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NYブルックリンを拠点に活躍する、o.blaatは音境(音を包括した環境をつくるという意)アーティスト、音楽家で、オーディオヴィジュアルアート・コミュニティー、 SHAREの中心メンバーでもある。彼女の最初の正式リリースとなる本作の前半部はカフ・マシューズ、トシオ・カジワラ、DJオリーブ、エイヴァン・カン、イクエ・モリ、恩田晃、アキオ・モクノらとの共演作。また後半は、ヘッドフォンで聴く作品として作られたもの。本作に寄せたクリスチャン・マークレイのライナーノーツの「サティの"家具の音楽"が密かに表現したかのようだ。」とあるように、o.blaatは常に「如何にしてパフォーマーの存在を(ライブ・ミュージックを演奏するという)環境において、消し去ることができるか」という「消失の芸術」を探求。是非、聴いてみて下さい!
(christian marclay氏によるライナー)
サティの「家具の音楽」が密かに実現したかのようだ。ー クリスチャン・マークレイ
o.blaat は彼女の造り出す音楽の後ろで「見えないもの」でありたい。という。彼女の存在は感じ取られるかもしれないが、観衆の興味を集めるものではありたくない。彼女のつくったインターアクティブ作品の数々はセンサーやコンタクト・マイクのついたピンポン台であったり、ハンガーが触れる音が多層のマニピュレートされるコートかけだったり、多数の客がディナーを楽しむ長いダイニングテーブルの音を集めるものであったり、バーのキャッシュ・レジスターが止むことなく繰り返す雑音を、全く違った音のつながりに次々と作り上げるものであったり、いずれも彼女の住まう環境自体が彼女の楽器として機能するものである。そうすることによって、観客の興味は彼女の設定した「環境」に注がれ、その背後で彼女は坦々と、(演奏者を見ることをやめた)観客の行動により発生した音の束を調理していくとでも言おうか。まるで、サティの「家具の音楽」が密かに実現したかのようだ。一度僕がo.blaatの演奏をクラブで見た時には、彼女は多数の観客の後方に陣取り、ライト・チューブを長々とステージに向けて天井のほうに設置した。そして、演奏が始まり、彼女はチューブの一端をまるで「へその緒をしっかり握って放さないようであるのに、その反面どうかして飛び出さんとしているばかりの胎児」であるかの様に握りしめていた。その間(彼女のセッティングに)混乱した観客はじっと見えない「演奏者」の登場を期待するかのように、空のステージを見つめるばかりで、実際の演奏者である彼女にはまるで気づかないままであった。音に対する経験が増々総体的になってきている現在、o.blaatのような音楽家が演奏者の肉体的な存在自体を疑問視するのは当然だろう。一体誰が音楽家のライブ演奏での存在を、どこにいたってダウンロードできてしまう、アコーズマティックな(アコースティックとオートマティックからマークレイが作った造語か?)音楽でお茶を濁してしまうことができようか。
このCDでは、o.blaatはカフ・マシューズ、トシオ・カジワラ、DJオリーブ、エイヴァン・カン、イクエ・モリ、恩田晃、アキオ・モクノといった面々と共演している他、その後半(「In the Cochlea 」ミ 耳の骨の中で)はヘッドフォンで聴く作品として作られた。あたかも科学者が顕微鏡をのぞくかのようにだ。そこでは非常に多くの「細かなディテール」と電気音のムーブメントの「音の風景」があらわされている。(以前タップダンサーだった彼女の)タップシューズの音は今や軽いキーボードがクリックする微妙で精確な音に置き換えられた。
これはo.blaatの最初のオフィシャル・リリースとなる。このCDは彼女をNYの新たなダウンタウン・エレクトロニック・ミュージック・シーンの一員として紹介する役割を果たすことになるだう。そして、同時にo.blaatをより幅広い聴衆に聴いてもらうことも可能にした。それに、聴いてもらいながら彼女は「見えない存在」でいられる訳だ。きっと彼女はそうしたことをこっそり喜んでいるに違いない。(『o.blaat 「Two Novels: Gaze / In the Cochlea」- ライナー・ノーツ by クリスチャン・マークレイ』からの抜粋を翻訳)
(o.blaatプロフィール)
NY、ブルックリンをベースに活躍する、o.blaatは音境(音を包括した環境をつくるという意)アーティスト、音楽家。また、現在NYで最も画期的なポータブル・オーディオヴィジュアルアート・コミュニティー、 SHARE(http://share.dj)の中心メンバーであり、[electroluxe]というイベント・シリーズのキュレーターとしても知られる。
o.blaatは絶えず「消失の芸術」を探求してきた。インターアクティブ作品「ビート・ピース」、「オーディオ・コート・チェック」、「クーピエー」、「フィリップ」などは全てこのテーマ「如何にしてパフォーマーの存在を(ライブ・ミュージックを演奏するという)環境において、消し去ることができるか」の一環の題材として製作されたものである。
2年ほどの手作りサウンドシステム「タップボード・エフェクター・サウンドシステム」を使った演奏活動を経て、2000-2001年にHarvestworks Digital Media Art Centerより受けた基金をもとに、powerbookを購入し、以来その「最も見る気のおこらない楽器」を逆手にとって、その機能性と手軽さを愛用し、NYはもとより、ヨーロッパ各地のコンサート・フェスティバルで多岐な活動をおこなっている。彼女の音は以前、WiredマガジンのEric Davisに「…魅惑的な深海の音を解き放ったかと思うと、潜水艦のドローンのような音を通してファズのかかった鳥笛が飛び回り、スクラッチされたビートがまるで、1000枚のレコードが一斉にスキップしたように、はじけたかのようだ。」と評された。(「Songs in the Key F12」Wired Magazine 2002年10月号より)主な共演者は、イクエ・モリ、DJ オリーブ、ループ、ミゲル・フラスコーニ、エイヴァン・カン、恩田晃、トシオ・カジワラ、クリスティン・バード、ジーナ・パーキンス、カフ・マシューズ、クラウス・フィリップ、ラルフ・スタインブルッヒェル、グンター・ミュラー、ノーバート・モースラング、タイムブラインド、アンソニー・コールマン、.242Pilots、エリック・レッドリンガー、サチコM、秋山哲治、等。マリナ・ローゼンフェルドの「シアー・フロスト・オーケストラ2000」の一員でもあった。また、一時期には、カフ・マシューズの「ラッペタイト」の第一期メンバーとして、アムステルダムのSTEIMにて他メンバー、イクエ・モリ、マリナ・ローゼンフェルドと共にレコーディング・プロジェクトにも参加している。今年はサラウンド・サウンドのツールを「作曲」する予定にしている。
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