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FEATURE


TAMAS WELLS INTERVIEW

●まずはじめに自己紹介と、音楽を作り始めたいきさつを教えてください。

ぼくの名前はタマス・ウェルズ。オーストラリア人で、ジョゼフ・コンラッドの『ロード・ジム』(Lord Jim)と、プルタルコスの『Roman Lives』を読んでいて、サッカーもするし、ミャンマーの映画も観る。Jose GonzalesやBroken Flight(オーストラリアの偉大なバンド)、「ヴァージン・スーサイズ」のサントラを聴いてる。大学のときに、ぼくはギターを始めたんだ。自分で曲を作っている友達がたくさんいたから、それにインスパイアされたんだ。


●『Plea en Vendredi』について質問させてください。アルバムのコンセプトは何ですか?その意味は?

『Plea en Vendredi』というタイトルは英語とフランス語をミックスしたものなんだ。「Vendredi」はフランス語で「金曜日」という意味で、アルバムのなかの1曲のタイトルでもある。コンセプトは、意識の流れと入念な計画(それは「Valder Fields」の意味でもある)のミックスなんだよ。・・・僕らの意識は、完全に意図的なものでも、行き当たりばったりなものでもない・・・ばかばかしいほど漠然として聞こえるけど、許して!


●あなたの歌詞は何かを直接的に語りきることを回避しているように見えます。抽象というよりも寓意のような。その理由はなぜでしょう? また、歌詞はどのような時に浮かびますか?

最終的な歌詞は実際、ソングライティングの進行のなかで相当遅くにあがったんだ。・・・最初にメロディーを考えるときに、まず思い浮かんだ、何か意味をなさないような言葉を歌うんだけど、でもそういう言葉って半分は正しいんだ・・・構造的に、意味があるように歌詞を書く一方で、そういった潜在意識的に歌詞を書くというひとつの手法があるってことを受け入れて欲しい。作家のジェイムズ・ジョイスは、抽象的なことや、あるいは意識の流れを具体的なこととミックスすることを美しく実践している。そう、だからぼくの歌は意味に向かってはいるけど、何かを直接的に言ってはいないんだ。


●本作について論じるうえで、「マンドリン」という楽器が果たした役割は外せないと思います。あなたたちは、どうしてこの楽器の音色をここまで大胆に導入しようと考えたのですか? この楽器に対する特別な思い入れがあったのでしょうか?

マンドリンを部屋に寝かせてあったんだ。マンドリンはブルーグラスのバンド(特に好きなわけじゃない)を思い起こさせるけど、とても目立つギターやピアノとは違ったサウンドをアルバムに与えるためには、その楽器がいくつかの曲にとてもよく合うように感じたんだよね。


あなたが作る楽曲は本当に多くの日本人を感動させました(その中には普段熱心に音楽を聴かない人たちも)。そんなあなたが、人生で最も感動した経験を教えてください。また、あなたのアルバムが日本で売れていることについてどのような感想を抱かれていますか?

うん、とてもうれしいよ。たくさんの日本人があのアルバムを気に入ってくれたってことは本当に全くの驚きだった!そして、いつか、すぐにきみたちの素晴らしい国に行くチャンスがあればいいなと思うよ。えっ、人生で最も感動したことだって?・・・それはとても難しい質問だね・・・ぼくを動かすものはいくつもある。家族、友達、妻、神、アート、音楽、歴史・・・それらがぼくの基盤を覆っているんだ!


●音楽からは離れるのですが、非常に大切な質問をさせてください。あなたがWorld Concern(HIV/エイズ教育など地域医療プロジェクトを行うNGO)で働き始めたいきさつを教えてください。また、この仕事の経験があなたの音楽的表現にどれくらい影響を及ぼしているのかも。

ぼくは2年前ごろからミャンマーで、ある援助開発団体で働き始めた。ぼくはいつも他の文化に触れることを楽しんでいたんだ。そして、ミャンマーは想像をかきたてる多くのものごとと、同時に多くのとても悲しいものごとがある驚くべき国なんだ・・・だから、ぼくらはミャンマーに移住してしばらく働くことに決めた。そのことがどれだけぼくの音楽に直接的な影響を与えているかは分からないけど、ものごとの考え方にはなんらかの影響を及ぼしていると思うよ。


●あなたが生まれ、いま暮らしている、ミャンマーについて教えてください。ミャンマーはどのようなかんじですか?ミャンマーは音楽を作る上でインスパイアされますか?

さっき言ったとおり、ぼくはオーストラリア生まれで、ミャンマーには単に数年前から住んでるだけだよ。ミャンマーは珍しいことにグローバリゼーションの均質化に影響されない、驚くべきことに穏やかで優しい文化を持っている国だよ。でも、マイナス面は、主要な経済的、政治的な問題が数十年間存在するってことで、それは数多くの戦争と、飢餓の問題のこと。でも、それ以外は住むには美しい国だよ・・・時々イライラするけどね。ぼくは意識してミャンマーの文化を音楽に反映しようとはしていないけど、ソングライティングや他の面で、この国とこの国のアートがゆっくりと浸透してぼくの中から出てくればいいなとは思うよ。


●メルボルンの音楽シーンについて教えてください。仲のいいバンドはいますか?

メルボルンには素晴らしい音楽シーンがあって、ぼくはたくさんのバンドと知り合いなんだ。・・・Machine Translations、Art of Fighting、Broken Flightがぼくのお気に入りのバンドとしてパッと思い浮かぶね。とてもたくさんのバンドがいるからシーンが発展していく。十分なファンがいるから、さまざまなジャンルが発展していくんだ。とてもクリエイティヴなバンドは、メルボルンかシドニー以外では簡単には存在できないんだ。なぜなら、オーストラリアの他の場所では十分なサポートがないから。そう、だからメルボルンはミュージシャンにとっては素晴らしい場所だよ。もしメルボルンに来る機会があるなら、ぼくに言ってもらえれば、ぼくの両親の家の空き部屋に泊まれるように手配するよ。


●音楽や、あるいはその他のことで影響を受けたものはありますか?


最近は、文学や映画にとてもインスパイアされるようになったんだ。ここ数年、何本か素晴らしいオーストラリア映画があったね・・・『the Proposition』『Australian Rules』『Somersault』とかはとてもおもしろかったよ。文学では、ジェイムズ・ジョイス、ヘミングウェイ、サマセット・モーム、ヘンリー・ジェームズ、ジョゼフ・コンラッドといった作家に加えて、プルタルコスや『伝道の書』といったいくつかの古典を読んでいるよ。音楽に関して言えば、いつもはより静かなものが好きだから、Iron and WineやSufjan Stevensとかのアルバムがお気に入りだよ。でも最近は不思議なことに、叫んだり、ドラムを激しく叩いたりする人たちにインスパイアされるようになったんだ・・・でも、そういうのが次のアルバムに表れることはないと思うけど。


●今後の予定について教えてください。

いま、いくつかの曲を作っている最中だよ。今年の後半にアルバムができればいいんだけど。あと、ジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』(Heart of Darkness)とルソーの『社会契約論』を読むことを計画しているよ。あと、フーコーの本もいくつか読みたいんだけど、とても難しそうなんだよね。ビルマ語を勉強して、もっと東南アジアを旅行したいね。


●どうもありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

サポートしてくれてありがとう。本当にうれしいよ。いつか日本のことや日本の音楽シーンのことについてもっと知りたいと思っている。あと、もしメルボルンで泊まる場所が必要なときは、ぼくの両親の家の空き部屋のことを忘れないでね。

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