インタビュー〜アドリアーナ、ハミロ・ムソット他、この作品について語る

インタビュー〜アドリアーナ、ハミロ・ムソット他、この作品について語る

Ramiro Mussotto (ハミロ・ムソット〜当作品のプロデューサー。以下R):このアルバムは、当初はもっとエレクトロニックな音楽にするつもりだったんだ。それが、1年の制作期間を経てやがて、サンバとエレクトロニックが融合した全く別の音楽になっていった。

Adriana Maciel (アドリアーナ・マシエル〜以下A):私は始め、オリジナル曲を中心にやりたかったの。でもある日ハミロの家に行ったら、膨大なレコードのコレクションがあって、私の知らなかった素晴らしい音楽 〜特に古いサンバね〜 にたくさん出逢ったの。小さい頃や思春期の頃、私はサンバに囲まれて育った訳だし、自然にその音楽が自分の体に染み込んでいたんだなって、アルゼンチン人のハミロのおかげで気づかされたわ(笑)。それで、サンバの曲をもっとやろうって事になって。

R:それから、本当に2人っきりでレコーディングを始めたよね(笑)。

A:そうね(笑)。ハミロの仕事は本当にプロフェッショナルで、指示もすごく的確だった。最初はそれについて行くのが大変だったけど、色々と勉強になったわ。たった1人でボーカルの録音をやったり・・・。

R:そう。だんだんと彼女が力をつけてきて作品のイメージも固まってきた。それから、色々なミュージシャンとの共演について話を始めたんだ。

" So " (M4収録)について

A:ハミロのコレクションを借りて、サンバを手始めにブラジル音楽を聞き直して勉強していて、そこでトン・ゼーの魅力にハマったの。全作品を聞き込んで、本当に彼の音楽が好きになったわ。この曲をカバーすることに決めた時、ハミロが「ゼカ・バレイロとやったらどうだい?彼はトン・ゼーの大ファンだし、この曲に彼はピッタリだと思うよ。」って言ってきて、私もそれには大賛成だったわ。

" To " (M10収録)について

A:この曲をやろうと思った時、すぐにパウリーニョ(・モスカ)が浮かんだわ。彼独特の言葉遊びや歌のスウィング感がこの曲に合うな、と思って。最初はボーカルだけで参加してもらう予定だったんだけど、レコーディング中に彼にちょっとギターを弾いて貰ったらすごく良くて、結局最初に録ってあったテイクと差し換えたの。

Moska(モスカ):トン・ゼーの曲は、「混乱するために説明する」というか、歌詞に謎かけのような言葉遊びがとても多いよね。でもこの曲は、音楽的には余計なものを排した本来のサンバの魅力を備えていると思うし、僕自身も歌詞に色々な隠された意味を込めたりするから、この曲で共演できたことは意味のある事だと思う。それに僕は、このアルバムに参加した事がきっかけでゼカ・バレイロやヴィトール・ハミルを知ったんだよ。

Ate Nao Mais (M7収録)について

A:ヴィトール・ハミルに、私とハミロがサンバのアルバムを作っているって話したら、「クレヂールの曲ですごくイイのがある」って教えてくれたの。それがこの曲で、Gaucho(ガウーショ〜ブラジル南部、ポルト・アレグレを中心に、アルゼンチンやウルグアイとの国境地域に存在するカウボーイ、またはその文化をこう呼ぶ。クレヂール、ヴィトールのハミル兄弟は、その兄のクレイトンを加えてその地方出身の有名ミュージシャン)のサンバってあまり知られていないし、私も馴染みがなかったんだけど、やっぱりおなじサンバとして相通じるのよね。お兄さんのクレヂールが作ったとても美しい詩をもつこの曲を、弟のヴィトールが弾き語りで歌うのってとても感動的だったわ。この曲はガウーショのギター奏法の、ガウーショのサンバなのよ。

Celso Fonseca(M3、M5、M9に参加)と

Celso Fonseca (セルソ・フォンセカ〜以下C):アドリアーナとこのアルバムをレコーディングしていて、彼女が、選んだレパートリーを自分の歌い方、自分なりの表現方法に見事に変えてしまっていた(セルソは「Leitura」と表現)のがすごく印象的だった。サンバは、歌い手によって楽しくなったり、ときに哀しく聞こえたり色々と解釈が変わるものだけど、今作での彼女の解釈はどれも素晴らしかったよ。

A:このアルバムは昔のサンバばかりだから、彼にはどんなかたちで参加してもらおうかすこし考えたわ。でも、とにかく素敵なギターを弾いてもらおうって。

C:複雑なコードは、僕には無理だけどね(笑)。今回はシンプルなプレイを心掛けたよ。

" A Televisao " (M2収録)について

A:これは、シコ・ブアルキのとても素晴らしい曲。初期のあまり知られていない曲だけど、初めて聞いた時ハミロに「この曲は絶対にアルバムに入れよう」って伝えたの。

" Acabou Chorare " (M1収録)について

R:この曲には最初から、モライス・モレイラにギターで参加してもらいたいと思っていた。で、彼に連絡をとったら「オリジナルとは違うコードで、新しいバージョンでやりたい」って言うんだよ。僕が「オリジナルがとっても好きだからそのままでやりたいんだ」って言ったら、「いや、もう忘れてしまったよ」って(笑)。結局、彼は自分で昔のノーヴォス・バイアーノスのCDを買ってきて、それを聞いて練習して思い出してきてくれたんだ。それはもう完璧だったよ!

A:私は昔から彼の大ファンだったから、その本人が自分の目の前にいて、しかも共演しているのが信じられなくて。本当に感動したわ。レコーディングは1テイクでOKだったんだけど、私の感動が歌に一杯に表現されていると思うわ。

Moraes Moreira(モライス・モレイラ):君とレコーディングできて楽しかったよ。この曲は、ジョアン・ジルベルトが取り上げてくれた始めての僕の曲で、彼との出会いをもたらしてくれた、僕にとってとても大事な曲なんだ。ジョアンはこの曲の持つ魅力をすごく引き出してくれたけど、君もまた、とても美しく歌ってくれて嬉しいよ。

" Samba no Asfalto " (M12収録)について

A:これはモライス・モレイラの新曲なの。ある日、モライスと私がほとんど完成したこのアルバムをスタジオで聞いている時、 突然彼が「このアルバムにとっても合う曲があるんだけど」って言ってきて、すぐにレコーディングすることになったの。ギターとボーカルだけのシンプルな曲でとても短いんだけど、アルバム全体にとって重要な意味を持つ曲になったわ。最後の締めとしてもピッタリだし。

アルバムを振り返って

A:「初心者がサンバに挑戦」っていう感じのアルバムとも言えるわね。私はもともとがサンバのシンガーではないし、この作品は私とハミロのサンバへのアプローチの仕方、解釈の仕方 (Leitura) を表現したものなの。モライス・モレイラの曲で始まり、そして終わるという流れもとても重要ね。
アルバム・タイトルを「Poeira Leve ミ 砂埃、軽くてフワフワしたもの」にしたのは、その言葉の感覚がアルバムのサウンドにとても通じるように感じたから。トン・ゼーの「So」をカバーしたけど、その歌詞の一節に「Poeira Leve」という表現があって、それをそのままタイトルにしたの。その通り、とても聞きやすいアルバムだと思うわ。

 

 

*このインタビューは、本CDに収録されている映像特典(クイックタイム・ムービー形式)を翻訳し、編集・構成したものです。
(翻訳協力:MC BETO、ROSE、Q from TENSAIS MC's)

 

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