起こす、人を苦しめる呪いのようなもの。
2. 同じような呪いに冒された人。その人自身が直接的に不運の連続が起きるわけではないが、呪いをかけられた人がその人と共通するエリアにいて、周りの人にも影響を及ぼしているように思われる。
3. 悪運を運んでくる対象、又は動物。
4. ありふれたスラングで、2人が同時に同じ事を言うときに使われる。(11歳から14歳くらいの若い子供たちの間で行われるゲームの中で、気味の悪い超自然の妨害を暗示する言葉として言われる。)
又は、ルー・リードの素晴らしい曲の一つ”street hassle”で言ったように、「ある人々には選択肢がなかった / 彼らは声すらも見つけられず / 自分自身を呼ぶ声すらも / だから彼らが最初に見るものが / 彼らに存在する権利を与える / どうして、彼らはそれに従うのだろう / それを何て呼ぶか知っているかい? / 「悪運」さ。
語源はラテン語のiynxから来ているのかも知れません。iynxは首の曲がった鳥で、時折魔術や占いで用いられ、蛇のようにシューと鳴きながら首をほぼ180度に回す事が出来るとても珍しい鳥です。
さらに言えば、son houseが1942年に録音した”ジンクス・ブルース”という曲があり、「自分のベッドを取り巻くジンクスと共に、わたしは今朝目覚めた。」という歌詞ではじまります。 |
●前作からメンバーが半分になっています。メンバー構成をシンプルにした理由を教えてください。 |
2004年から、個人的事情や、業務遂行の上の事情で、6人だけではなく、小さな人数編成でもライブを行ってきました。一番タフでメインとなった編成は、Johannes Frisch(ダブルベース), Heike Aumueller (ハーモニウム)、そして私 Thomas Weber(guitar & electronics)のトリオでした。このトリオの編成は、―6つの目は固く閉ざされているー、私たちの試みのために十分な空間を与えてくれて、新しい発展と体験のための新しい基礎となりました。楽曲も発展し、より有機的で自由な雰囲気になりました。
「ジンクス」、私たちの6枚目のアルバムは、ハンブルグのエレクトリック・アヴェニュー・スタジオでTobias Levinと一緒に録音されました。このアルバムは、トリオで行ってきたたくさんのコンサートの直接的な結果として見ることができます。
ジンクスの土台になっているものは、ベース、ハーモニウム、ギターの即興演奏をライブ録音したもので、それを後で編集、修正をかけました。他の3人のミュージシャンもまだコレクティーフのメンバーですが、彼らはまだ冬眠のような状態にいます。 |
●ボーカルを全面にフィーチャーした曲があります。これには何らかの意図があったのでしょうか? |
声を用いた事もまた、トリオの即興演奏から生まれた自然な発展です。これは「奇妙な言葉を話す事」、又はシャーマンのドゥーワップのようなものです!本当の歌詞は無く、もっとスキャットっぽい性質があります。(スキャットはジャズにおける即興のヴォーカルテクニッックで、意味の無い音節、又は言葉が歌われ、しばしば他のミュージシャンとの間で行われるコール・アンド・レスポンスの一部になっています。)私たちは今だにバードランド(注1)が好きなのです。
(注1)バードランド:パティー・スミスの曲名。スキャットで歌われる個所があります。 |
●ここ数作で一貫しているアートワークのコンセプトについて説明してください。
|
カマー・フリマー・コレクティーフのすべてのアルバムのアートワークは、メンバーのHeike Aumu¨llerによるものです。彼女はまた一人のアーティストとしても活躍しています。彼女の作品について詳しくはこちらのリンクをみてください。
http://www.meyer-riegger.de/de/index.php?cat=artist&artist_id=3
カマー・フリマ・コレクティーフのアートワークは、常に表面下で音楽と結びついています。
|
●ここ数年、どんな音楽を好んで聴いていたんでしょうか? |
ヘビーローテーションのリストです。
Thelonious Monk - Abide With Me
39 Clocks - Past Tense Hope & Instant Fears On 42nd Street
Bruce Langhorne - Riding Thru the Rain
Ornette Coleman - Love Life
Matching Mole - O Caroline
Getatchew Mekurya - Tezeta
Terry Riley - In The Summer
Slapp Happy - Blue Eyed William
Tim Buckley - Love From Room 109 At The Islander
Nico - Secret Side
Don Cherry - Infinite Gentleness
Loren Mazzacane Conners - Along The Way
Marvin Gaye - I Want You
Noah Howard - Queen Anne
The Honeymoon Killers - Laisser tomber les filles
Jim Dickinson - O' How She Dances
Cpt. Kirk &. -Drausen Ist Freundlich
Ton Steine Scherben - Voruebergehen Geschlossen |
●ここ数年、あなたを支えている言葉があれば教えてください。 |
人生についての言葉:
ここではすべてが天国だ。しかし本来の天国とは違う。天では、鳥たちが頭を下にたらし、様々なジェット気流にしがみついている。入れ替わる事は無い。太陽は輝いているが、それは本当の太陽ではない。それは月。さて、いつ夜は更けたのだ?
-Dietmar Dath (1970) ドイツ人作家、詩人、小説家。
現在の時点で彼の書籍は残念ながらまだ翻訳されていません。
夢についての言葉:
彼は私にとってただの「言葉」でしかなかった。君と同様、私も実際にあいつを見ていない。君は彼に会ったかい? 物語を見聞したのかい? 何か見たのかい? 私は、夢とは馬鹿げた試みを創造しようとしている事だと君に伝えようとしている。夢に無関係なもの、不条理、驚き、そしてとまどいが、反抗しようともがき苦しむ振動の中で混じり合い、信じられないような事象よって捕らえられた概念(夢の本質なところ)が、夢の感覚に伝わる。いいや、それは不可能だ。誰かの存在の何かはっとするような瞬間なしでは、生の感覚を伝えるのは不可能だ。それは、真実、真意、かすかながらも鋭い本質を創造している。不可能なんだ。私たちは一人で夢を見るように、生きているのだ。
- Joseph Conrad - Heart Of Darkness
楽曲についての言葉:
そしてもちろん、それがこの全てなのだ。この全てとは、変わりゆき、転生してゆく、この一つの曲。人類と共に、又たとえ誰もいない状態でも、言葉では表現出来ない何かを話し,話されゆくこの曲。礼拝者でも解脱者でもあり、愚者でも賢者でもあるこの曲。私たちに笑いと踊りをもたらし、また我らの命は病的な書物であり、病的な韻であり、逃亡であるという事実と死に対面しつつも意味もなく不可解なまま至福を与えられつつただ歩みゆく事を、他のどの曲よりも感銘させてくれるこの曲。多分それらの歌以外では。限りなく転生してゆく、あの曲。 真実でもあり、月そのものでもあり、6月の真理でもあり、言葉のない青々とした呻きでもあり、安酒でも,可憐な詩でもあるあの曲。ユリシーズの名の無い黒い船体であり、長く黒い汽車であり、テラプレインでもあり、謎の電車でもあり、ロケット88でもあり、ビュイック6でもある。同じ旅を、同じ奇跡を、同じ終末又は永遠があの曲なのだ。
- Nick Tosches, Where Dead Voice Gather |