90年代のインディーロック、ポストロックと英国シューゲイズが結合した音響にこだわったescalade。日本在住のマルチ・インストルメンタリストのグレッグ・サリバンによるセカンド・アルバム「fanta-REAL」。
 
来日してから早16年が経ちます。シカゴ音響派のメッカであったトータス、ジョン・マッケンタイアのSoma Studiosで仕上げたデビュー作の「ODO」を旅日記と例えると、新作の「fanta-REAL」はタイムカプセルと言えるでしょう。2006年からレコーディングを始めたのですが、当時は東京をベースにしながら、3人のユニットとして全国的にライブ活動をしていました。
 
その後、別の活動に集中するために8年間作業を保留、2018年に福岡の HeaconStudioで作業を再開。2022年コロナロックダウン中にようやく完成した大作です。生演奏とビンテージのエレクトロニクスを合わせた豪華なアレンジを表現しました。主な最終作業はDIYレコーディング雑誌「TAPEOP」の編集長、Larry Craneが経営する米ポートランドにあるJackpot!スタジオで行われました。Larryとは日本のコーネリアス、Tenniscoats、ステレオラブのPress Playの取材を含めて、ライターとして大学生時代からの長い交友関係があります。
 
ファースト・アルバムと同様、ゲスト出演も多くあります。2007年のUKツアー中にはロンドンにあるステレオラブのコアメンバー、AndyRamsayのPress Play Studiosで3日間作業を行いました。Andyのシンセやドラムの打ち込み、Joe Waltersは管楽器の演奏で参加しています。そこで’Air Park’のミックスを担当したのは伝説的なUKロックのエンジニアPaul Tiplerです。Paulはその後最終マスタリング作業も行いました。コーラスボーカルには、福岡の仲間のミワサチコさんと、長年エレクトロニック・ポップで有名なGutevolkの西山広野さんもタイトル曲のFanta-Realに登場しています。
 
最近の関連リリースは「レコード・ストア・デイ・ジャパン」に参画すべく、「fanta-REAL」制作の合間にファーストアルバム「ODO」より12インチシングル「elation code」を発売しました。またサイドプロジェクトのlux diffusionとして、thrill jockeyのオムニバス「F is for Flakes」にも参加しました。
 

Track listing:
1. Instant Persuasion
2. Shallow End
3. Middy
4. Fanta-Real
5. Countermeasures
6. Gentle July
7. Oblivions
8. Air Park
9. Once the Summer’s Gone
10. Curvature