コンセプト力強い電子音楽から、熱を発するフリーなインプロ、追求していく現代のテクノへ、世界をみても他にないレーベル〈Entr’acte〉
そのレーベル作品を日本に伝えるべく、あらたに始動した〈きょう Records〉へ
〈スローダウン Records〉より移行しました。トータル第5弾はLucio Capece!

アルゼンチン出身で、現在はベルリンを拠点に活動を展開しているサックス奏者・インプロヴァイザー・音響作家のLucio Capece。彼はこれまでRhodri Davies、Axel Dörner、 Radu Malfatti、中村としまる、杉本拓などの錚々たるインプロヴァイザーから、Mika Vainio やKevin Drum、Chris Abrahams などの個性豊かな電子音響作家まで、越境的な競演を繰り広げるなど、まさにヨーロッパの実験音楽シーンのキーマンの一人である。アルバムのリリースレーベルも〈B-Boim Records〉から〈Another Timbre〉、〈Editions Mego〉から〈Pan〉まで実に個性的かつ象徴的だ。

本作は、そのLucio Capece が2016 年にベルギーの実験音響レーベル〈Entr’acte〉からリリースしたソロ・アルバムである。本作の彼はサックス演奏を封印し、80 年代初期の日本産YAMAHA 製のリズムマシン「RX11」を二台使用したセッティングによるサウンド・パフォーマンスを披露・録音している。「RX11」二台が微妙なズレを孕みながら、リズムと残響とモアレ状に音が展開していくような独自の音響空間を生成していくさまは、まさに圧巻。その残響効果によって、リズム音響の迷宮に入り込むような感覚が生まれている。いわばミニマムなセッティングによる強烈な「リズム・コンレクート」作品といえよう。

録音は2016 年1 月にベルリンで行われ、マスタリングは〈Pan〉や〈Entr’acte〉などから優れたノイズ・コンクレート作品をリリースするValerio Tricoli が担当している。
– デンシノオト
 
Track List :
1.Two RX11 drum machines,
nine suspended speakers,
a microphone and a stereo PA