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06/28 UP!


2062
http://www.mmlxii.com/

 ウィリアム・バシンスキーに関しては、もはや説明不要だろう。音楽家にして、映像作家、オープンリール式のテープデッキを駆使して、独特のこもった音像とロマンチシズムをつくり出す。初めてバシンスキーの作品を聞いたのは、『theDisintegration Loops』シリーズだが、その時はあまりに美しいメロディなので、誰かの曲を使用したのだろうと思っていたが、その後正規の音楽教育を受けた人物である事がわかり、愕然とした。手法的には完全に60年代の実験音楽のそれであり、古さを感じてしまいそうだが、そんな事はまったくないばかりか、新鮮ささえ感じてしまう。そこには、テクノロジーと音楽の関係性の本質が垣間見えるかもしれない。
 さて、この『MELANCHOLIA』は80年代初期に制作され、CDRで水をテーマにした三連作の一環としてリリースされていたものでついに正規CDでリリ?となったものだ。バシンスキーにはめずらしく長尺の曲ではなく3〜6分程の曲が13曲収めらている。メランコリアというタイトルからも想像できるように、深い悲しみをともった美しいメロディというバシンスキーの特徴が連作であるウォーターミュージックより全面に出ていて、ファンの間では最高傑作とさえ囁かれているらしい。実際ピアノやヴァイオリン等のクラシカルな楽器を使用してつくり出される音の美しさは、言葉で伝えるのは不可能では無いかと、自分の無力さ痛感してしまうほど。たとえ世界が鬱であふれているとしても、そこにも僅かな希望が確かにあると、大袈裟にではなく、しかし確信をもって、この音楽は主張しているように思えてならない。(畠山地平)




06/13 UP!


abandon building records
http://www.abandonbuilding.com

 「不思議な風味なんだ、言ったらピクルス&ホィップクリームみたいな感じ? こんな風に言うと胸を悪くする人もいるかもしれないけど、君がサウンドに愛を感じる事ができるなら、最高に美味いはず」。abandon building recordsは米ウェストヴァージニアの新興レーベルだ。そのレーベルウェブ上で本作を紹介した長いテキストを締めくくるこの一文、読むだけだと味の形容がオカシイと思っておしまいって事になりかねないが、音を聴いた後では、結構頷けるなあと思ってしまったりするんです。超訳すると「あっ、コレ、あったらしい〜」とまあそんな感じでしょうかね、つっても実際これを食す気にはならない訳だけど。その新しさは音楽手法について言っているというよりは、ニュアンスとしては若々しいというような意味。minamoが、そしてpianaさえもが活動歴の長い部類に入りそうな若手ばかりの全17組のアセンブリッジ(寄合)たる本作で最も印象的なのは、感性のみずみずしさが全体に渡っているというか溢れ返っているというか、そういうところである。はっきり言って楽しい。そしてこれは嬉しい感覚だ。アーティストによらず、繊細な電子音もラフなブレイクビーツも忙しいカット&ペーストもギターの伸びも節回しの早いラップもヘナチョコなVo.も、みんな何やら光っている、おそらくは、プロ意識や成熟などというものから遠いところで。特に輝きを感じるのは、同レーベルからアルバムを出したばかりのdof(2月のこの欄にレビューあり)とcrombie(このバンドはファットキャットのデモ・アーカイヴにも顔を出している)。あと、ヒップホップがいいなあ。(中澤始)




06/09 UP!


fonal records
http://www.fonal.com/

 今年もバルセロナのフェスティバル=sonarの季節がやってきた。というかもう直前だけど(6/16〜18)。カーグラ&脚線がシャープに魅せた2004年から一転し、今年度のイメージには八名のアイコンが選出されている。のだが、誰一人判然としないのは、そういうコンセプトだからのようで、添えられた経歴で各々のアンチヒーローっぷりを知ってニヤリって感じ。で、例年の如く豪華なラインナップを眺めてみると、レーベル・ショーケースに、hapna、type、domino、minus、compost、third earなどと共にfonalの名があるのである。フィンランドのアーティストのエントリーはこのレーベルからだけみたいだし、大躍進なんじゃないでしょうか。es、kemialliset vstavat、そしてislajaがこの順で登場するプログラムになってます(ちなみにその後はマット・エリオット)。さて、islajaは今年1月に1stをリリースしたばかりだが、半年も経たぬうちに次作が届いた。特筆すべきはやはりこの独特な質感だろう。宅録というより、フィールドレコーディングと言った方が正しいのではなかろうか、というような奇妙な雰囲気は、もちろんレコーディング方法のせいもあるがそれだけではなく、楽器や人が、「そこでそうやって音を発する存在」として、捉えられているところに由来しているように思われる。だからだろうか、コンポーズが優れているとか巧いとかいう印象はないのに、聴いていると、異郷の日常の息吹を伴ったあるものの存在感が、私的に、胸に迫ってくるように感じられる。(中澤始)




06/06 UP!


matamore
http://matamore.net/recordings/

 北欧系というカテゴリーが出来上がるほど、今の音楽シーンは北欧ブームであるが、彼らもそんなロックの新聖地であるベルギー出身の四人組。でも決してブームに乗っかった浮ついたサウンドではないのです。しっかりと地に足のついたロックサウンドを鳴らしている、彼ら。なんと驚くことにこれがファーストアルバムだというから、本当に驚きを隠せません。ファーストにして、既にベストアルバム的な完成度の高さを感じさせる良質のメロディーは、一度聴いたら誰もが虜になるはず。全体を通して、飛び抜けたセンスの高さをひしひしと感じます。どことなく北欧の冷たい空気を連想させるような、変拍子ロックサウンドと、それに乗るアンニュイな男性ヴォーカルの相乗効果がたまりません。まったりとした午後にかけたいボッサ風味のM-3、大物の匂いをプンプンと漂わせている名曲であり、ギターのアルペジオが最高に刺激的なM-4、これまた味わい深いギターのアルペジオがイントロから流れ出すM-6、静かなインストから一転、変拍子ドラムが心地良くまばゆい光を反射させながら、ゆらゆらとゆらめくM-7・・と、終始ギターの美しい旋律に心が揺らぎっぱなしです。ラスト、M-8は、独特の淡い色を帯びたボーカルと、どこまでも広がっていくような景色が見えるピースフルなサウンドが鮮やかなナンバー。こんなに平穏な気持ちで聴き終わることのできるアルバムは、滅多にありません。繊細でありながら、ダイナミックに変化するロックサウンドがとにかく印象的な彼ら。とんでもない才能を予感させる、したたかな四人組です。北欧系ブームの新しい流れを生み出すであろう彼らのサウンド、今のうちにチェックしておいて損はしないはず。全てのロックファンに捧げる、優しい一枚です。(オオキサエリ)



SIN
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中澤始
音楽ライター。
見切り発車でフリーに。見切り過ぎだよトホホ…。
書きます。仕事ください。
本多千鶴
1974年生まれ、山形県出身。音楽ライターを志す栄養士。
「KITTEN」「ミュージクマガジン」誌などで書いています。
小野寺徹
音楽ライター。時折MM誌にレビューを書いてます。理屈よりも音で伝わるような音楽を言葉で伝えるのに苦心しています。
TH
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オオキサエリ
1983年生まれ 
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インディーズレーベルでのアルバイト経験有
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電子音楽ユニットvalyushkaとソロで音楽活動をしている。
その他現在はライブイベント、「radical mute geek」の運営等。HP→
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駆け出しライター。traksyなどでもライター活動をしている。Dance and Media Japanでmax/mspのワークショップを行なう。またレーベル「ONZO」にも所属し、パフォーマンスイベントの主催など行なう。
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kitten、MAG FOR EARS等に書かせてもらっています。
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ユキシュンスケ
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ときに映像の音楽なども手がけながら精力的に活動中。
その他、ライブイベント「childlike tree」の運営など。
http://yukai.jp/~nowhere/
大崎暢平
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mondii
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