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11/21 UP!


tigerbeat6
http://www.tigerbeat6.com/

 「町を焼き払え」ってまた煽動的な……今どき許されないっていうか規制入りますよ口にするだけで。ガキんちょがレゴタウンをぶっ壊そうぜって言ってるんならともかく。いや、近頃じゃ子供のいたずらだって不審がられそうだからどうだか分かんないよ。とは言っても、本作は私的なディスコミックスを構想して作ったものという事なので、パーティーノリだと思えばまあまあまあまあ、あんまりそこに目くじら立てるのも、それこそパーソナルな目的で作ったマッシュアップものに、権利を盾に喰ってかかるみたいな了見の狭さでイヤかもしれないなという気もしないではない。音の方もやんちゃでまあ楽しいし、拍の取り方がなかなかダブハウス〜ポストパンクなマナーで、dfaとかoutputとかみたいな感じになっているところもあるし。たとえメカ音声が「オハヨウゴザイマス・ハジメマシテ・アナタノオナマエハ?・ワタシハフォーノーデス・ドーゾヨロシク・ネツガアリマス・ジャア・マタ・ゲンキデ」とか喋っている曲があっても……でもねぇ、phon.oと言えば、thomas fehlmannも賛辞を送った有望株なワケですよ。cytrax初のCDフォーマットで登場した彼の1stアルバムは、完全にベーチャン影響下にある抑制の効いた秀作だったし、fehlmannの称賛もそこに寄せたものだったはず。今のところはっきりしないので勇み足を踏むような事は言いたくないけれど、この人も若いから、気まぐれでどう転ぶか分かんないなあ……という気がしてちょっと心配。vladislav delayのように、過去の傑作群を全否定されると、なかなか結構辛いんでして。(中澤始)




11/17 UP!


kranky

http://brainwashed.com/kranky

 イギリスはイングランド出身のMat Sweetという人のソロ作品。なんでも自宅のコンピューターで録音した音源をkrankyに送ったところ、再レコーディング無しで、ほとんどそのままリリースが決まったとのこと。音的には、アコースティックギターのつま弾きを主体に、枯れた味わいのあるボーカルが、切なげなメロディをため息を吐くかのように歌う、至ってシンプルなフォークソング集といったところ。声質は、低く、くぐもった、暖かい歌声。なんだかフォーキーな歌を唄っているときの、Beckを思い起こさせる。そしてそれに決して多くは無い、いくつかの楽器(シンバル、トイピアノ、バイオリンの弓、)フィールドレコーディングの音などが極控えめに重なり。時折、逆再生などを使用したサイケデリックな側面も見せるが、それはあくまでもちょっとしたスパイスにすぎない。エフェクトの処理など、すごく繊細に意識の行き届いたエディットになっており、質素で上品な仕上がりと言える。過激にエディットされて賑やかで華やかな音楽も良いけれど、やっぱりこういうシンプルで歌心があるものっていうのは強い。実験的なものばかり聴いていると、その反動で、無性にシンプルな歌が聴きたくなる。30分に満たないこのアルバムは、しっかり聴いていないとあっという間に聴き流れてしまうような作品。すっと自分の気持ちと重なったとき、深く心に入り込む。小さめの音で静かに聴くのが良い。2006年にはすでに次回作リリースの予定があるようだ、krankyはいつもながら渋いアーティストを発掘してきますね。(ユキシュンスケ)




11/14 UP!


thomason sounds
http://inpartmaint.com/thomason

 この新しいレーベルの名のthomasonは「トマソン建築」に由来する。「何それ」という訳で調べる事にして、建築史美術史をあんまり紐解いてみなくても出てくるこの名称は、身近なところだと「老人力」の、もしくは芥川賞作家の(ただし尾辻克彦名義)、もしくはライカ同盟の、もしくは「にらハウス」に住んでいる、とまあ多岐に話題豊富な赤瀬川原平が唱えたもので、知る人ぞ知る巨人軍にいた元大リーガー=ゲーリー・トマソンから来ているんだってさ。という事でこの際、建築からアートから文学からカメラから韮から野球から赤瀬川氏から、各カテゴリをフォローしている皆さんに、このレーベルに注目していただきたい。私は私で、これをきっかけに今「新解さんの謎」読んでますから。面白いよ。赤瀬川氏はアルバムのジャケデザインを手がけた事もあるそうなので、あの、どうでしょう今度お願いしてみては。
 さて音ですが、まず思い出したのはk.c. accidental。彼らの『captured anthems for an empty bustub』の一曲目がカッコいいんですが、ああいう乾いたリリシズムを感じたというか。なので近況的に、北米辺りの人達かと想像したんですが、UKの4ピースバンドでした。私たちの内には「ポストロックらしさ」というのが確かに醸成されていて、本作など聴いた途端ポストロックと認知できるんですが、ちょっと耳確認したところでは、あの90年代のそれとの類似をそれほど感じません。どちらかと言うとやはり最近の北米辺りのアーティストの新芽や若草のような凛々しさ、それをかぐわせるメロディと共通点があるのではないかと。一方でこの人達は、モグワイのように灼けつく内省をかき鳴らしてもいて、なかなか魅力的です。『アイランズ』といえばクリムゾンなんですがそれは年寄りの妄想、情報として結構あてになるのはライヴ仲間かも。spiritualized、album leaf、six by seven、fugazi……むむ。(中澤始)




11/9 UP!


kranky
http://brainwashed.com/kranky/

 こんな音楽がいま最も耳に馴染むってことは、よほど心が不健全なんだろう。その自覚はあるが、これを聴いているとそれがどんどん実感となっていく。stars of the lidの片割れbrian mcbrideによる初のソロ・アルバムは制作に4年間も費やされたが、ある意味これほどパーソナルな作品はない。聴いていて心が落ち着くのも当たり前。なぜなら本作は彼が離婚し、シカゴからロサンゼルスに引っ越して精神的に弱っていた時期のセラピーのために作られたものだから。それにしても彼もよほど弱っていたにちがいない。彼の精神が弱れば弱るほど、逆説的に作品の完成度が高まっていくという皮肉。ギターやピアノ、トランペット、ストリングスの多用と音響装飾されたアンビエント・ドローン・サウンドは、個人的にjohann johannssonのtouchからの作品を思い浮かべたが、そこには決してなかった感情の渦が本作を渦巻いている。デコラティヴではなくてオーナメンタル。その美しい装飾の中心にはとてもドロドロしたものがあるように感じる。この処方箋は極めて効果的だけど中毒性もあるので注意。ぼくはすでにもう遅いけど。相方のadam wilzieが昨年リリースしたthe dead texan名義も素晴らしかったが、本作はそれ以上。最近のkrankyはアシッド・フォーク路線で、そして今後はミニマル路線にシフトしていきそうだけど、windy&carlとかpan americanあたりは別格なのは言うまでもない。しかし、stars of the lidとlabradfordの新作は一体いつ出るのだろう?(SIN)




11/4 UP!


happy
http://www.12k.com/happy/

 piana人気を支えているのは「萌え」要素だろうか? もしそうなら、私はニカ市場拡大バンザイ人間なので、振り切れていない潜在的萌え指向者だけでなく、もっと真性オタクとかも巻き込んで流行っちゃってほしいけど、そんな無責任な興味は感じても、積極的に作品に向かい合う気はあまり起こらないだろう。訊かずにいられないのは、いや違うんじゃないの? という気持ちが拭い切れないからだ。観点は、単純化するなら、彼女の音楽に媚態があるか否か。媚態にだって成熟というものがあってそれだとまた話が違うので少し言い変えると、類型的で卑近な媚態が感じられるかどうか、リスナーにそう捉えられているかどうか、だ。唱法にしても、「僕」「君」とか「〜かな」「〜でね」「〜よ」とかの言葉選びにしても、本人がどうあれそういう聴かれ方をされ得るところはある。いっそアニメPVを用意してしまえば、関係者が彼女を発見してくれれば、新規リスナーを開拓できるのではないかなどと、頼まれもしないのにマーケティングについて考えてしまうくらいに。「early in summer」「beside me」などはその傾向が強い。ただ、こうした見方は浅はかではないかと思わせるところもあって、特に「mother's love」はまぎれもない名曲で、ソングライティングの才と、私的な生々しさが現れている。この曲や「something is lost」の感じは、1stではスタイルに隠れて見られなかった深みで、個人的には本作最大の成果だと思う。この二つの方向性は、これも単純化するなら、萌えキャラかビョークかというようなもので、う〜んどうなんだろう。taylor deupreeや杉本佳一を捕えたのは何だったろうか。
 仮に「萌えー」でも、結構踏絵的というかある意味エッジーで、なんか堪えられないところはある。だって、最初聴いて拒絶反応が出たのに、リピートする内に感動しちゃうんだよ。こういう体験はそうそう味わえない。それをして、潜在的萌え指向っていうのかもしれないけど。(中澤始)

SIN
HUE LABEL A&R
p*dis BUYER
中澤始
音楽ライター。
見切り発車でフリーに。見切り過ぎだよトホホ…。
書きます。仕事ください。
本多千鶴
1974年生まれ、山形県出身。音楽ライターを志す栄養士。
「KITTEN」「ミュージクマガジン」誌などで書いています。
小野寺徹
音楽ライター。時折MM誌にレビューを書いてます。理屈よりも音で伝わるような音楽を言葉で伝えるのに苦心しています。
TH
1975年千葉県生まれ、杉並区在住 メールはこちら
オオキサエリ
1983年生まれ 
東京都在住
インディーズレーベルでのアルバイト経験有
音楽ライターを目指して頑張っています!HP→
畠山地平
電子音楽ユニットvalyushkaとソロで音楽活動をしている。
その他現在はライブイベント、「radical mute geek」の運営等。HP→
筒井真佐人
駆け出しライター。traksyなどでもライター活動をしている。Dance and Media Japanでmax/mspのワークショップを行なう。またレーベル「ONZO」にも所属し、パフォーマンスイベントの主催など行なう。
高橋潤
kitten、MAG FOR EARS等に書かせてもらっています。
http://d.hatena.ne.jp/zu-hause/
ユキシュンスケ
バンド、ソロにて都内で音楽活動をしています。
ときに映像の音楽なども手がけながら精力的に活動中。
その他、ライブイベント「childlike tree」の運営など。
http://yukai.jp/~nowhere/
大崎暢平
hueレーベル専属レビュワー。お叱りのメールはhueではなく、こちらへ。
mondii
PLOP LABEL A&R