トロピカリズモ経由ゲンスブール行き、ステレオラブ×クルアンビン?
英国の誇る良質ショップ/レーベル Mr.Bongoが発掘する新たな才能。
デヴェンドラやベイルートの登場以来の衝撃がここに。

ロンドンとフランスを拠点とし、作品中のすべての楽器を操る Kit Martin と、 同じくロンドンを拠点とするイスタンブール出身のアーティスト/シンガーの Merve Erdem 。ふたりのクールでいて親密な、そして妖しくも危険な掛け合いはセルジュ・ゲンスブールによる数々の名盤を想わせる。
英語、仏語、トルコ語によって彩られるサイケデリックでファジーでユーモラスなその音楽は、 60年代後半のブラジル産音源と北米のジャズを参照しながらも、過去にありそうでいて、 実際には存在しない。 そんな軽妙なバランス感覚と温度感で、美しい過去を再発見/提示してみせる。
 
ステレオラブの白昼夢の様な浮遊感と、クルアンビンのクセになる陶酔感が、程よく抑制されたサイケデリック空間で鳴らされる心地よさは、もはや異常。まるで70年代の一話完結の名作ドラマを一挙にして観るかの如く、多彩で一貫した美意識と、シュールでアナログな魅力に溢れた今作の音楽的なまとまり、聴かせ方の巧みさは、にわかに新人の作品とは信じられない。デヴェンドラ・バンハートの魔力とベイルートの賢明さの両方を、映像編集的な俯瞰で掌握してみせた、この若き天才の登場を見逃してしまうのは、もはや現代の罪とも呼べるだろう。
 

Track listing: 
1.Senden Başka
2.Mantra Moderne
3.Tyranny 20
4.Pangea
5.Kuytu
6.Yanımda Kal
7.Yürüdüm, Büyüdüm, Çürüdüm
8.With A Sense Of Grace
9.Durma
10.‘باران (Rain) – 日本盤CDボーナストラック