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| 米オレゴン州ポートランドの実験ポップ・コレクティブAUの中心人物Luke Wyland (ルーク・ワイランド)にインタビューしました!日本ではまだまだ知られていないバンドですが、このAUの魅力を出来る限り伝えるべく、気合いの超ロングインタビューを敢行!インタビュアーは、HeadzやWarszawaで活躍してきたライターの薮崎今日子さんです。 |
まず、あなたの基本的なバックラウンドを教えて下さい。生まれ育った場所はどこですか?
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Luke : 生まれは1981年、オハイオ州コロンブス。15歳までコロンブスで過ごして、高校に進学するために、アメリカ北東部にあるニューハンプシャー州へ移った。そこからボストンにあるマサチューセッツ芸術大学へ通って、オレゴン州ポートランドへ移るきっかけと出会ったというわけさ。 |
現在はオレゴン州ポートランドを拠点としているそうですが、ポートランドは以前住んでいた場所での暮らしと比較していかがですか?ポートランドには独自のアンダーグラウンドな音楽シーンがあるかと思います。それについてどう思われますか? |
Luke : ポートランドでの生活は自分にすごく合ってると思う。信じられないくらい美しい街だから、木々や火山に囲まれたもっと大きな街に住んでるような気分になって、コンクリートやレンガの外がどんな感じなのかを思い出せるよ。ニューヨークやサンフランシスコ、シカゴなんかの他の大きな都市と比べたら、生活費もそんなにかからないしね。音楽シーンについて言えば、一緒にプレイできる友達にたくさん出会えて、とてもラッキーだと思ってる。シーンの中でもさらに小さなグループに分かれてすぎてはいるけど、おもしろい音楽に溢れた街だよ。 |
あなたが自分で音楽を始めるようになったきっかけなどがあれば教えてください。
また、子供の頃にクラシック・ピアノを学んでいたと聞いています。ピアノを始めたきっかけなども教えて下さい。 |
Luke : ピアノを始めたのは4歳のときで、たくさんあった習い事のうちのひとつだったんだ。いい腕の訓練になった記憶はあるけど、音楽の理論についてはあまり覚えてないな。大きくなるにつれて、母親があらゆるスポーツを習わせていたから、ピアノもだんだん義務的なことになってしまったんだ。毎日ピアノの前に座らされて、タイマーできっかり30分、っていう具合にね。よく親が考えるような、子どもにいろんな経験をさせうう、っていうやつだったんだろうけど。13歳のときに、これ以上スポーツに集中するのはやめようと思った。サッカー、体操、ダイビング……名前を思いつくようなスポーツは大体やったことがあるよ。再び音楽を始めたのは、ニューハンプシャーに移ってからなんだ。最初の友達に出会ったのもそこだし、初めてバンドでプレイしたのもその時だよ。当時は、60年代と70年代のサイケデリアに強く影響されたフリーインプロビゼーションと、グレイトフル・デッドの曲をプレイしてた。高校を卒業してからは、音楽の学校へ行くのをやめて、ボストンのマサチューセッツ芸術大学(Massartとも呼ばれている)で、ビジュアルアートの勉強をしたんだ。アートスクール時代も半分を過ぎた頃から、曲を書くことに集中し始めた。ラッキーなことに、そういうことが簡単にできる大学だったんだよ。
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子供の頃の、音に関する記憶でもっとも古いものはなんですか? 音楽でも音そのものでも、なんでも結構です。
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Luke : 僕が生まれる前から、母親はエアロビクスの講師をやっていたんだ。僕がお腹にいる間も授業で教えていて、僕も人生最初の数年間はエアロビ・スタジオの託児所で過ごしたよ。ぼんやりした記憶だけど、スタジオと託児スペースを仕切るガラス窓や、窓の反対側で80年代のダンスビートが響いていたのを覚えてる。 |
あなた自身はアート・カレッジ出身だそうですが、専門は音楽だったのでしょうか? 大学での専門について教えてください。 |
Luke : マサチューセッツ芸術大学には、the Studio for Interrelated Mediaというとてもユニークなプログラムがあって、学生は大体4〜5人ずつ、学部に関係なくグループを作れるようになってるんだ。しかもそれぞれ違った専門の先生に教わることができる。例えば、ひとりはコンピューターアートの専門家で、もうひとりはダンス、また別のひとりはビデオアート、という具合さ。結局、ジョン・ホランドが僕の先生になった。彼は、ジョン・ケージのような思想家/作曲家による現代音楽の学校出身で、曲の構造や、型にはまらない様々な作曲方法を教えてくれた最初の人だった。彼と出会うまでは、フリーインプロビゼーションの世界にどっぷり浸かっていたからね。セシル・テイラーのような(それほどおもしろくないにしても)本当の意味でのピアノの自由な演奏方法を練習したよ。ジョンと一緒にやるようになってからは、自分のアイデアを構造化するようになったし、そのおかげで僕の最初の曲ができたんだ。2002年のことさ。
最初は、音楽自体は僕にとっての一番の関心ごとではなかったんだ。それよりもビジュアル作品や木を使ったクラフト作品に没頭してた。もともと、楽器の構造に興味があったから、オーダーメードの楽器を作る木の職人になりたかったんだよ。だけど最終学年も終わる頃までには、録音したり演奏したりを重ねていて、でもこれってアメリカのアート学校では珍しいことなんだよ。大学で音楽を勉強した人はたいてい音楽の学士号を取るけど、僕は美術の学士を取って卒業したんだ。結局はそれが僕のクリエイティブな仕事における方向性を決定して、学校で習うような伝統的なやり方とは違った独特の作曲方法を見つけるヒントになったと思う。 |
あなたはマルチ・インストゥルメンタリストで、アルバムのクレジットを見ると、ギター、ピアノ、アコーディオン、キーボード、ドラムス、パーカッション、メロディカ、etc.と、とてもたくさんの種類の楽器を演奏されています。その中でも最も自分らしいとあなた自身が思うもの、あるいは自分の基礎になっている楽器はありますか? また作曲はどの楽器を使って行いますか? |
| Luke : ピアノは今でも、自分を表現するのにいちばんの楽器だね。アコーディオンが二番目かな。何年かピアノもキーボードもなしで過ごした時期があって、そのときにアコーディオンで新しいアイデアをいくつも思いついたんだ。それがアグーレコードのアレク・ダートリーとの出会いでもあったんだけど。それ以来、アグーレコードとは一緒に仕事をしてるよ。彼はアコーディオンのソロアルバムをリリースすることに興味を持っていて……まだ実現してないんだけどね。僕がもう少し歳をとったらやるかも。実際にいろいろな楽器で作曲もするけど、どれも僕の音楽にそれぞれ違った傾向をプラスしてるよ。 |
| Auとしてのあなたの活動がスタートしたのは2005年だと聞いていますが、Auというプロジェクトを始めたきっかけや意図を教えて下さい。 |
| Luke : もともとのバンド名は「luc」で、ファーストアルバム『peaofthesea』のリリース前の数分で決めた。それまでは特に名前はなかったよ。ポートランドに移って、フルバンドでのライブ活動が中心になるにつれて、名前を変えなくちゃいけない、って思ったんだ。メンバーを自分の名前で紹介するなんてばかみたいだからね。それで「Au」が浮かんだというわけさ。なんでこのプロジェクトを始めたかっていうと、ソングライティングとポップミュージックに対する自分の興味を追求するためだったんだ。ある意味、自分が生まれついた場所や性質に繋がろうとして、そしてそこから離れようとしていたんだと思う。 |
AUは基本的にはあなたのソロ・プロジェクトとして考えてもよいでしょうか?
ジョナサン・シラフ (クラリネット, ミュージカル・ソウ), マーク・ケイラー(ドラム), サラ・ウィンチェスター (ボーカル)はファースト・アルバムにもクレジットがありましたが、彼らがあなたのコラボレーターのメイン・メンバーなのでしょうか? また、彼らはそれぞれどういうバックグラウンドの人ですか?またあなたにとってどういう存在?彼ら以外にも特別な存在がいたらぜひ言及してください。そういえば、Jackie-O Motherfuckerにも参加しているダナ・ヴァラトカともコラボレートしているようですが、彼とはライヴを一緒にやるというスタイル?(私たちはJOMFの日本盤も出しているレーベルなので、AuとJOMFとの関係を詳しく知りたいと思っているのです!) |
Luke : AUはソロとバンドの間を行ったり来たりしているプロジェクトなんだ。曲やライブや、それにまつわるビジネスなんかの起点はすべて僕だけど、これまでにライブバンドとして、3つか4つの形があって。結局はバンド編成でプレイするのをとても気に入ってるよ。今は親友のダナと二人で、ツアーのためにあちこち旅してるよ。ジョナサン・シラフは素晴らしいクラリネットとギターのプレイヤーさ。彼とは2003年に、ポートランドのフリーインプロビゼーションのコミュニティで出会った。僕の好きなドラマー、マーク・ケイラーともそこで出会ったんだよ。サラ・ウィンチェスターとは大学時代に出会ってからの長い付き合いだね。僕に歌うことを教えた最初の人物であり、僕はバンジョーとアコーディオンで彼女をサポートしてた。彼女は今ポートランドにいて、A Weatherっていうクールなバンドでプレイしてるよ。他のコラボメンバーとしては、「Verbs」収録曲中の3曲でシンガーとして参加しているベッキー・ドーソン。彼女はアイダホからポートランドに移住してきて、彼女の別のバンド、Ah Holly Fam’lyと一緒にプレイしていて出会った。彼女は炎のような情熱と素晴らしい声を持ってる。「RR vs. D」は彼女の声を活かすために書かれた曲なんだよ。
彼らはみんな素晴らしい共演者で、曲を作るうえでもすごく力になってくれてる。僕はときどき、誰かの長所を活かす仕事をするために曲を書くんだけど、そうすると、みんながそれぞれ自分のビジョンを持ち込むから、僕がまったく想像していなかった方向へ進むんだよ。
ダナとはボストンで2001年頃に出会った。僕らはKyla Cech 、Morgan Hobarと一緒にwherewithalっていうアートロック・バンドでプレイしてたんだ。2002年にみんなでポートランドへ引っ越して、それ以来、いくつかのバンドでプレイしてる。彼はポートランドでの僕の親友のひとりだし、古い友達でもある。JOMFのトムは、ポートランドの実験音楽シーンではたくさんの友達とプレイしてて、ダナは数年前からパーカッション・ノイズ担当として彼らとツアーを回るようになったんだ。ダナと僕はツアーメンバーの中心で、他のみんなはそれぞれの都合で長いツアーには参加できないから、各ツアー先で参加してもらう感じだね。「Verbs」のレコーディングでは、マーク・ケイラーとジョナサン・シラフが中心メンバーだったよ。僕らは一年以上も一緒にプレイして、ツアーもいくつか一緒にやった。「Verbs」が完成して、ツアーに出るっていう段階になって、二人はバンドを抜けなきゃならなくなったんだ。二人とも結婚して、マークには子どもができたからね! そういうわけで、彼らは何ヶ月も旅をするわけにはいかなかったのさ。それでダナと僕は協力して、バンドの活動が終わってしまわないようにタッグを組んだというわけさ。彼とデュオという形でやれてとてもハッピーだよ。始めは、僕らのようなライブをみたことがない人たちがあまりにもたくさんいることに、すごく戸惑ったけどね。結局、僕らの曲にはおおまかな構成しかなくて、ライブによってもう一度、解釈ができるような形になってる。これについては、次の質問で詳しく答えるよ。 |
| また、今回日本盤用にお願いしたボーナストラックは、まだ私は聴くことができていないんだけど、Parenthetical Girlsの曲をカヴァーしている、という情報を得ました。Parenthetical Girlsの新しいTomlabからの新しいアルバムのplayersリストには、Jonathan Sielaff の名前があったし、なにより最後のサンクスの所にあなたの名前を発見しました! 彼らとは親しい間柄のようですね。なぜ彼らの曲を今回ボーナストラックに選んだのでしょう? |
Luke : The Parenthetical Girlsのメンバーはみんな僕らの友達なんだ。5月にもお互いのメンバーと一緒にウエスト・コーストでツアーをしたんだけど、すごくよかったよ! ツアーの旅が終わるまでとにかく楽しくて、メンバー同士も仲良くなったし最高だった。
僕らがカバーしてる “Here’s to Forgetting” っていう曲はとくにお気に入りで、彼らと一緒にライブでプレイして一番楽しかった曲でもあるんだ。
それに、この曲と僕の作る曲には共通する感覚があるからとてもやりやすかったね。 |
| Parenthetical GirlsとAuの音楽は、感触はもちろん違うけれど、モダン・クラシックのようなサウンドとトラディショナルなアメリカン・ポップとの組み合わせの妙や、おとぎ話の世界の中にいるような雰囲気など、底の方で通じ合っているような印象を私は受けました。そのことについてはどう思われますか? |
| Luke : まったく同感だね。音楽的なバックグラウンドや好みは違うのに、僕らの音楽にはとても似た空気があるんだ。 |
| CD『Verbs』にメンバーの写真が載っているけど、それぞれ誰が誰だか教えてくれますか? |
左上: サラ・ウィンチェスター
左右: マーク・ケイラー
真ん中 :僕
左下: ジョナサン・シラフ
右下: ベッキー・ドーソン |
バンド名をAUと名付けた由来を教えて下さい。
ちなみにAUというのは金の元素記号だけど、それは由来に関係あったりします? |
Luke : 「AU」はできるだけあいまいな意味にしておきたかったんだ。僕はいつも物事にレッテルを貼るのがすごく苦手で、それよりも自分がやっていることに対して、解釈の余地を広く残しておくほうが好きなんだよ。
例えば、次に挙げるものも、AUの意味の可能性があるものだよ。
Au= Gold 金
Au=Astronomical Unit 天文学的な単位(地球から太陽の距離)
au = フランス語のa(aの上にチョン)という前置詞。しばしばin(to)やat意味する。次にくる短縮形を作り出すために、定冠詞と結合する。 |
| Auの音楽性は、アメリカの伝統的なポップスやロック、同じく伝統的なアパラチアン・フォークをはじめ、インプロヴ・フリージャズやミニマル・ミュージック(特にCharlemagne PalestineやPauline Oliverosの音色)、アヴァン・フォーク、プリミティヴな民族音楽、ドローン、アンビエント・ミュージック、ノイズなども重ね合わさった、非常にワイドレンジな魅力を湛えているものだと思いますが、多分すごくレコードマニアなんじゃないかな?と勝手に想像したりしていました。自分の音楽活動と切り離せないような刺激を受けたミュージシャンを教えてもらえますか? |
Luke : 下記がその比較的短いリストです。
John Coltrane
Phil Elvrum (Microphones, Mt. Eerie)
Terry Riley
Steve Reich
Keith Jarrett
Miles Davis
Bjork
Music from Mali
Music from Laos
Gagaku music
Miles Davis
Pauline Oliveros
Paul Simon
Michael Jackson |
| 『Verb』はとてもインプレッシヴで刺激的なアルバムでした。私はたくさんの事柄を感じました。大勢のシンガー達のコーラスから、人間の肉声に宿るパワーを感じたし、ホーンセクションとハンド・クラッピングや歓声/嬌声と合わさった瞬間、音楽がアンセムと化していったようでした。ナイーヴで表現豊かなあなたのヴォーカルとパワフルで陽気なアンセムが一体化したとき、それはまるで架空の宗教の祝祭の時に歌われるような音楽やカーニバルのようだと感じました。カラフルでポップで少しひねくれている点が、これはかなり個人的な感想になってしまいますが、私は「ひょっとしたらKurt Vonnegutの小説『Cat's Cradle』に出てくるBokononism(ボコノン教)のカリプソ音楽ってこういう音楽なのではないかしら?」と思ったのです。「Summerheat」という曲でlap steelが使われていて、それがsteelpanの音を思い出させて、そこから南の海・カリブ海と連鎖してカリプソに繋がったのかも、と自分では推理するのですが…。これについてどう思われますか? Kurt Vonnegutは好きですか? |
| Luke : カート・ヴォネガットは僕も大好きさ。昔よく彼の小説を読みふけってた。ヴォネガットや村上春樹みたいな幻想的リアリズムが好きなんだ。あのちょっとひねくれた現実感によって、日々の生活で本当にあり得ないことは何なのかが浮き彫りになるんだと思う。確かに、僕の音楽にはある種の祝祭感があると思う。僕は高校時代のほとんどを、ジョン・コルトレーンの作品を聴いて過ごした。彼の表現方法にはとても親近感を覚えたんだ。僕にとっては、もっとすばらしい何かを目指すための探求と言えるね。 |
| それともうひとつ、カラフルでポップでひねくれていて、そしてどこか夢の中のようなファンタジーを感じるという意味では、Wes Andersonの映画を観た時の感覚も想起しました。これはどうでしょう?Wes Andersonについて何か意見とかあったら教えてください。 |
| Luke : 僕はもう何年もウェス・アンダーソンのファンなんだよ。自分の作品やビジョンを完璧に把握してる人間が作る映画は特別だね。僕がアルバムでやりたいことと、ウェス・アンダーソンの映画をみて感じることにはつながりがあると思う。全体として楽しめるものを作りたいっていうのは、いつも思ってることなんだ。もし曲の構成が崩壊しても、曲はひとり立ちして個性を保つかもしれないけど、でも始めから終わりまで作品を聴くってことは、作品全体の世界を時系列で経験するってことだと思う。ウェス・アンダーソンが優れているのは、とにかくディテールにこだわるってことさ。とても細かい小さな部分が積み重ねられたとき、それが層のように多次元を構成して、作品が息づいてくる。体験する度に、自己満足の世界がどんどん成熟して、作品自体がより明らかになってくるんだ。人間同士の関係性に似ているかもしれないね。 |
| 曲ごとにお聞きします:All My Friends〜Are Animalsの流れには、かつて聴いたことのないようなパワフルさと美しさが同居していて、すっかりノックアウトされました。この曲はどうやって生まれたのですか? ジャムセッション的な方法で生まれたのでしょうか? 背景を教えてください。 |
Luke : “All My Friends” は、スタジオでの最後の夜にできた曲なんだ。できる限りたくさんの人を呼んで歌ってもらったよ。もっと少ないと思ってたから、この人数でうまくいくように、急に全体の指揮をとらなきゃいけなくなったけど、でも最高に楽しい夜だったよ! ウイスキーもかなり飲んでたしね。みんなが到着する前に、曲をパート分けしたんだけど、歌い出してみたら新しくてもっと面白いアイデアが次から次へと出てきて……特にハーモニーや女性コーラスが曲をうまくつないでいるね。
“Are Animals”は参加したみんなから出たインスピレーションをもとにして最後の数分で出来上がった曲だよ。ボーカル部分をレコーディングしてるときになってもまだ曲が完成してなかったんだけど、結局ボーカル部分はこの曲にとってなくてはならないものとなった。最終的には違うタイプで歌ったコーラスのサンプルをかなりたくさん録音したよ。一番低い音域から一番高い音域へ変化する歌い方とかね。いったん録音すれば、自宅のスタジオで曲に合わせて、好きな部分でコーラスを入れられるからね。この曲は僕にとっても本当に驚きで、こういう形で曲が完成したことが今でもすごく新鮮だよ。 |
| そして次の3曲目のSummmerheatは、祝祭が終わったあとの休息、シエスタ、まどろみと白昼夢のような浮遊感がこのアルバムのもうひとつのカラーを象徴しているような気がしました。この曲が生まれた背景も聞かせてもらえますか? |
| Luke : これはジョナサンのミュージカル・ソウやグラスハーモニカに強く影響された曲。グラスハーモニカはベンジャミン・フランクリンが発明した偉大な楽器さ。この世のものじゃないような音が鳴るんだ。それと、深い眠りに落ちる寸前の精神状態に興味がある。現実から離れていくっていう自覚がありながら、すごく曖昧になっていく思考状態にね。だから君の解釈は合ってると思うな。僕はスローな音だと落ち着くんだ。すごく心配性で、いったん静かな音や明るい音に落ち着きを見出してしまうと、音楽のテンポもそこへ戻したくなる。これは人によって違うと思うけど、僕にとってはスローな音は、ごちゃごちゃしてアップテンポな日常に落ち着きを与えてくれる薬なのさ。 |
| レコーディングについておうかがいします。オーヴァーダブやエフェクト処理、音の加工などのスタジオワークについて、あなたがAuの音楽でこだわったりする部分はありますか? |
Luke : 大体いつも自分の機材を使ってるよ。ミキサー、Macのラップトップ、マイク数本っていうすごくシンプルなセットだけど。レコーディング最初の3日間をプロのスタジオ(ポートランドのType Foundry Studio)でやったのは今回が始めてなんだ。ここで録音したのは、音が大きい箇所やライブの部分と、僕の家のスタジオには入りきらない数のドラムセットを使った曲。このアルバムの3分の1はType Foundry Studioでレコーディングしたんだ。それが終わってから、原曲を持って自分の屋根裏にあるスタジオで2ヶ月半作業した。必要なときには人を呼んだけど、基本的には一人で進めたよ。実は最近仕事を辞めたばかりで、一日10〜12時間作業に集中できるからはかどってたんだ。
曲のほとんどは、いったんコンピューターのマルチトラックに落としてから、書き直してるよ。ひとつの曲を違うシチュエーションで何度も聴きなおして、その曲が持つエッセンスや音をよく消化した後だと、ライブで出来ることっていうのは、現実的な理由からいって、一番面白い表現方法とは言えないと思う。だからオーバーダブ処理を多用して、PCを作曲の道具として使ってるんだ。でもたいていは、曲に音処理を多く加えたりはしないよ。楽器そのものの音を楽しんでるから。加工したように聞こえるとしたら、それはいくつも録音して層のように重ねて、音や質感を大きくしてるせいだと思う。自分のボーカルでよくやることなんだけどね。 |
| YoutubeでAuのライヴをほんの少し見ることができたんだけど、それはあなたがキーボードを弾いていて、二人編成のものでした。ライヴは大体どういう編成、雰囲気で行われていますか? また、あなたの活動において、「ライヴ・パフォーマンス」と「レコーディング」はそれぞれどのような位置付けで、どのような重きの置かれ方をされているのでしょう? |
Luke : ポートランドでのリリース記念ショウの映像もyoutubeで見れるよ。
合唱隊もいるよ。
http://www.youtube.com/watch?v=h_BFsRqZhnA
http://www.youtube.com/watch?v=ujXr2eEj6j0
http://www.youtube.com/watch?v=IsoMNzPpCSY
ライブでのバンド編成はいつも変わるものなんだ。地元では大体4、5人で、今のツアーでは2人だけ(他のみんなは家族や仕事があるからね)本当に特別なショーのためには、コーラス隊とドラム隊を合わせて、最高25人強になることもあるよ。
よく僕らのショウを見ると陶酔的だっていう人がいるよ。何曲も混ぜて演奏したり、曲の合間をあまりおかずに演奏したりするし、たくさんの楽器をあれこれ使ったりするせいかも。セットを変えるときなんかにインプロビゼーションを多用するしね。だから僕らはいつもセットリストをかなり先まで計画してるんだ。その日の気分でどうなるかは変わってくるけど。メンバーの多くはフリージャズやインプロビゼーションの経験があるから、そのおかげで僕らの音楽は流動的で、ステージでも怠けたりしないというわけさ。
君がyoutubeで見たデュオは僕と、ドラムを担当してるJOMFのダナだね。かなり大掛かりなセットでやってて、Nord Stage keyboard、スチールギター、サンプラー、アコーディオン、メロディカ、それにパーカッションがペダルで動かせるようになってるから、何人かが同時に鳴らしてるみたいに聞こえるんだよ。ライブでプレイするメンバーのほとんどは、歌も歌うしパーカッションや他の楽器もやるから、とても順応性のあるライブだね。それと、音にいろんな質感を出すために、まったく静かな状態から大きな音を出したり、早いお祭りのようなテンポからドリーミーでゆったりとしたテンポに変えたりしてるから、ダイナミックに聞こえるんじゃないかな。
ライブとレコーディングの違いは、ドラマティックかどうかだね。曲を書くときはいつも、トラディショナルフォークかジャズの構成を参考にしたアプローチを取ってるんだけど、それぞれのメンバーが再解釈して曲を発展させる余地を残してある。例えば、ファーストアルバムの「Boute」っていう曲は、今では4つのパターンがあるよ。レコーディングは、僕にとって、思いつく限りの要素をひとつのアルバムに描けるチャンスだね。作品の各要素をアルバムというひとつのフォーマットにまとめる経験を得るチャンスなんだ。
ライブはそれよりもオーディエンスとのつながりを意識したパフォーマンスだよ。いつもプレイする場所に敬意をはらって、その場所に合ったプレイを考えているから、何が生まれるか楽しみなんだ。 |
| 「即興」または「作曲」についておうかがいいします。「即興」的な要素はあなたの音楽において重視されていますか? アルバムではあなたがすべての曲を作ってプロダクションもや |
| Luke : インプロビゼーションは僕の音楽にとって、とても重要なんだ。僕の音楽的なバックグラウンドでも大部分を占めてる。高校、大学とジャズやフリーミュージックをプレイしていたからね。作曲は比較的最近始めたことだから。ひとつのアイデアに固執しすぎると、ひとつの曲に成長するかもしれないアイデアもそのはずみを失ってしまうけど、インプロビゼーションは曲そのものが自由に発展していけるものだと思うな。 |
| Verbを制作するにあたって、テーマのようなものはありましたか?またタイトルに込められた意味など、もしあったら教えてください。 |
| Luke : バンド名も曖昧だから、アルバムタイトルもそうしたかったんだ。答えにはなってないかもしれないけど、でも自由に解釈できるようにしておきたいんだ。テーマがあるとすれば、友達と一緒にコラボレーションする喜びかな。 |
| あなたにとって、Verbというアルバムはどのようなものですか?キャリアの中でどんな位置付けになりますか?また、今後どのような影響をもたらすでしょう? |
| Luke : いい質問だね。僕自身も、この音楽が自分にとって何を意味するのか、まだ考え中なんだ。最初よりもちょっと強制っぽく、ビジネスになっていることにちょっと戸惑ってるんだけど。アーティストとしては、コンセプトを実現させたという意味において、とても大きな前進だったことは間違いないね。コラボレーションや作曲、レコーディングからとても多くのことを学んだし。いつでも次のアルバムのことを考えてるから、自分自身を新たな音楽の次元へ引き上げることができるんだ。デュオでやるとたくさんのアイデアが浮かんでくるし、「Verbs」が壮大なスケールの作品だから、ライブのエネルギーにもっと重点を置いたものを創りたいと考えてるところさ。 |
| 現在お気に入りのミュージシャンも教えてもらえますか? |
| Luke : 難しい質問だね。このごろあんまり音楽を聴かなくなってるから。でも、マダガスカルの伝統音楽は本当に気に入ってるよ。特に彼らの多重コーラスは素晴らしい。お気に入りのミュージシャンとはちょっと違うけど、でもすごく興味があるんだ。 |
| また、今後コラボレートや共演してみたいと思うミュージシャンがいたら教えてください。 |
| Luke : ジョアンナ・ニューサムと一緒にプレイしてみたいな。彼女のハープと作曲センスは他の誰とも違っていて素晴らしいからね。 |
| あなたの今後の活動やプロジェクト、今後のリリース予定などを教えて下さい。 |
| Luke : これから6〜8ヶ月の間はツアーで各国を回る予定なんだ。それから、今、初めてのアメリカツアー中なんだけど、それが終わったら11月にはレコーディングに入る予定だよ。これ以外のプランは僕にもわからない。いつポートランドに戻ってくるのかもよくわからないし。リフレッシュできて楽しみだけど、ちょっと怖いよね。 |