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08/23 UP!



sub rosa
http://www.subrosa.net/

 ワン・チャンツンは1981年生まれの中国人アーティスト。China Sound Unitなるグループのメンバーでもある。2004年にパリで行われたフェスティバルに参加し、ベルギーやオランダでもライヴを行った記録がある。あるサイトではラップトップに向かって演奏する彼の姿が確認でき、ウェブデザイナーとして働きながら上海で活動しているとの情報もある。
 1曲目は40分のロングトラック。プレスコピーには「カルコウスキー・スタイル」とあるが、ハーシュノイズの手前で抑えた音を丹念にレイヤーしたコンポジションに漂う独特の浮遊感は中毒性が高い。続くトラック2は彼の出身地ハルビンでの葬式の実況録音。対称的な内容の組み合わせだが、どちらも不思議なほど「重さ」を感じさせない響きは共通している。
 リリース済みのタイトル数は200を超え、最近では電子音楽の歴史を総括するコンピレーションを編んだりとすっかり老舗の風格が漂うSub Rosaだが、90年代にTone RecやMultiphonic Ensembleの作品をリリースした進取の気風を現在も失ってはいない。初のアルバムがSub Rosaからリリースされたことはこの若いアーティストにとて特別な意味を持つことは間違いない。
 最大の商業都市上海にはリニアモーターカーが走り、年率10パーセント近い経済成長率を誇る人口13億人の国が今後どのようなアーティストを輩出するのだろうか。ユニークなハードウェア一体型作品が話題となったFM3の二人も現在北京在住。カリフォルニアと台北に加えて北京にもオフィスを持つPost-Concreteレーベルの動向には要注目。2003年にはワンも参加した中国初の実験音楽フェスティバルSounding Beijingが行われている。日本の音楽やアートが(その評価の在り様は大いに疑ってかかるべきものだが)西洋の国々から注目されるようになって久しい。エクスペリメンタル・シーンにも続々と日本以外のアジア諸国のアーティストやレーベルが台頭することが予想される。その時は西洋のジャーナリズムがアジアのアーティストと作品に向けてきた好奇な視点に見直しが求められることになるだろう。(TH)




08/17 UP!



sub rosa
http://www.subrosa.net/

 数々の貴重な音源をリイシューしている、sub rosaより、Harold Budd、Gavin Bryars、Jon Hassellという現代音楽における3人の巨匠たちの80年代の作品を収録したアルバムがリイシュー。1曲目、Jon Hassellのシンセサイザーの不協和音が揺らめくなか、ころころと人工的なマリンバの音(?)が高速で反復され、その上に不規則なベース音が唸る。ミニマルで実験的雰囲気を持った作品。2、3曲目はBrian Enoなどとの共演で知られるアンビエントの巨匠Harold Buddによる、浮遊感に富んだシンセサイザーの柔らかな音色の上をディレイのかかったギターが寄せては返す波のようにキラキラと重なる、まさにアンビエント。
 4曲目は『タイタニック号の沈没』(これは本当に素晴らしい)などで有名なGavin Bryarsによる二台のピアノによる曲、Morton Feldmanにも似たゆったりとした不協和音の響きに続く、Erik Satieさながらのどっちつかずで割り切れない分散和音の反復に不思議と心が安らぐ。5曲目はなぜか聖歌というかミサ曲風の声楽曲。 こちらは、"Les Archives Sonores Sub Rosa"というショートフィルムのサウンドトラックの抜粋らしい。教会の鐘と鳥のさえずりに導かれ厳格な雰囲気をもった合唱とオルガンが緩やかに流れていく。考えて見ればドローンミュージックの原型というものはもとを辿れば、ここにあるのだろうと思えたりもする。歌詞に宗教的な意味があるのかはわからないが、純粋にその歌声だけでも素晴らしく気持ちがよい。この辺りの作曲家について申し訳ないことにほとんど知識が無いため、純粋に聴いた印象ばかりの話になってしまったがとおして聞いてみるとやはり80年代という時代を象徴する音、シンセサイザーの登場に無邪気に喜ぶかのような、いかにも80年代といった感じの音は好き嫌いがあるかもしれない。曲の構造をとってみても、今聞くと、単純でどこか素朴といってしまってもいいくらいすんなりと聴けてしまう。しかし、現在の音楽(音響系やエレクトロニカなど)に与えた影響が随所にかいま見られ、記録的な意味でもこのアルバムの持つ意味は大きいように思える。そして時代によって作風が大きく変わることが多い現代音楽において、ある曲だけを聴いてそのアーティストを判断するのはさけた方が良いのは言うまでもない。(ユキシュンスケ)

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