p*disスタッフがそれぞれ2012年の年間ベスト5タイトルを選びました!
さらにmiaouのマユミさんもゲスト参加!!

masami

2012年も何をしていたのか正直思い出せないくらい、いろいろな事が猛スピードで過ぎ去っていきました。仕事モード抜きに音楽を純粋に楽しむということがなかなかできなかった1年でもあったのですが、そんな中でもただのリスナーとしてとても楽しんだアルバム5枚をピックアップ。

1. Sun Araw, M. Geddes Gengras, The Congos / Frkwys vol. 9 : Icon Give Thank (RVNG INTL.)

2012年ベスト・コラボレーション部門。Sun ArawとM. Geddes Gengrasという2人のサイケデリック・ウィアードが、あのレゲエ界の重鎮The Congosをフィーチャーした衝撃のコラボ作。ルーツ・レゲエはちょこっとかじった程度だけど、The Congosの「Heart of the congos」は青春時代の愛聴盤で、今回のこの組み合わせは度肝を抜かれたというか、良くやった!と感心。The Congos御大たちの美しいファルセットボイスやコンゴのリズムがSun Arawたちのスモーキーにもほどがあるサイケのフィルターを通って、周りの空間がグニャ〜と歪みはじめるような強烈な幻覚作用を引き起こす危険な1枚。制作風景を納めたドキュメンタリーDVD付きで、御大たちの元気なお姿も拝めます。

2. Julia Holter / Ekstasis (RVNG INTL.)

2012年ベスト・女性アーティスト部門。2012年を騒がせたたくさんのシンセ・ポップ浮女子の中でも一番のお気に入りはJulia Holterのこのアルバム。ものすごく実験的な要素が織り込まれてるのにポップにまとめてる完成度の高さと音楽偏差値高そうな才女っぷりにやられました。Nite Jewelとともに伝説の女性アシッドフォークシンガーLinda Perhacsのパフォーマンスをコーラスで参加していたのも素敵。2012年に「Ceremony」をリリースしたスウェーデンのAnna von Hausswolffという女性アーティストも面白かったのですが、彼女とJulia Holterは音の方向性は違うけど、ポップとエクスペリメンタルを同じパレットで混ぜていく感覚に共通点を感じます。

3. Tully / Sea Of Joy (Chapter Music)

2012年ベスト・リイッシュー部門。アシッド・フォークの名盤”Hush”を生み出したExtraditionのメンバーも参加していた70年代のオーストラリアのサイケデリックロック・バンドTullyのアルバム”Sea Of Joy”。ハモンド、フルート、シタールなどのいろいろな楽器が奏でるスピリチャルでピースフルなアシッド・フォークの大傑作。元々Paul Witzig監督のサーフィン映画「Sea Of Joy」(1972年)のサントラとして制作された作品なのですが、アルバムだけ聞くと全然サーフィンっぽいくない、でもサーファーとTullyは自由や美しさに対する精神面で共通しているとの監督の言葉を読んでから映画のトレーラー見たらナイスなサーフミュージックに聞こえてきました。
映画「Sea Of Joy」のトレーラー→ http://youtu.be/pHksWGeklUA

4. Swans / The Sheer (Young God)

2012年ベスト・大御所部門。SwansのMichael GiraのレーベルYoung Godはここ10年の私の音楽の指向性に大きな影響を与えたレーベルで、Devendra BanhartやAkron/Familyをこの世に送り出した天才A&Rとして尊敬しています。その割には昔のSwansを聞いていなかった。。。しかし2010年の復活アルバムでSwansのいぶし銀の暗黒アヴァン・ロックを体験し、この新作”The Sheer”で崇拝の域に。Akron/Family、Ben Frost Karen O(Yeah Yeah Yeahs)のなどの豪華ゲストが参加した2枚組CDの超大作で、限定盤には暗黒ライブ映像DVD付。はんぱ無いエネルギー量の圧倒的な音に包まれる幸福感。ジラ様がSwans30年の歴史の頂点と言われるこのアルバムを機に過去に遡って聞いていこうと思います。

5. Forma / Off/On (Spectrum Spools)

2012年ベスト・アナログシンセ部門。2012年中頃から年明けにかけては、Mark McGuire初来日ツアー、Mark McGuire&Trouble Booksの再発、John ElliottがLabylinthに出演、Emeraldsの新譜、Steve Hauschildtのソロ新譜、Markがバンド脱退、Steve Hauschildも脱退に伴いEmeralds解散と、Emeralds関連の仕事やニュースに一喜一憂。そして、元Emeraldsと呼ぶのにまだ慣れないけど、元EmeraldsのJohnが運営するレーベルSpectrum Spoolsは2012年も面白いアナログシンセ作品をたくさんリリースしていました。その中でも年末にリリースされたブルックリンのシンセトリオFORMAの新譜の疾走感のあるポップさには目を見張るものがありました。ネクスト・エメラルズとして注目していきたいバンドです。



sin

2012年はおそらくここ10年でもっとも音楽を聴かなかった年だったかもしれません。一時的な耳の不調により、特に最後の2ヶ月は音楽を聴く時間はずいぶんと減っていた印象です。いちばんの思い出はやはりツアー。ラディカル・フェイス & miaouとの激動のツアーでは仲間がいることの心強さと車の運転スキルの必要性を学び、ダスティン・オハロラン兄貴との飲み&食べ歩きツアーでじぶんに足りないものは酒を飲むことでたいてい手に入れることができるということを学びました。例によって、じぶんのレーベル関連の作品はここからは除外しています。

1. Rauelsson / From River To Sea (hush)

結果的に2012年最大の後悔はMay Mayのメンバーとして来日したRauelssonのライヴを見逃したことということになるかもしれません(だって東京公演ではソロ・ライヴをやらなかったんですもの!)。あまりにもひそやかにリリースされ、すぐに売切れたこのサウンドトラック作品のささやかさがぼくの2012年を支えてくれました。「Places」は2012年のベスト・トラックのうちの1曲。

2. Black Elk / Sparks (KOMU)

Ian Hawgood, Maps and Diagrams, Danny Norbury, Clem Leekという、ひとによっては垂涎もののユニットのデビュー作。エクスペリメンタルなアンビエント〜ドローンにチェロとピアノのクラシック楽器を肉付けしていったアプローチでしたが、うっとりとさせる2012年いちばんのアンビエント。ぼくはやはりダニーのチェロがすきなんだ。

3. Studiocanoe / Soothe (Nomadic Kids Republic)

「落ち着かせる」「やわらげる」と名付けられたこの慎ましやかな作品も2012年のぼくの耳によくなじみました。アコースティック・ギターとピアノとフィールドレコーディングに決してうまくはない歌が漂わせるベッドルーム感は、もしもじぶんが音楽家だったらこういう作品を作りたいなと思わせるものでした。

4. From the Mouth of the Sun / Woven Tide (Experimedia)

Jasper TXとAaron Martinによるコラボレーション。2011年のA Winged Victory For the Sullen (Dustin O’Halloran + Adam Wiltzie (Stars of the Lid))に比肩する美しさ。2012年もっとも甘美な「Snow Burial (While Blue Skies Gather)」はみずからのありとあらゆる傷に対するレクイエムとして何度も鳴らされました。

5. Moon Ate the Dark / Moon Ate the Dark (Sonic Pieces)

ちょうどアンナ・ローズ・カーターの「Silver Lines」の再発をおこなうかどうか悩んでいたときにこの作品のインフォメーションが届き、運命を感じました。大好きなsonic piecesからのリリースだということもあったのでしょう。作品の良し悪しではなく、時にはそういった偶然がたいせつだったりもするのです。クラシック要素とドローン要素のバランスが抜群で、まさに「暗くない音楽は信用できない」ひとにはうってつけの美しさ。そんなアンナの別プロジェクトのデビュー作。



今年も沢山の新しい音楽に出会いました。それだけに今までの自分の軸と感覚とかがどんどんずれてしまってるように感じた1年でした。その中でも自分にとって大きな流れはポストクラシカル・アーティストの台頭と、ポストロックの復活の兆し。今年はもっと進んでいくと思います。

1. Godspeed You! Black Emperor / Allelujah! Don’t Bend! Ascend! (Constellation)

本当に驚いた突然のリリースと内容の素晴らしさ。一昨年のExplosions In The Skyの新作とともにポストロックの復活を表明するような作品になったと思います。新しいことは全然やってないんですが、変わらない素晴らしさと今までの作品以上の存在感はバンド史上最高傑作でしょう。

2. Balmorhea / Stranger (Western Vinyl)

またもやポストロック。しかしこちらはポストクラシカルの流れとトータス全盛期のポストロックが融合した、懐かしさを感じながら今の音になっています。彼らのぶれていない一貫したスタンスと、今作でみせた自由にやってみよう!という肩の力が抜けた雰囲気が名作を生み出したと思います。これは聞かなきゃいけない!って作品ではなくて、ふとした流れでこの作品に辿り着いた時に自分にとっての一生の作品になってくれる1枚。

3. Chris Cohen / Overgrown Path (Captured Tracks)

Captured Tracksのアーティストはどれも個性があって好きですが、Chris Cohenが醸し出すRobert Wyattとかがもっている独特の雰囲気、それと同じ物を彼も持ってます。Deerhoof、Ariel Pink’s Haunted Graffitiにも参加してますがこのソロ作が一番好きです。

4. Matthew E. White / Big Inner (hometapes)

すごくいいのに日本でもっと注目されてもいいのに枠。Fight the Big BullのリーダーMatthew E. White。70年代のソウルやポップを思わせる楽曲のアレンジとヴォーカルの雰囲気が最高。これまた日本での評価があまりされていないGayngsとも同じ雰囲気を感じさせます。

5. The Green Kingdom / Egress (Nomadic Kids Republic)

今年最高に染み入った枠。アコギとフィールド・レコーディングス、デジタルノイズそれらの微少な音のバランスがすごく心地がいい。聴こえなさそうで聴こえてくるその絶妙な音の重ね方は師匠と呼びたいレベル。



shim

2012年はテン年代に入ってから注目していたシーンやアーティストからアルバムが出るエキサイティングな年でした。昨年からゲキ押しの<Planet Mu>がUS西海岸のシーンの注目株をリリースする意外な展開、Traxman爆発、100%SILKのツアーや企画コンピ、Jam Cityに好評価が付くなど、タイミングもジャストで運も良かった刺激的な一年でした。今年も国内でも加熱するTraxman以降のジューク、USだけでなくEUの方でも動き始めたインディ・ダンス、そしてエレクトロニック / ダンス・ミュージックへとシフトした新世代のNYCブルックリンのシーンを盛り上げたいと意気込んでおります!続フレッシュ!!

1. Jam City / Classical Curves (Night Slugs)

聴いた瞬間ビビッときました。Actressのアブストラクトな電子のコントラストと明るさをマックスにして、Oneohtrix Point Neverのユーフォリックなニューエイジ & 近未来感、そこにデジタル加工のインダストリアルな音色とそぎ落としたソリッドなグルーブ、どれをとっても10点満点。一聴惚!

2. Polysick / Digital Native (Planet Mu)

夏の新定番。前の年がSeahawksなら2012年のベスト・チルはPolysick。アナログ・シンセの煌めきとゆるーくエキゾなアマゾネスが一体となった見事な極楽浄土ぶり。アルバム一枚で感じて欲しいマストなチル盤。密林に咲き渡る蓮の華。ビック・チル!

3. Ital / Hive Mind (Planet Mu)

サンプリングのネタづかいもさることながら、破天荒な展開とエフェクト使い。いわゆるダンス・ミュージックのお決まりにはまらないハードコア / パンクを根底にした、US地下で育まれたサイケデリック・ミュージック通過後のアヴァンギャルドなハウス。大胆不敵!

4. Traxman / Da Mind Of Traxman (melting bot / Planet Mu)

『Bangs & Works』のコンピの時から前評判が高かったTraxman。やはりこのお方はキャッチーさみたいなものがヒットしたのではないかと。名前もそうだし、キャラもあるし、来日のパフォーマンスもジャンル関係なく大ネタ使って上げたり、マイク・パフォーマンスなど、けどビートがクッソ・ドープで惚れぼれするワイルドネス♥、このダイナミクスには心底ぶち上げられました。終わりの20-30分前くらいだったか、10分くらい冷めたアシッドを絡めながらのフットワーク、ヤバかった。。名盤決定!

5. V.A. – The Silk Road / The Silk Road Mix by Octo Octa (melting bot / 100% SILK)

コンピレーションCDは入門編、Octo OctaのミックスCDはこの夏のSILKのモードがよく表れた内容でした。日本ではインディよりのシーンで人気がありますが、音は紛れもないハウス。このクロスオーバーこそ現在の音楽シーンの状況を象徴した面白い現象ではないかと思います。ポップでスウィート、パンクでビッチ、ハイ・センスなカリスマAmanda Brawnと何か出来たってだけで感極まる一枚でした。サマー・オブ・ラブ!



3年半ぶりに”うるう秒”なるものが挿入されたせいで、ただでさえアウトなタイム感がさらにずれ、世間から完全に置き去りにされた2012年。映画「メランコリア」に息を呑み、復活したD’Angeloがライヴで披露した”Space Oddity”に息を呑み、なかなか息を吐けない日々が続きましたが、SF的な幸福に包まれて、なんとか1年持ちました。

1. Mac Demarco / 2 (Captured Tracks)

2012年にこんなに気分のいい盤に出会えるとは…。まるでバイト先で意気投合したLou ReedとShuggie Otisに酔った勢いでボコボコにされたStephen Malkmusの一服の様な風通しの良さ。Louに殴られ抜けた前歯の隙間から、メロディーが煙と共に立ち昇る…。高校時代、the Strokesを夢中で聴きながら「どうしてこんなに完成されたものがあるんだろう?」とドキドキした気持ちが久々に蘇り、カナダにいる友達に「Viceroyっていう銘柄を買ってくれ」と頼み込んだ私は非喫煙者なのでした。

2. Fankie Rose / Intersteller (Slumberland Records)

80年代と90年代という隣り合う星。10年代の窓から、彼女は美しい星座をなぞってみせた。ある人はそれを80sと呼び、またある人はthe Cureと呼ぶ。そして、私はそれを“エンヤパンク”と呼ぶ。力強いリズムとハーモニーが、ゲートリヴァーブやださシンセでごまかすおしゃれ気取り達のサングラスを叩き割り、ノイズとディレイに隠れ続ける雰囲気ピープルの前髪をぶった切る。今っぽい音楽を意識することは年々難しくなってきているけれど、今だからできることにしっかりとフォーカスした力作。女性が星を見つめる時の強さ。エンヤパンク。

3. The Men / Open Your Heart (Sacred Bones Records)

私に弟がいたら部屋でthe Menを聴かせて反応を見たい。困惑した顔を見て、にやにやしたい。「男ならthe Menだぞ。」と、一言だけ伝え部屋を出る。ガレージもカントリーも聴きたい時はこれを聴こう。カレーもうどんも食べたい気持ちがカレーうどんを発明した(きっと。)原理と同様にして、彼らは新しい古典をただただぶちまけていく。ジャンル?クロスオーヴァー?Sonic Youth?なにそれ?食えんの?と言わんばかりの男気。ネーミング、ジャケ、レーベル、サウンド…どれをとっても完璧な男たち。細麺派な私にもガツンと沁みる聖骨スープの濃厚な味わい。うまい!

4. Chris Cohen / Overgrown Path (Captured Tracks)

Light in the Atticの再発云々という比喩、評価も膝を叩いて頷ける、あたかも既にそこにあったかのようなあったかい音楽。(韻踏んでます ^∇^)
Robert Wyattの体温を感じる素朴な佇まいは、宇宙でひとりぼっちになった夜に聴こえてくる、衛星からの子守唄。音のひとつひとつに時が封じ込められていて、聴き込むにつれ、埋もれていた記憶が美しい結晶の様に姿を現します。こどもの頃に集めた石ころやビー玉や変な枝なんかをもう一度眺めたくなる、優しい便り。

5. Black Bananas / Rad Times Xpress Ⅳ (Drag City)

2012年は我が生涯の名盤のひとつ“Accelerator”の再発もあったRoyal Trux。これを機にどうにかならんもんかねぇ…と余計なお世話な中毒患者A代表の私は、このバナナによって暫く震えを抑えることに。クレイジーでクレヴァー。悪趣味でハイセンス。捨て去られたブラウン管から突如流れ出した悪魔の歌。ロックンロールかくあるべし!なダメ、ゼッタイサウンドが脳内に作用し、世界中の親御さんを心配させる。ああぁ…かっこいい。




(※順不同)

Julia Holter / Ekstasis (RVNG INTL.)

2012年のベストはやっぱりこれ。いつでもどこでもJuliaの不思議な夢の世界にようこそ!

Chromatics / Kill For Love
(Italians Do It Better)

これでもかってくらいにロマンチックにオシャレに攻めてくるんだけど全然嫌みじゃないのがいい。全16曲。

Fankie Rose / Intersteller (Slumberland Records)

見た目ちょっとおっかなげなFrankie姐さん。どこかなつかしいのに完全にイマな音を鳴らしてるっていうすごさ。”Know Me”。

Kyoka / iSH (p*dis)

インパートメントの事務所で初めて聴いた時のあの衝撃からmiaouのリミックスまでお願いしてしまったという出会い。

Masha Qrella / Analogies (Morr Music)

個人的な2012年のハイライトMasha Qrella。今までで一番シンプルでストレートな作品だけどそのぶん彼女の楽曲の良さが引き立ってる。ベースでもソロをガンガン弾いちゃうあのステージングは忘れられない。