エスペランサやソランジュと同じ地平を望んでいる。
瑞々しさに満ちた声とピアノは、モノクロームの美しいグラデーションに溶けていく。
アフロ・ジャズの地に降るモダン・ソウルの雨は、やがてあなたの頬を伝う河へと。

恵まれた”声”と、確かな演奏能力、そして圧倒的ともいえるプロデュース能力を兼ね備えた、南アフリカの新たな才能。ジャンルや地域は違えど、同世代のSolangeやJanelle Monáe、Esperanza Spaldingらにも共通した、知的でチャーミングな魅力を持ったこのアーティストに、いま世界中が注目をし始めています。

ケープタウンの大学でKyle Shepherd、Shane Cooper、Bokani Dyerらの現代南アジャズ黄金世代と共に学び、クラッシックからジャズの世界へと飛び込んでいったこの勇敢なピアニストは、2014年のデビューアルバム発表以降、この超大作に取り組んでいました。

Bheki Mselekuの包み込む様な温かい音楽性を継承した懐の深いアレンジと、遠くまで望む大地の尊さを想わせる雄弁で筋の通った強く透き通ったメロディーは、この時代に、南アフリカという地で生きる彼女の人生、思想を代弁する様に、我々に語りかけます。その語り口はとても穏やかで親密なものですが、この作品が描き出す世界は信じ難い程に壮大で、ひとりのピアニストから生み出されたものとは到底想えないスケールで展開していきます。

ヨハネスブルグで録音されたこのアルバムには、Benjamin Jephta、Sisonke Xonti、Tlale Makheneをはじめとする地元の腕利き達が多数参加しており、今日の若い南アフリカのジャズシーンを包括した様な内容となっています。特筆すべきは詩人のLebo Mashileによる詩の提供。深遠な世界観と瑞々しいムードが同居するこの作品に、更なる深みと情熱をもたらしています。

この音楽にすぐに反応したのは映画監督のSpike Lee。自身が手がけるNetflixのドラマで今作に収録の”Cosmic Light”が採用されたことが話題を呼びました。さらに今や世界的に支持されるLAのヒップホップクルー OFWGKTAきってのリリシストEarl SweatshirtがSNSで”Freefall”のライヴ映像をシェアし、今まで南アフリカのジャズシーンに触れることのなかった人々も熱い反応を見せています。また、勢いを増す音楽サービスBandcampも彼女を大々的にフィーチャーしており、ここ日本でもまだCDのリリースがない段階で、音楽情報誌 LATINAでは彼女をメインにした特集が組まれるなど、異様な盛り上がりを見せています。

今回、初のCD化により、彼女の底知れぬ音楽性、そして研ぎ澄まされた音とアレンジをより深く、じっくりと味わうことが可能になります。美しいアートワークの数々を手に取りながら、至福の音楽体験をご堪能ください。

 

Track listing:

Disc 1
1.The Void (Intro)
2.Exiled
3.Freefall
4.Abyssinia (Intro)
5.Abyssinia (feat. Tlale Makhene)
6.What’s Left?
7.Umthandazo Womzali
8.The Void (feat. Lebo Mashile)

Disc 2
9.It’s Complicated, Pt. 1(feat. Vuyo Sotashe)
10.It’s Complicated, Pt. 2
11.Rainbow (Skit)
12.New Way
13.13
14.Cosmic Light (Benji’s Meditation)
15.Cosmic Light