“Iwamura Ryuta による
トイミュージック、実験音楽のシリーズ作品、
“Symphony”という名の全16曲。

“ギリシア語で「共に」(syn)「鳴る音」(phōnē) が 語源のこの言葉は、
交響曲という意味だけでなく、色彩や音響の調和といったニュアンスでも使われます。
世界のさまざまな要素が影響を及ぼし合い、調和し、豊かな効果を生み出しているさま。
それがこの作品で言うところの ” Symphony” です。
 
ピアノの音をベースに彼が試みる” Symphony”。
そこに交わるのはトイピアノやピアニカ、グロッケン、ウクレレなどの楽音だけではありません。
鳥の囀り、カメラのシャッター音、タンブラードールのチャイムの音、砂時計の音。
さらには、窓を開ける、海辺を歩く、紙を裂く、電話をかける、時報を聞く、
その行為そのものが音楽の中に溶け合い、そこに紛れもない” Symphony” が生まれています。
 
CITY (2019)、Raining to Hear (2020) 以降、
「音楽素材の拡大」が彼の作品のテーマのひとつのようです。
それは20 世紀以降、脈々と続く現代音楽のひとつのムーブメントと重なりますが、
アカデミズムとは全く無縁の、それに対する彼流のポップで温かなアンサーを、
私たちはこの作品から受け取ったような気がします。
 
アルバムには、
Symphony I / Nostalgique ( ピアノとトイピアノとベニアメリカムシクイとウインドチャイムのために) 、
Symphony IX / Épisodique ( ピアノと2 台のトイピアノと冬の鵠沼海岸のために) 他、全16 曲を収録。
 
ジャケット・アートワークは前原 本光氏。
パリの地下鉄で拾い集めたフリーペーパーの切れ端をコラージュした” Symphony”。
 
 

Track listing:
“01. Symphony I / Nostalgique
02. Symphony II / Pathétique
03. Symphony III / Dramatique
04. Symphony IV / Fantastique
05. Symphony V / Utopique
06. Symphony VI / Océanique
07. Symphony VII / Rhapsodique
08. Symphony VIII / Atmosphérique
09. Symphony IX / Épisodique
10. Symphony X / Euphorique
11. Symphony XI / Parodique
12. Symphony XII / Poétique
13. Symphony XIII / Pudique
14. Symphony XIV / Harmonique
15. Symphony XV / Extatique
16. Symphony XVI / Systématique