The Third Eye Foundation Interview (interview with Matt Elliott)

p*dis Label interviews vol.3
2010.11.11
質問:大崎晋作、水野祐

p*disレーベル・インタビュー・シリーズの第3回目は番外編といたしまして、まさかの10年ぶりのニュー・アルバム『The Dark』をリリースしたばかりのThe Third Eye FoundationことMatt Elliottのインタビューをお届けいたします。これまで日本語のインタビュー自体あったかどうか定かではないですが、貴重な機会であることは確かです。ニュー・アルバムのことを中心に、Matt Elliottが抱える怒りと闇についていろいろと聞いてみました。

1. まずはThe Third Eye Foundationの10年ぶりのアルバム『The Dark』のリリースをとてもうれしく思います。Ici D'ailleursのStephaneからそのニュースを聞いたときとても驚きましたが、あの圧倒的な「Songs」三部作を作り終えたことで、ひとつの区切りと考えたのでしょうか?つまり、いつごろTEFを復活させようと思ったのでしょうか?

Ici D'ailleursとサインして以来、Stephaneと別のThe Third Eye Foundationのアルバムを作ることを約束してたんだ。いつも忙しすぎてできなかったんだけど、ついに時間ができて、新しいソフトウェアや新しいコンピュータを手に入れることができたこともあって、2年くらい前にようやく新しいアルバムを作り始めたんだ。

2. 『The Dark』はまさにダークで美しかった『Little Lost Soul』の延長線上にあると感じました。10年ぶりのアルバムを作るに当たって、思い描いていた青写真のようなものはありましたか?、また、結果的に考えていた通りの作品に仕上がりましたか?

そういうのは全くなかったよ。ぼくはただ実際に作業を始め、それからしばらく時間が空いたんだけど、一度進むことができたら本当にすぐにできあがって、それからペースを落としたんだ。ぼくはまだこのレコードに近づきすぎてるから、客観的な意見はまだ全く持てない。でも、満足はしてる。

3. リズム・パターンのいくつかはドラムンベースだけではなく、ダブステップのようだと感じましたが、これは意図したことでしたか?

うん、ダブステップ・ムーヴメントのいくつかはとても興味深いね。たぶん年をとるにつれてぼくの嗜好はいくらかメロウになったけど、昔はメロウでもっとゆっくりとしたビートを使ってたかな。たまにビートのピッチを上げたり下げたりね。

4. 以前から聖歌やオペラのものと思しきサンプリングを使用しています。本作では特に全編を通して、叫び声や鳴き声のように加工された歌が使用されていますが、こういったサンプルは何から拾ってきていますか?もし差し支えなければ教えてください。

本当はどこからサンプリングしたのかとか話したくないんだ。いくらか謎を残しておきたいからね。でも、ひとつ言えるのは、Rada & Ternovnikには許可を得て、彼らの音楽からのサンプルを使ってるよ。

5. 前作では「Goddamit You've Got To Be Kind」というエンディングは私にとっては救済のように思えました。本作でも「Closure」というタイトルながらも、むしろ同様の幸福感を感じたのですが、間もなくすぐにビートによって引き裂かれてしまいます。その違いについて、あなたの考えをお聞かせください。

うん、「Closure」はついに悲劇的なことを乗り越えた瞬間を描いているんだ。それはとても希望に満ちていると思われる。「If You Treat Us All Like Terrorists, We Will Become Terrorists」は気分が高揚するダンス・ピースのはずなんだけど、多分、ぼくは間違っちゃったんだろうね。悪意なんてないはずだったのに、ぼくは自分が考えているよりもただもっとダークなのかもしれない。

6. あなたは数年間フランスに住んで、いまスペインに住んでいるんですよね?拠点を変えることは音楽活動にも多少なりとも影響を与えると思いますが、長年、故郷を離れたことで音楽的に、そして私生活的によかったことは何でしょう?また、ブリストルに戻るつもりはありますか?

この質問は何度もされてきたけど、ぼくの答えはいつも「それは答えることはできない」だよ。ぼくの人生全体がぼくの作品に影響を与えている。だから、時間を過ごした場所が影響を与えたりもすると思うけど、それがどういう関係があるかを言うことはできないんだ。ただ単に多すぎるくらいの物事の側面があって、それに対して比較することはどうすることもできない(この最後の文は訳すのは悪夢のようだと思うから、謝っておくよ)。

7. いまもツアーの最中だと思いますが、あなたにとってツアー、またはライヴはどのような意味を持ちますか?あるいは作品を作ることと人前で演奏すること、どちらに重きを置いていますか?

ツアーは好きだよ。みんなが一体となるときは最高さ。でもツアーはストレスの多いことでもある。いろんな意味でコントロールできないことだからね。会場やオーディエンスやステージの音響とかコントロールしきれない。ステージにあがるときはリスクを負わないといけないものだし。でも、すべてがうまくいっているときはライヴをするのは大好きだよ。同じようにレコーディングも楽しんでる。それらは完全に別もので、異なるかたちでストレスの多いものだから。でもぼくはとても幸運なことに、こんなにすばらしい仕事をしているんだ。

8. あなたの音楽には絶対的な虚無感や孤独感で満ちているのに、あなたが生きていられるのは何故ですか?それらとの付き合い方についてあなたはどのように考えていますか??

ぼくは歴史上のこのときまで、人間として、人生のすべてのネガティヴな部分と音楽を通して付き合っているんだ。実際、それらと付き合うために音楽が助けとなっている。それはカウンセリングのようなもので、人生においてぼくは絶望に満ちているわけではないし、笑ったり、ジョークを言ったりするのが好きだよ。それはまさしく音楽を通してあらゆる困難を消し去ってるからだね。

 


 

9. 虚無や絶望、孤独とフィードバック・ノイズまたはウォール・オブ・サウンドの関係性について、あなたの考え方を聞かせてください。

うん、ウォール・オブ・サウンドはあらゆるものを表している・・・泣き声、絶望、普通は怒り、そしてそれらを組み合わせたものや、それ以上のものをね。ぼくはノイズを使うのが好きだ。それぞれのリスナーの心は、それぞれの心から何かを加えてくれるからね。これは人の心が周波数にさらされているときに起きるんだ。だからノイズはリスナーにとってよりパーソナルなものなんだよ。

10. もしかしたら知らないかもしれないですが、私は『Saddest Songs』というコンピレーションをリリースしました。Ici D'ailleursに頼んで、そのなかにあなたの「A Waste of Blood」を収録したのです。あなたにとって、「最もかなしい歌」とは何でしょうか?

「A Waste of Blood」はとてもかなしい歌だね。そして、ぼくはサッド・ソングが好きだよ。なぜだかはわからないけどね。Current 93の作り出したものにはたくさんのかなしみがある。だけど、そのかなしみのなかにはたくさんの希望がある。トム・ウェイツの「Green Grass」はとてもかなしいけど、全く違う角度から、ティム・バックリィの「Love From Room 109 At The Islander」もかなしい。また、別のかなしみは、すばらしいDirectorsoundの「Rejectee」においてピアノだけで完全に表現される。マリア・カラスはとても美しくかなしみを表現する。そして彼女のパフォーマンスを観るぼくを、肉体的に傷つけるんだ。

11. あなたのほとんどのアートワークはUncle Vaniaによるものです。彼との出会いを教えてください。また、アートワークを作るとき彼とどのようなものにするか話し合うのでしょうか、あるいは彼にすべてを委ねるのでしょうか?

Vaniaには10年以上前に会ったんだ。彼と仕事をするのは驚くべき名誉だよ。ぼくの意見では彼は生存するなかでもっとも偉大なアーティストで、彼の作品を完全に信頼しているし、尊敬している。たぶん、もっとも誇るべきぼくの成果は、Gestaltenから出版された彼の本に組み込まれたことだね。ぼくがどれだけ彼を人として感謝し、アーティスト、いや、本当のアーティストとしてどれだけ称賛しているのか、言葉では言い尽くせないよ。最近ではどの分野でも本当のアーティストはそう多くはいないからね。

12. 好きな小説家、詩人はいますか?レイモンド・カーヴァーやブコウスキーは?村上春樹は読みますか?

恥ずかしいことに、詩はぼくが興味のないことなんだ。もちろん歌のリリックについては良さがわかるけどね。たぶん年を取ったら学ぶことなんだと思うよ。もちろん文学は読むし、最近読んだ本もおもしろかった。「The Strange Last Voyage of Donald Crowhurst (again)」、 「We」, 「The Rasputin File」, 「Life and Fate」..............

13. あなたにとって、まだこの世界は戦場ですか?それとも沈みゆく船ですか?

かつてないほど、より戦場となっているね。きっとこれが最後の戦いだと信じてる。世界の国々の情勢はみんなを犯罪者やテロリストのように見なし、ぼくらから基本的な人間的自由をはぎ取り、道徳的な面を全く持たない多国籍企業へと自由を受け渡している。やつらは戦争や苦痛を永続させ、不当利得行為を進めるためにテロリストの攻撃をねつ造している。やつらによる不必要な大規模汚染によって、ぼくらの惑星は住むに耐えられないものとなっている。ぼくらはこのシステムに終止符を打ち、新しいシステム、全く新たなシステムを再構築しなければならない。資本主義や帝国主義や共産主義に基づかないシステムをね。考慮に入れるべきものは技術的な功績であって、消費や奴隷制によるものではなく、この地球に住むひとりひとりの個人にとって、それぞれの生活をすばらしいものにし、意味のある学習経験を作り出すことが唯一の目的である、そんな思いやりのあるシステムなんだ。ビル・ヒックスが言ったように(そして、ぼくが言い換えて拡張するように)、ぼくらが戦争や兵器、軍産複合体、企業助成政策、CCTVや知能が集まったあらゆる形態のものに費やしたすべてのお金を使いきってしまったとしたら、そのお金は米国国防総省やすべての国のそれに相当するものによって失わされるだろう。もし、企業が支払いを逃れた税金の負担がぼくらに加われば、そして、すべての財産が政治腐敗と密室交渉や賄賂のなかで失われ、実際にエネルギーや食べ物を作り出して、公平に流通し、維持可能で効率的な方法が成し遂げられるとするなら、そして、それが人類の発展におけるこのステージにおいてわれわれがすべきことであったとしたら、ぼくらはこの地球に住むすべての人間に食べ物と着るものを与えるためのたくさんの財産や資源を持っていただろう。ぼくら自身を、この世界のぼくらの場所を本当に見つけるために、シェアするために、本当にコミュニケートするために、アート、ぼくらの短い時間をこの地球で過ごすためのすばらしい場所を作るためアートを作るために、十分なものがまだ残されている。でも、いくつかの理由でぼくらの多くが、この不公平で不当なシステムに幸せを感じている。そのシステムののなかでぼくらのほとんどは不幸や恐怖や不安を感じ、感情が壊されているというのにね...............

 

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[ インタビューの原文はこちら ]

 
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