hue and cry

Chris Weisman『Transparency』〜寒くもなく、あたたかくもなく〜

昨年Sub PopからデビューしたHappy Birthdayのメンバーでもある米ヴァーモント州ブラットルボロのシンガー・ソングライター/ギタリストChris Weisman。

昨年は他にソロ・アルバム『Tape Walk』とGreg Davisとのコラボ『Northern Songs』をリリースし、いずれもすばらしい内容でしたが、ニュー・アルバムが早くも届けられました。しかも2枚組。でも300枚限定。

アコースティック・ギターの弾き語りを中心として、随所に遊び心と実験性あるサウンドトリートメントをガジェット的に織り込むゆるやかなサイケデリアが特徴的。カセットテープ・レコーダーで録音したローファイ・サウンドが彼の静かな歌声にフィットしており、どことなく春めいた素朴なフォーク・ソングス。

「The Beatles」という曲が収録されていることからもわかるように、完全にビートルズ・チルドレンであり、エリオット・スミスのようなサッドネスも感じさせる彼の歌は弱々しく、ピッチも不安定。Sam Amidonなどもそうですが、わざと無感情に歌っているようにも思わせるのっぺりとした歌い方が逆に耳に残ります。曲自体はとてもシンプルなんですけどね。

決して注目を集めることはないでしょうが、おなじペースで何枚も作品を発表しつづけてくれるような存在だと思います。ぼくはChris Weismanの歌とともに季節を越えていくでしょう。ことしも、来年も。そのまた次の年も。

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