|
1. 自己紹介をお願いします。
こんにちわ。太陽が輝くオーストラリアのブリスベン出身のローレンス・イングリッシュです。私はRoom40レーベルをここオーストラリアで運営しています。また、妻のレベッカと共同でSomeone Goodレーベルの運営もしています。両レーベルにはとても特別なマスコット”シュナップス”(犬)がいて、彼を誇りに思っています。時々レーベルのオフィスで彼が一生懸命働いているのを見かけます。彼のマイスペースを是非訪れてみてください。
2. あなたはRoom40から、あなた自身の作品も含む地元オーストラリアの実験音楽やアヴァンギャルド・ミュージック、そしてニューヨークのターンテーブリストDJ OLIVE、それから日本人アーティストのツジコ・ノリコやテニスコーツをリリースしていますね。そして、最近Someone Goodレーベルも始めましたね。それらのリリースから、あなたが幅広い音楽的美学をもっているのを感じます。それぞれのレーベルのコンセプトはなんですか?またそれぞれのレーベルはどのようにはじまったのですか?それから、どうして "room40" や“someone good”という名前をつけたのでしょうか?
Room40の名前はイギリスのブレッチリー・パークにあった暗号解読施設からとりました。このレーベルでは、まず、特定の美学のクオリティーやサウンドを探求する作品をリリースすることに焦点を当てています。それぞれのレコードはコンセプト的であったり、地理に関係していたり、時間的であったりとフォーカスがよく考えられているのです。わたしがアーティストを招待して、レーベルのために何か創作してもらう時、それは彼らにとって通常のリリースにフィットさせる必要がなく違うフォーカスのアイデアを探求するチャンスでもあります。例を挙げると、最近リリースしたクリストファー・ウィリッツの作品ですが、ギターとプロセスを用いた、驚くほど長く続くコンポジションです。これは同じ方法を用いた他の彼の作品とは大きく異なります。同じく、わたしがリリースしてきた他のたくさんのレコードも、特定の出会いや地理的な空間にもっと焦点が当てられています。わたしの”ghost town”という作品がそれの例になります。
Someone Goodは対照的に、まず、革新的で普通じゃない形の”ポップ”ミュージックをリリースすることに焦点を当てています。ポップミュージックの定義は幅広く様々ですが、このレーベルは直接的に耳と結びつくサウンドと構造の両方の発見のためのもの、そしてまた、すこし馴染みが薄くて、とがった曲の形をテストしているレーベルだと思っています。このレーベルは妻のレベッカとの会話から生まれたものでした。彼女は聴くという行為が本当に喜びに繋がるような、サウンドとハーモニーの関連に基づいて作られたメロディアスな音楽が存在するということに興味を持っています。しかし、そのよう音楽はオーストラリアではなかなかリリースされていないのです。コセムラ・アキラのレコードを例にあげると、これは、エレガントなピアノのメロディーと抽象的なエレクトロニクスとフィールド・レコーディングが融合されているレコードです。ある意味、アヴァンギャルドな面を持っているとも言えますが。しかし、コセムラの作曲的な技術は、歓迎するクオリティーを遥かに超えているものでした。そして、それが彼の音楽を聴く人たちと違う方法で結びつくことを願っています。
3. それぞれのレーベルからリリースしているアーティストとはどのように出会うのですか?
レーベルのために作品を作ってくれたアーティストの多くは、私が海外でツアーをしている時や作品のプレゼンテーションをしている時に会っています。私が彼らのレコードをリリースした後に、彼らと実際に会う場合が多いのです。わたしはroom40を「友人や家族的なレーベル」として考える傾向があって、これはレーベルに関係しているアーティストとの強い結びつきを持つ事を好むという意味です。どんなレーベルでもリリースするアーティストには責任があるように、そのようなつながりを持つ事を重要だと感じるからです。これは私がとてもまじめに考えている事です。
4. 7月に、テニスコーツのアルバム「とてもあいましょう」がroom40からリリースされました。ここ日本でも日に日に注目を集めていますよ。実際、本当に素晴らしいアルバムですね。あなたはまたプロデューサーとしてこのアルバムに携わっていますが、彼らとのレコーディングはどうでしたか?
正直に言うと、今まで音楽を作ってきた経験のなかでも最も特別な体験の一つでした。テニスコーツは本当に天性のミュージシャン達です。彼らはサウンドやメロディー、そしてハーモニーをとても本質的に理解していて、彼らと音楽を作ったことは本物の喜びであり、音楽のアイデアを分かち合う事がなんて素晴らしい事なのだろうという事を思い出させてくれました。
あのアルバムは完成するまでに2年近くかかっています。彼らが2005年にオーストラリアにはじめて来たときに、私たちはレコーディングを開始しました。2、3日間、良いレコーディングの時間を過ごして、それからわたしが、それらの最初のセッションからのストラクチャーに手を加えました。それから、私が東京に行き、もっとレコーディングをしました。最後はテニスコーツがロンドンに行き、最後のセットとなるセッションを私たちのUKの代理人、ジョン・チャントラーと行いました。これらのそれぞれのセッションは異なるクオリティーをレコーディングにもたらしていて、素晴らしいものでした。例えば初期のミックスを聞き返すと、最終的に録音された節とはたくさんの変更があったのがわかりました。いくつかの曲は、someone goodのコンピレーションに収録されている”possumo”という曲のように、まさに「録音された瞬間」のようで、その曲はサヤが本当に短い時間で書いたものでした。そしてそのあとわたしが手早く演出しました。あの曲は、実際、someone goodの設立に影響を与えたものの一つです。
5. あなたが始めたばかりのレーベル”someone good”についてですが、最初にリリースした2枚のCD、一つはユニークな日本のアーティストの楽曲が数多く収録されているコンピレーションCD、もうひとつは素晴らしいアキラ・コセムラのファーストアルバムでした。日本のアーティストには特別な興味があるのでしょうか?また、他に日本のアーティストで興味がある人はいますか?
おもしろい質問ですね。たくさんの日本のミュージシャンたちは、他の国のミュージシャンでは聴いた事の無い、よく考えられたソングライティングとサウンドの正しい理解力を身につけていると思います。これがどこか来ているのかはわかりません。しかし、音楽の歴史や日本のサウンド環境、そして他の社会的な要因がこれの一因になっていると思っています。個人的に、日本のサウンド・カルチャーにはとても強い興味を持っています。そして同じように、ヴィジュアル・アートカルチャーにも。日本には歴史的に、なにか面白い現象があり、それがユニークな文化的に実在する物となって現れています。だからわたしは興味があるのです。
いろいろな理由から私は日本のたくさんのアーティストに興味があると言わなくてはいけません。例えば、タカノ綾や畠山直哉などのヴィジュアル・アーティスト達はユニークな遠近法による物の見え方を彼らの作品に取り入れています。同じく、池田亮司や、秋田昌美、角田俊也たちは、とても高度に洗練された美的感覚を持っています。それらの表現方法は、彼らの作品を通して、いつもわたしに感銘を与えています。
6. Room40のCDのパッケージはとても個性的ですね。特別な封筒のような形で、デザインもとてもシンプルだし美しいと思います。紙の表面加工の手触りもいいですね。しかし、原価がかかりそうだなと思いました。あのようなパッケージングにしたのはどうしてですか?
音楽をリリースするために、デザインやパッケージングそして、創作的なアプローチの機会を与えられていますが、今日、自分たちの音楽の「家」となるもののために、新しく、個人的な表現を探求しているレーベルが少ないのには驚いています。工業的なデザインやマス・プロダクションもとても美しいとある意味思います。ある新しいアジアの街の建築を例にあげると、その形やラインには息をのみました。しかし、これはほとんどの部分がジュエルケースでは同じ事は言えないでしょう。
わたしがroom40を始めた時、それをアート・ミュージックのレーベルとして見ていました。それに従い、視覚的な美的感覚をレーベルの為に作り出することは、音楽を象徴するのにふさわしく、視覚的なブランドを作り出せるかもしれないと考えたのです。コストがかかっているのは本当ですし、わたしや他のroom40に関係している何人かの人たちは、各リリースごとに手作業でCDを詰めて海外へ発送しています。しかしこの必要以上の努力は、サウンド・アーティストやミュージシャン達が作品に注いだ努力を考えれば当然のことだと思うのです。
さらに、ますます増加するデジタルミュージック革命が起きていて、ダウンロードするよりもむしろ、自分のものとして持っていたい記録物や人工物を作り出さなければいけない責任がレーベルにはあります。私自身も、CDを買う必要性が無い時、音楽ダウンロードをたくさんしています。なぜならジュエルケースや標準のパッケージで棚を埋める必要がないからです。自分のハード・ドライブで埋めた方がいいですよ。でも、もしそれが特別な外見の一枚ならば、もちろん自分のアーカイブの一部になるべきだと思います。 |
7. オーストラリアでレーベルを運営するのは難しいですか?あなたの国の行政は新しい文化が発展する事に協力的ですか?
7年前に私たちがブリスベンでレーベルを始めた時は、まだ進んだ、または、大きなエクスペリメンタル・ミュージックのコミュニティーがありませんでした。だから、国家的に見て、このような音楽が増えたということをうれしく思っています。たくさんの素晴らしいオーストラリアのミュージシャンが海外へ出て行き、それから、国際的なサウンドアーティストがオーストラリアにコンサートやエキシビションのためにやってくる機会もどんどん増えています。
ここでレーベルを運営することが難しいと思うことのひとつに、どの場所からもものすごく遠いという「距離」の問題があります。時々ですが、CDを輸送することなど、とても簡単なことでも非常にコストがかかるのです。しかし、これらは小さな問題で、オーストラリアはレーベルをやるのには素晴らしい場所ですよ。行政の支援という点ですが、room40はこの国のアート、特にサウンドカルチャーや、これに関するほかの事柄のアシストも声を大にして支持してきました。そして行政がだんだん新しい文化を意識し、ある場合は、この新しい領域への支援をしています。しかし、まだまだ長い道のりなのは明らかです。
8. 私がp*disで働く前に持っていたオーストラリア音楽の印象は「ロック」でした。しかし、room40のことやオーレン・アンバーチなど他のオーストラリアのアンダーグラウンドなアーティストを知るにつれ、とてもおもしろいシーンがオーストラリアにあることがわかりました。現在のシーンについて教えてください。
おもしろい質問ですね。たしかにそうですね。オーストラリアはとても「ロック」に傾倒している文化の印象付けをしてきました。そして、依然として、ほとんどのものが極めて優秀な音楽としてここで生まれています。しかし、その表面下には、インディー、エレクトロニカ、エクスペリメンタルなどの形でサウンドの探求が行われている驚くほど豊かな文化があります。
もし、オーストラリアのエクスペリメンタルミュージックの遺産を語るとするならば、悲しいことにその歴史は、記録にも残っていないし、ほとんどが見逃されています。この過去2,3年はそれを改正するためのある試みが行われてきていて、それを見る事は素晴らしいことでした。しかし現在、たくさん作られてきたそのような音楽の情報を提供する歴史の賞賛や理解がが十分にされている場所が本当にありません。
こちらのシーンは年々健全な状態になっています。“what is music”のような初期のフェスティヴァルは、liquid architecture(今年で8年目)、now now、そして年に一度のroom40がやっているフェスティバルopen frameなど新しいフェスティバルを導いてきました。それから、もうすぐ行われるメルボルンのBiennial Of Experimental Musicは現在オーストラリアで一番焦点が合わされた、定期的なイベントとしての地位を築いています。
また、それぞれの街ではちいさなコンサートのシリーズが行われていて、新しいアイデアを実験したり探求する機会がミュージシャンに与えられ、とても素晴らしいことだと思います。ブリスベンでは、私がキューレートするパフォーマンスやサウンドアートのプログラムがたくさんあります。Brisbane powerhouseのfabriqueやInstitute Of Modern Artのmonoや、Judith Wright CentreでのSyncretism やNineHoursNorthなどです。これらのシリーズはそれぞれ、異なる側面のコンテンポラリーサウンドの実施を探求しています。また、ブリスベンのウェストエンドというエリアのカフェで毎週行われていているAudio Pollen Social clubは、サウンドや実験映画や即興などの探求が行われていて、とても素晴らしいものです。
9. また、あなた自身もサウンド・アーティストでありミュージシャンですね。あなたが音楽を作るときのメインとなるフォーカスはなんですか?また、音楽を作るときにはなにかコンセプトを設けていますか?
自分自身の作品に関しては、サウンドの実施に対する自分の興味を反映させた、たくさんの異なるフォーカスをもっています。たとえば、私がギャラリーのインスタレーションや公共のアートワークのための作品を作るとき、そのときはいつも作品をガイドできるコンセプトやテーマにとても興味を持ちます。たとえば、最近、角田俊也とサウンド・インスタレーションを完成させたのですが、そのエキシビションはgrey waterというグループショーのためのものでした。そこで私たちは二人ともそのギャラリーの雰囲気に興味をもちました。そして、その雰囲気を聞き取れるものにするために、ある興奮や刺激をどのように取り入れるかということに興味を持ちました。これは完成したばかりのairport symphonyというプロジェクトにも同じことが言えます。この作品は旅行の経験や“旅の芸術”にフォーカスを当てています。このプロジェクトで、サウンドアーティストを招き、私が集めたサウンドを用いてもらい、彼らの生活における旅の姿を反映させた作品を作ってもらいました。結果は、この上なく素晴らしいものになり、この作品のテーマを反映させたアーティスト達の幅広い反応を見ることが出来ます。
私はまたたくさんの音楽の形を探求しています。これまで、”Happiness Will Befall”のようなギターをサウンドの源としたレコードをたくさん作ってきました。それからフィールドレコーディングやサウンドテクスチャーに関係した作品はもっと作ってきました。たとえば、”For Varying Degrees Of Winter”、フィールドレコーディングにおける自分の興味と、わたしが作ってきた質感的なエレクトロニクスを一緒に結びつけた作品です。
自分にとっては、まず始めにサウンドに興味があり、その形のすべてに興味があります。草原にいるコオロギはポップソングや風変わりな音のするシンセサイザーと等しく人を引きつけるものだと思うのです。そしてこれらの要素のコンビネーションは素晴らしく人を引きつける結果を創造できると、しばしば思うのです。あなたの耳を、サウンドや音楽のひとつの作品を超えたところにある聞くことの焦点の違うレベルに持っていくことが、わたしはいつも喜びに感じます。
10. レーベルの仕事や音楽創作活動のほかに、あなたはたくさんのアーティストのためにオーストラリアツアーを企画していますね。毎日とか毎週とか、あなたのところにはいろいろなアーティストが訪れていて、本当にびっくりしています。ツアーの企画の仕事は本当に大変だと思うのですが、いったいどのようにそんなにたくさんのツアーを実現させているのですか?またあなたがオーストラリアツアーをオーガナイズしているアーティストの中にはあなたのレーベルからリリースしている人たちもたくさんいますね。アーティストのプロモーションやそのCDのためにライブを行うことは重要なことだと思いますか?
実際、自分自身に向かって同じ質問を投げかけることがあります。どうやってたくさんのアーティストを呼んで、彼らの作品をオーストラリアでプレゼンテーションさせようか?と。Room40は、ギャラリーのインスタレーションからパフォーマンスまで、たくさんの様々なレベルのサウンドに関係していいるからだと思います。アーティストをオーストラリアに呼ぶ機会はもっとたくさんあるんです。現在、私たちはとてもラッキーなことに、実験音楽や新しいサウンド/ソング、そしてサウンドを実施する異なる形のものに協力的な、いくつかの素晴らしい団体とコラボレーションする機会を持っています。
なぜオーストラリアにこれらのアーティストを呼ぶのに興味があったのかという一番の理由は、実際、彼らがここでサウンドの文化を大いに寄与してくれると感じるからです。伝統的にオーストラリアはとても隔離されていいますが、これはオリジナルのサウンドを創造するのにはとても好都合な事です。しかし、オーストラリア国内のサウンドの文化だけを育てていくのではなく、サウンドを作っている他のアーティストもこの国に呼び、国際的なアーティストの作品の経験をこの国の人たちにしてもらうことも重要だと思うのです。特に、サウンドアートは録音物がその作品に関心を持ってもらうには一番の方法にはいつもならないからです。ときどきはそれを間近に経験してもらうべきだし、そしてそれは、ここのサウンド文化をさらに発展させ続けるものだと強く感じるのです。
11. Room40とsomeone goodの今後の予定を教えてください。
Room40のスケジュールは2008年の半ばまでとてもいっぱいです。Chris Abrahams + Mike Cooper, Ueno Takashi, Steinbruchel などエキサイティングなリリースがたくさんありますよ。また、とても楽しみにしている新しいツジコ・ノリコのレコード制作など、新しいプロジェクトもいくつか始めています。彼女の曲は驚くほど幻想的です。
Someone goodに関しては、私とレベッカはもっとゆったりと働いていて、少し一呼吸おいてからそれぞれのリリースをしようとしています。2,3のリリースの予定がありますが、そのひとつに、quaのEPがあり、とても楽しみにしています。
12. 最近のお気に入りのアルバムを5つ教えてください。
じゃあ、今メルボルンへの飛行機の中で聞いているもので:
Shellac - Racing Italian Greyhound
Von Sudenfed - Tromatic Reflexxions
Piana - Eternal Castle
King Tubby - Dub Like Dirt
Burial - Burial
|