hue and cry

Liricoニュー・リリース:Misophone『Another Lost Night』

先日お伝えしました、Liricoのニュー・リリースのミソフォン『Another Lost Night』について。

作詞とヴォーカルを担当するM.A Welshと、作曲を担当するS.HerbertからなるUKの田舎町のデュオ。これまでにスウェーデンのKning DiskとフランスのAnother Recordから2枚ずつアルバムをリリースしている、知るひとぞ知る存在です。名前以外のプロフィールは謎に包まれており、ライヴも一切おこなわず、ただ家のなかで曲をつくりつづけているというふたり。

そんな彼らの最新作『Another Lost Night』をLiricoがワールドワイドでリリースすることになりました。詳細は以下のリンク先をご覧ください。

*詳細:http://www.inpartmaint.com/lirico/lirico_title/LIIP-1515.html

さまざまな楽器で彩られるガジェット感満載のレトロ・ポップが彼らのサウンドの魅力で、そのスタンスはずっと変わらないと思いますが、このアルバムはそんな彼らのこれまでの作品のなかでももっとも静かで幻想的なアルバム。

プレス用のキャッチコピーには「まるでヴィクトリア朝時代にタイムスリップしたベイルート」と書いていたり、「ムーンドッグと初期アメリカン・フォークとジプシー・ミュージックをつなぎ合わせたかのような」と無理やり書いていますが、ミソフォンの音楽はなにかを引き合いに出して満足できるような、フィットするような、そんな簡単なものではありません。いったいいつの時代の音楽かわからないような、そんなつかみ所のなさがほんとうに愛らしく、今後、おそらくぼくが死ぬまでずっと、新しい(けど、けっして新しさを感じさせない)音楽を届けつづけてくれる予感を感じさせます。

「Lost and forgotten(=失われ、忘れられた)」なものごとに執着する彼らの作る音楽は、「センチメント」と「メランコリー」に重心を置いたLiricoに「ノスタルジー」という感覚をもたらすでしょう。カヴァーとなった絵は「なにかえたいのしれないものをみる」という意味でミソフォンの音楽にふさわしいと思っています。すぐに忘れ去られてしまったとしても、この絵のように何百年もたってこの作品が発見されたとしたら、それほど愉快なことはありません。

公式にリリースされている4枚のアルバム以外に、彼らはかつてブリストルの路上で見知らぬひとにじぶんたちのアルバムを配布していたといいます。そんな「失われた」アルバムのなかから、曲をコンパイルした幻の作品『Laughing at the Moon』のCD-RをLiricoウェブショップや一部店舗での特典として、『Another Lost Night』をご購入いただいた方々におつけすることにしました。とてもローファイな作品ですが、とてつもなくすばらしいので、ぜひこちらも聴いてもらいたいです(この作品のことはまた別に書こうと思います)。発売は7/19!

Misophone『Another Lost Night』予約

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