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02/20 UP!





dekorder
http://www.dekorder.de/

 「むずがゆい」感じ。これは私がDekorderの作品に抱くイメージである。全体的に音数は少なく、アコースティック楽器と電子音を融合させたかわいらしい雰囲気漂う夢見心地な作品にもかかわらず、時々生理的に受け付けない嫌な部分が見え隠れする。それが一体何なのか、その答えをさがすように何度も繰り返し聴いてしまう。はっきりと原因はわからない。だけど、なんとなくかゆい。そんな感じ。
 ドイツのエレクトロニカレーベル Dekorder。スタートして3年で14枚のリリースというマイペースぶりは、レーベルオーナーの気まぐれともとれ、また、本当に気に入ったものしかリリースしないという拘りの表れともいえるのだろう。しかし、昨年秋から今年にかけての活動は活発で、Un Caddie Renverse …やVoksなどの3枚組やTUM’、そしてここで取り上げるGuido Mobius、Black To Commと立て続けにリリースが続き、レーベルファンには嬉しい限り。とはいえ、やはりインディーズ・レーベル。活発なリリースに予算が追いつかなかったらしく、先月はリリース資金を期待してのセールを展開していたというオチもあり、それもまた計画性があるのかないのかわからないDekorderらしいエピソードだった。
 Dekorderのようなインディーズ・レーベルに特徴的なのが、一人のアーティストが複数のレーベルに所属して作品をリリースし、また、レーベル間の交流も活発に行われているという点。小さなレーベル同士がお互いにリレーションシップを結ぶことで、各々の負担を少なくヨーロッパ全体(世界全体でもいいけれど)をカバーできるというわけ。こういった活発な交流の中でアーティストそれぞれの質も高まり、そして、交流も網目状に絡まり、絡まった糸を辿れば辿るほど面白い図式となり、シーン全体への興味は深まっていくばかりなのだ。
 話をもとに戻そう。今回取り上げる2つの作品。上記のようなリレーションシップによってリリースの運びとなったGuido MobiusとBlack To Commにはいくつかの共通点がある。まず、それぞれ自身のレーベル(emphaseとDekorder)を持ち、マイペースに運営を行っているという点。さらに2人とも他に仕事(出版業、デザイナーなど)を持っている。副業を持ちつつ音楽活動を並行して行っている点からも、少なからず音楽に対するスタンスは似ているところがあるように思えるのだが、今回の2人の作品は、どちらもDekorder的な音でありながら、全く違った印象を受ける。それはまるでそれぞれがレーベルの「陰」と「陽」を表現したかのような作品になっているのだ。
 声(voice, human beatbox)を構成の軸として全面に取り入れたGuido Mobiusの作品は、とてもメロディアスでリズミカル。素朴な音を使いつつもテンポよく展開される楽曲には様々なアーティストをゲストに迎え、彩り鮮やかでポップな印象を受ける。中間で嗚咽ともつかない声を使うことによって、曲調は一転してダークな展開に転じたりもするのだけれど、その直後何事もなかったかのように曲調は元に戻り、作品は幕を閉じる。それは、私が個人的に描いてきた「陽」のイメージ、Dekorderの全体像そのものともいえる。
 Black To Commは、レーベルオーナーであるMarc Richter初のフル・アルバムとなる。フィールド・レコーディングをベースに、ノスタルジックな印象を与えるアコースティック楽器の音色を取り入れ、ドローンとノイズが絡み合いゆったりと展開される作品だ。その穏やかなサウンドは心地よくもあり、また、どこか居心地の悪さも感じさせる。全体にダークな曲調はDekorderにおける「陰」の部分が強く出た作品という印象を受ける。時折ドローンの中に入り込んでくる人の呻き声とも嗚咽ともつかない音は、全体にボンヤリとした印象になりがちなドローン中心の楽曲において効果的なアクセントとなっている。
 かわいい印象の中に、時々グロテスクな面をちらつかせるGuido Mobius。全体的にダーク、けれど時々穏やかでやさしい面を見せるBlack To Comm。それぞれの作品は、音の全体像こそ異なるけれど、どちらもDekorderというレーベルがこだわり続ける音そのものだといっていいだろう。陰においても陽においてもかゆいところ、つまり核心はわからない。けれど、なんとなくおとしどころはわかる。核心に迫り過ぎず、あえてぼやかしはぐらかす。作品の核心は聴き手の心の中にのみ存在するということか。そういった作品を多くリリースするところもまた、このレーベルの魅力なのだろう。
 などという勝手な想像を膨らませながら、待てど暮らせどリリースのニュースが流れてこないJohn Hegreの新作を心待ちにしながら、私はこれからもDekorderを追いかけるつもりなのだ。(本多千鶴)




02/01 UP!



odd shaped case
http://www.oddshapedcase.com/

 サンフランシスコに拠点を置く、TransmissionはColin Stetson (sax), Eric Perney (bass), and Ara Anderson (trumpet).Tim Strand (percussion),Roger Reidlbauer (guitar) Aaron Novik (clarinets)からなるアヴァンジャズ・バンド。トリオ、カルテット、クインテットとその時々で柔軟に編成を変えるバンドのようで、そこらへんはとてもジャズ的で、Chicago Under Groundなどを思わせる。シカゴ系の面々とは若干ニュアンスが異なるもののIsotope 217やBrokebackなどを彷彿とさせるポストジャズ、ポストロック的な曲に、ジャムバンド的とも言える白熱した瞬発力を加えたような、幅広い音楽性を持っている。ジャズサイドからのポストロックへのアプローチとでも言おうか、こういうバンドは今まですごく居そうで、あまり居なかった気がするのは私の勉強不足、故のことでだろうか。ミドルテンポでメロウなギターで鳴らされる、素朴で美しい曲で幕を開け、2曲目以降、ポストロック〜ジャズ、フリージャズ、などの様々な要素が欲張りなほどにちりばめられ、四曲それぞれに違った側面を見せる。4曲のみとは言え、全部で30分以上となかなかの聴き応え。前述の通り、いろいろなアイディアを取り入れているためか、全体としては、多少散漫な印象が無くはないが、それはそれで悪くない。確かな技術に支えられた演奏は危なげなく、ベース、とくにドラムのグルーヴ感はなかなかのもの。変拍子、主に5拍子を多用したアレンジも、聴いていてスリリングでとても楽しい。ゴージャスなホーンアレンジももちろんバンドの重要な要素で、よく錬られていて曲に華やかさと厚みを加える。静と動、ロックのダイナミズムとジャズの官能性、即興とコンポジションのバランスが絶妙で、編集を後からほとんど加えていないだろう、演奏も潔く心強い、前衛に傾きすぎず、常に歌心を失わないところも良い。ライブですごく盛り上がりそうな気がするので、フルアルバムと共に、是非とも来日を望みたい。(ユキシュンスケ)



SIN
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中澤始
音楽ライター。
見切り発車でフリーに。見切り過ぎだよトホホ…。
書きます。仕事ください。
本多千鶴
1974年生まれ、山形県出身。音楽ライターを志す栄養士。
「KITTEN」「ミュージクマガジン」誌などで書いています。
小野寺徹
音楽ライター。時折MM誌にレビューを書いてます。理屈よりも音で伝わるような音楽を言葉で伝えるのに苦心しています。
TH
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オオキサエリ
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東京都在住
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その他現在はライブイベント、「radical mute geek」の運営等。HP→
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kitten、MAG FOR EARS等に書かせてもらっています。
http://d.hatena.ne.jp/zu-hause/
ユキシュンスケ
バンド、ソロにて都内で音楽活動をしています。
ときに映像の音楽なども手がけながら精力的に活動中。
その他、ライブイベント「childlike tree」の運営など。
http://yukai.jp/~nowhere/
大崎暢平
hueレーベル専属レビュワー。お叱りのメールはhueではなく、こちらへ。
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