“フリー・フォーク”なんて言葉が生まれる前から、フリー・フォームでサイケデリックなサウンドを展開してきたジャッキー・O・マザー・ファッカー(以下、JOMF)。USインディーズ・シーンの秘宝ともいうべきバンドが、ついに日本にやってきた。前座はなんとDMBQ! ステージではナパーム弾が炸裂するように轟音が吹き荒れ、最後にはドラム・セットを積み上げてなぎ倒すという強烈なパフォーマンスを展開。そして、その興奮も覚めやらぬなか、JOMFの演奏は静かに始まった。
 登場したメンバーは、トム・グリーンウッド、ダニー・ササキ、ブルック・クルーザー、ニコラス・ビンデマンの4人。メンバーそれぞれのプレイは実に穏やかで、音の響きや展開を細かに調整しながら幽玄なサウンドスケープを生み出していく。セッションはインプロヴィゼーション色は強いものの、流れはスムースで繊細。バンドの演奏は最初のモチーフをなぞりながら、バームクーヘンみたいに幾重にも音の層を重ね、深みを増した音はステージをフワフワと漂って、やがてフロアへと溢れ出す。
 メンバーそれぞれが自分のペースで、集中しながらもリラックスして演奏している姿が印象的だった。唯一の女性メンバー、ブルックに至ってはシンバルを頭に乗せて叩いたり、ほかのメンバーをからかったり。そういった開放感が、広がりのあるセッションへと繋がるのかもしれない。そして、そんなゆったりとしたセッションに身を任せているうちに、ジワジワと周囲の空間が変わっていくような不思議な感覚ーー。彼らが類い稀なライヴ・バンドだということを実感させられる味わい深いステージだった。次はぜひ、野外なんかでも聴いてみたい。(村尾泰郎)
 


   

JOMFジャパンツアー後記

2006年11月よりhelllの安永氏と始めたJOMFジャパンツアーの企画。いろいろなことが起きた。JOMFのツアーのオーガナイズで、まずなにが一番大変か。それは、みんながばらばらのところに住んでいて、メンバー1人1人と連絡をとらなければいけない事。手間が4倍。それから、今回のJOMFのジャパンツアーは、本当はタイのバンコクで行われるフェスティバルに出演した後に組まれる予定だった。しかし、2006年の年末にバンコクで爆弾テロが起き、タイ国内で大人数が集まるイベントが自粛され、フェスティバルも残念ながら中止になってしまった。1月頭にタイのフェスが行われるかどうかという話になって、実際中止が決まったのが1月28日。フライトのルートや飛行機代もタイのフェスティバルと振り分けていたし、もしフェスが中止になったら、日本公演も中止にすべきか、それともフライト代往復負担して続行するか、本当に悩んだけど、回りのみんなの助言とか、そしてなにより、それまでがんばってきた努力を無駄にしたくなくて、続行決定。

また、去年の11月から東京の対バンを探し続けて7連敗し、その間に大阪のイベントの方のブッキングが好調に決まっていくというプレッシャーで、オーガナイザーのタテワキ氏(vampillia)にやつあたりしていた。そんな中、JOMFのメンバーのニックの友人、DMBQの増子さんから奇跡的に電話をもらってDMBQに対バンのオファーをしたのが、1月29日。

神経が本当に参りそうな1月だった。けど、のりきった。そんなこんなで2月になり、やっとすべてのことが解決し、本格的なフライヤーも作れることに。

ツアーの日程が近づいてきて、さて次の心配は、メンバーがちゃんと日本に到着するかという事。3/7に到着予定でみんな各自で飛行機のチケットをとってもらう。しかし、ニックとダニーが到着の日にちを勘違いして、3/8到着に。でもライブの前の日には日本にいるので、良しとする。

3/8に到着予定はポートランドよりトム、カナダのケベックよりブルック。二人の到着時間とターミナルが違うため、この日はmapの福田さんがトムの出迎えに手を上げてくれて、わたしはブルックの出迎え担当に。到着日の朝、メールを見てみると飛行機にのっているはずのブルックからメールがきていた。ケベックの空港で問題があり、なんと飛行機に乗れなかったという内容。ちょっと青ざめたけど、3/9に必ず到着すると書いてあったので、一安心。そして、午後、トムが無事に到着したと福田さんから連絡があった。二安心。3/9はポートランドからニックと、ワシントンからポートランド経由のダニーが一緒に到着、そしてルームメイトのタガワさんが迎えにいってくれたブルックも無事に到着の連絡が。やっと完全に安心。

3/10東京公演当日、わたしの家に泊まっていたブルックと一緒に会場のo-nestに向かう。本当にとんでもない量の機材を持って来ていて、こんなに重いものたちをよく一人で持ってtきたなと感心していたけど、それを運ぶのを手伝ってみたら、すごいしんどかった。電車で渋谷の駅について、道玄坂を上る体力がなくなっていたため、タクシーにのり、会場の前につけてもらう。そして、機材をタクシーからおろしていた時に、「ガンッツ」と音がして、ブルックが「シット」と叫んだ。ブルックのギターのストラップが外れて、地面にギターを落とした音だった。機材をステージに運んで、すぐにギターをチェックすると、ボディーの横の部分に大きな亀裂がはいっていた。ブルックは相当ショックだったし、演奏ができるのかも心配だった。応急処置で亀裂をガムテープでぐるぐる止めて、音を出してみると、音が出た。けれども、古いギターで修理にはとてもお金がかかるだそうし、JOMFでは問題にならいないと思うけど、他のバンドでは障害がでるだろうと、ブルックが相当落ち込んでいた。何もしてあげられないし、本当にかわいそうだった。彼女は空港の税関かどこかでクラリネットも壊していた。

と、東京公演が幕を開けるまでに本当にいろいろな事が起きた。

たった2日のツアーだったけど、東京のイベントも大阪のイベントも大盛況につつがなく終わって、ツアーは大成功。メンバーも大満足して本国に帰っていった。

今回はじめて海外の「バンド」の招聘の仕事に携わったけど、本当に大変だと思った。安永氏やタテワキ氏をはじめ、いろいろな人の助けを借りなければ、実現は不可能だった。この場を借りて、協力してくださったみなさまに、お礼申し上げます。こんな大変なことを少人数でやっているレーベルとかオーガナイザーの人たちって、本当にすごいです。
(yacca 下村雅美)

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